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18 不愉快な双子の姉とその婚約者

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▫︎◇▫︎

「あらぁ、セレス、今頃帰宅なの?」
「あぁ、ライバード公爵に挨拶してきたから遅くなった」

 アリスティアはガイセル・グートハイルに腰を抱かれて、皇帝の部屋から出てきたばかりのセレスティアに話しかけてきた。お風呂上がりなのか湯気が立って石鹸の香りを香らせている。

「お初お目にかかります、セレスティア様、」
「名を呼ぶ許可を出した覚えはない、ガイセル・グートハイル男爵令息」

 名前を呼ばれることにすら不愉快を覚えたセレスティアは、ガイセルの挨拶を途中でぶった斬った。

「俺のことをご存知なのですね!!」
「帝国貴族の名は全て覚えている」
「流石は『青薔薇の貴公子』と名高い皇女殿下です!!下々の者にまで目を配るとは!!」
「その呼び名、不愉快だからやめろ」
「なんと!!薔薇はこの国の国花ではありませんか!!」

 わざとセレスティアを陥れるような発言しかしないガイセルに、セレスティアは眉を寄せた。

(あぁ言えばこう言う、うざったい)

 ここにいては埒があかないと判断したセレスティアは不愉快を隠さない表情でガイセルとアリスティアを見やった。

「わたしはもう疲れた。部屋で休むから退いてくれ」
「どうやら俺が皇女殿下を不愉快にしてしまったようですね」
「またお会いしましょう」
「………もう会わないことを願っている」

 セレスティアはガイセルに殺気を向けた後、軍靴の音をわざと大きめに立てて颯爽とその場を立ち去った。

(本当に、反吐が出る)

 セレスティアはいつの日か嫌いになった、昔は大好きだった双子の姉に口の中だけで憎々しげに悪態をついた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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