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女装と復讐 -完結編-
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ナオさんが女の子たちの前で、堂々とそしてゆっくりと、会釈して挨拶。
『お集まりの皆さま、おはようございます』
アンナさんも、ナオさんに続いて静かに会釈。
そんな外の様子を、店内の窓から見守っている金魚と詩織。
『冊子《G.F.》にて予告をさせて頂きましたとおり、いよいよ明日から約1ヶ月ものあいだ、このコスメ店《BlossoM.》の専属であり、イメージモデルでもあります《池川金魚》ちゃんが、直接メイクを施してくれる特別サービスを始めます…』
『きゃはははは♪お店のイメージモデルだって!金魚』
『うん…』
『…そこで皆さまにひとつ、お願いがございます。金魚ちゃんに無料でメイクをしてもらう為には、簡単なルールがございます…』
そして、あの《3点以上ご購入の女子高生、女学生、および25歳までの一般女性に限ります》ことのルールをナオさんが説明。
『…ただ、いくらあの池川金魚ちゃんであろうとも、どのくらいメイクの技術を要しているのか…お疑いする部分もあるかと思います。そこで…』
お店を囲む女の子たちが、ざわざわと騒ぎ出しはじめた…。
『じゃ…そろそろ行ってくるね。詩織』
僕は椅子から立ち上がった。
『待って!』
『えっ?』
詩織も慌てて立ち上がった。
『…緊張してない?』
僕は詩織と視線を交わらせて、少しのあいだ見詰め合った。
『緊張…うん。少しだけ』
『そうよね。金魚のすっぴん顔を女の子たちの前に披露するのも、メイクして見せるのも…初めてなんだもんね』
そう言いながら詩織は一歩、僕の目の前へと寄ってきた…?
『安心して。そして自信を持って行ってきて…』
詩織はゆっくりと、僕の両肩を両手で引き寄せ…僕を優しく抱擁してくれた。
『大丈夫よ。あなたの天才的なメイクの技術力は、アンナさんも認めるほどの本物なんだから』
『うん』
『そして…あなたのそのすっぴん顔も《本当は男の子》だなんて絶対にバレないわ。瀬ヶ池の女の子の誰だろうと負けないぐらい、本当に可愛いんだもん』
『ありがとう。詩織』
抱擁は解かれた。そして僕は今思ったことを、正直に詩織に言ってみた。
『今日の詩織、なんだかいつもより優しいね』
どうせ『はぁぁっ!じゃあなによ!?いつもの私は優しくないって言うの!?』なんて、言い返してくれると思ってたのに…。
『今まで…金魚に時々いじわる言ったりして…ごめんね』
『!』
…そこは自分でも分かってたんだ…詩織。
『女の子でさえ胸が高鳴るほど可愛い金魚に私…絶対勝てるわけないし、だからついつい羨ましくて…』
『お集まりの皆さま、おはようございます』
アンナさんも、ナオさんに続いて静かに会釈。
そんな外の様子を、店内の窓から見守っている金魚と詩織。
『冊子《G.F.》にて予告をさせて頂きましたとおり、いよいよ明日から約1ヶ月ものあいだ、このコスメ店《BlossoM.》の専属であり、イメージモデルでもあります《池川金魚》ちゃんが、直接メイクを施してくれる特別サービスを始めます…』
『きゃはははは♪お店のイメージモデルだって!金魚』
『うん…』
『…そこで皆さまにひとつ、お願いがございます。金魚ちゃんに無料でメイクをしてもらう為には、簡単なルールがございます…』
そして、あの《3点以上ご購入の女子高生、女学生、および25歳までの一般女性に限ります》ことのルールをナオさんが説明。
『…ただ、いくらあの池川金魚ちゃんであろうとも、どのくらいメイクの技術を要しているのか…お疑いする部分もあるかと思います。そこで…』
お店を囲む女の子たちが、ざわざわと騒ぎ出しはじめた…。
『じゃ…そろそろ行ってくるね。詩織』
僕は椅子から立ち上がった。
『待って!』
『えっ?』
詩織も慌てて立ち上がった。
『…緊張してない?』
僕は詩織と視線を交わらせて、少しのあいだ見詰め合った。
『緊張…うん。少しだけ』
『そうよね。金魚のすっぴん顔を女の子たちの前に披露するのも、メイクして見せるのも…初めてなんだもんね』
そう言いながら詩織は一歩、僕の目の前へと寄ってきた…?
『安心して。そして自信を持って行ってきて…』
詩織はゆっくりと、僕の両肩を両手で引き寄せ…僕を優しく抱擁してくれた。
『大丈夫よ。あなたの天才的なメイクの技術力は、アンナさんも認めるほどの本物なんだから』
『うん』
『そして…あなたのそのすっぴん顔も《本当は男の子》だなんて絶対にバレないわ。瀬ヶ池の女の子の誰だろうと負けないぐらい、本当に可愛いんだもん』
『ありがとう。詩織』
抱擁は解かれた。そして僕は今思ったことを、正直に詩織に言ってみた。
『今日の詩織、なんだかいつもより優しいね』
どうせ『はぁぁっ!じゃあなによ!?いつもの私は優しくないって言うの!?』なんて、言い返してくれると思ってたのに…。
『今まで…金魚に時々いじわる言ったりして…ごめんね』
『!』
…そこは自分でも分かってたんだ…詩織。
『女の子でさえ胸が高鳴るほど可愛い金魚に私…絶対勝てるわけないし、だからついつい羨ましくて…』
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