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女装と復讐 -完結編-
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化粧品店の玄関の扉が開いた。アンナさんが顔を覗かせる。
アンナさんが完全に店内に入ると、玄関扉は静かに閉まった。
『金魚、いらっしゃい。あなたの出番よ』
『はい』
僕は詩織に強く頷いて見せ、ゆっくりと…玄関のそこで待っているアンナさんの元へと歩み寄っていく…。
『金魚。みんなに全てを披露できる覚悟ができたら、あなたがこの扉を開けるの』
『…はい』
覚悟ならもうできてる…僕は大きく深呼吸した。
扉のノブに手を掛けると、僕は一度だけ振り返って詩織を見た。
『私、ここであなたの健闘を見守ってるからね!頑張ってきて!』
『うん。頑張ってくるよ』
扉をゆっくりと開けながら、一瞬…《怖くてアンナさんの車から出られなかった、天郷大通りのプレデビューのあの日》のことを、ふと思い出してた…。
僕も、ここまで成長できたんだ。
今からすっぴん顔を晒して、観衆の前で女装の化粧までするなんて…凄いよな。
これも全て、僕の隣にいて見守ってくれてた…詩織に。
本当に、いつもありがとう。
…お店から表に出て、一番初めに思ったこと。
何気なく見上げたら…道路の向こう正面の高層ビル群…そのたくさんの窓が日差しを反射してて…眩しっ。
「わぁ、可愛い…可愛い!!」
「金魚ちゃんのすっぴん顔!?…待って!すっごく可愛い!」
『えっ?』
我に返った僕の両耳に、突然飛び込んできた…叫び声とも思えるような女の子の声…?
『金魚ちゃん』
『!』
僕の視界に、ナオさんが手招きしているのが見えた。僕はそっとナオさんの隣に並んで立つ。そして女の子たちのほう…正面を向いた。
ナオさんは…たぶん、すっぴん顔である金魚のこと?…なにかを説明してる様子だったけど…僕にはそれが全く聞こえてなかった。
「やだ…金魚ちゃんのすっぴん顔、ほんとにめちゃくちゃ可愛すぎじゃん…」
「《金魚はただのメイク詐欺っ子だよ!》なんて嘘、誰が広めてたのよ!すっぴん顔、全っ然可愛いじゃん!」
…僕は、聞こえてくる女の子たちの呟きに、集中し聞き入ってたもんだから…。
なんだか急に、すっぴん顔を晒していることが凄く恥ずかしくなって…しかもこの顔をiPhoneやスマホで撮られてたことに、今更ながら気付いて…僕は下を向き、慌てて顔を背けた。
『…それでは今から、専属モデルこと池川金魚ちゃんに、メイクの実演披露をしてもらいます』
…っていう、ナオさんの今の声も、僕には聞こえてなかった。
『んっ?金魚ちゃん?』
『…えっ?あっ…はい!』
『そろそろ椅子に座って、あなたのタイミングでメイクを始めて』
『はい。わかりました』
僕は椅子に座り、テーブルの上に置かれたメイクボックスから、必要なメイク道具を取り出し、それを綺麗にテーブルの上に並べて、メイクボックスは足元へと下ろして置いた。
あぁ…少しドキドキする…緊張…。
座った僕は横向き…お店の前の女の子たちには、僕の顔の右半分を見せているって感じ。
つまり、店内から見守ってくれている詩織には、僕の顔の左半分が見えている。
まずは…ヘアクリップで前髪をガバッと上げて留め、次に化粧水をコットンに湿らせ、顔中に伸ばして肌の保水と保湿を済ませる…ふぅ。
それから次は…ベースメイク。
何故だろう…メイクを始めたら、周りの女の子たちの視線も全く気にならなくなって、途端に気分が落ち着きはじめた。
アンナさんが完全に店内に入ると、玄関扉は静かに閉まった。
『金魚、いらっしゃい。あなたの出番よ』
『はい』
僕は詩織に強く頷いて見せ、ゆっくりと…玄関のそこで待っているアンナさんの元へと歩み寄っていく…。
『金魚。みんなに全てを披露できる覚悟ができたら、あなたがこの扉を開けるの』
『…はい』
覚悟ならもうできてる…僕は大きく深呼吸した。
扉のノブに手を掛けると、僕は一度だけ振り返って詩織を見た。
『私、ここであなたの健闘を見守ってるからね!頑張ってきて!』
『うん。頑張ってくるよ』
扉をゆっくりと開けながら、一瞬…《怖くてアンナさんの車から出られなかった、天郷大通りのプレデビューのあの日》のことを、ふと思い出してた…。
僕も、ここまで成長できたんだ。
今からすっぴん顔を晒して、観衆の前で女装の化粧までするなんて…凄いよな。
これも全て、僕の隣にいて見守ってくれてた…詩織に。
本当に、いつもありがとう。
…お店から表に出て、一番初めに思ったこと。
何気なく見上げたら…道路の向こう正面の高層ビル群…そのたくさんの窓が日差しを反射してて…眩しっ。
「わぁ、可愛い…可愛い!!」
「金魚ちゃんのすっぴん顔!?…待って!すっごく可愛い!」
『えっ?』
我に返った僕の両耳に、突然飛び込んできた…叫び声とも思えるような女の子の声…?
『金魚ちゃん』
『!』
僕の視界に、ナオさんが手招きしているのが見えた。僕はそっとナオさんの隣に並んで立つ。そして女の子たちのほう…正面を向いた。
ナオさんは…たぶん、すっぴん顔である金魚のこと?…なにかを説明してる様子だったけど…僕にはそれが全く聞こえてなかった。
「やだ…金魚ちゃんのすっぴん顔、ほんとにめちゃくちゃ可愛すぎじゃん…」
「《金魚はただのメイク詐欺っ子だよ!》なんて嘘、誰が広めてたのよ!すっぴん顔、全っ然可愛いじゃん!」
…僕は、聞こえてくる女の子たちの呟きに、集中し聞き入ってたもんだから…。
なんだか急に、すっぴん顔を晒していることが凄く恥ずかしくなって…しかもこの顔をiPhoneやスマホで撮られてたことに、今更ながら気付いて…僕は下を向き、慌てて顔を背けた。
『…それでは今から、専属モデルこと池川金魚ちゃんに、メイクの実演披露をしてもらいます』
…っていう、ナオさんの今の声も、僕には聞こえてなかった。
『んっ?金魚ちゃん?』
『…えっ?あっ…はい!』
『そろそろ椅子に座って、あなたのタイミングでメイクを始めて』
『はい。わかりました』
僕は椅子に座り、テーブルの上に置かれたメイクボックスから、必要なメイク道具を取り出し、それを綺麗にテーブルの上に並べて、メイクボックスは足元へと下ろして置いた。
あぁ…少しドキドキする…緊張…。
座った僕は横向き…お店の前の女の子たちには、僕の顔の右半分を見せているって感じ。
つまり、店内から見守ってくれている詩織には、僕の顔の左半分が見えている。
まずは…ヘアクリップで前髪をガバッと上げて留め、次に化粧水をコットンに湿らせ、顔中に伸ばして肌の保水と保湿を済ませる…ふぅ。
それから次は…ベースメイク。
何故だろう…メイクを始めたら、周りの女の子たちの視線も全く気にならなくなって、途端に気分が落ち着きはじめた。
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