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19 在りし日の夢

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▫︎◇▫︎

「はぁー、はぁー、待って!アリス!!ごほっ、ごほっ、」
「遅いわよ!セレス!!早くしなさい!!」

 胸の辺りまである真っ直ぐな銀髪を左右で編み込んでカチューシャのようにした青色の女の子らしいひらひらとした洋服を着た6歳くらいの少女が、同じくらいの長さのちょっとだけ癖のある金髪をこれまた同じように左右で編み込んでカチューシャのようにして赤色の色違いの洋服を着た6歳くらいの少女を必死に追いかけていた。

(あぁ、嫌な夢だ)

 セレスティアは直感で夢であることを悟り、今となっては10年も前の幸せだった時期を眺めた。

「ダメでしょう、アリス。セレスはあんまり身体が強くないんだから」
「でも~、」

 この頃のセレスティアはあまり身体が強くはなかった。事あるごとに風邪をひいて寝込んでしまっていた。

「アリスはお姉ちゃんでしょう?」
「ふぅー、もうセレスは大丈夫だよ。アリス、今度は鬼ごっこじゃなくて刺繍をしよう」
「えぇー、」
「お母様も一緒にやるからね?アリス、今度はセレスの番でしょう?」
「はぁーい」

 仲良く手を繋いで室内にゆっくりと歩みを進めた3人は、幸せな家族の代表のような絵になっていた。

(………あの後、お母様は………、)

 嫌なことを思い出し、セレスティアは首を振った。

「見てみて、かーさま、四葉のクローバーを刺してみたの!!幸せになれますようにって!!」
「お母様は鶴を刺したわ。意味は『長寿』、これはセレスにあげようかな」
「えぇー!!セレスばっかりずるーい!!アリスも欲しーい!!」

 3人の手にはそれぞれの願いのこもった刺繍が握られていた。

 四葉
 鶴

 そして、キンセンカ………

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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