女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

文字の大きさ
上 下
384 / 490
女装と復讐 -完結編-

page.373

しおりを挟む
金魚が女の子たちの目の前ですっぴん顔を晒し、メイクをしてその技術を見せつける…。この計画を発案したのは詩織。

いつだったかな…6月の上旬頃?

瀬ヶ池の女の子のたちの集まる、あのサイト《カラフル》に…。



【なんで金魚はいつもいつも、アンナさんにくっついてるのか、教えよっか?】
【金魚は自分で、メイクができないからよ】
【しかもメイクを取ったすっぴん顔は、まるで別人、超ブサ子だって】
【そうそう。すっぴんの金魚はブス顔。実はただのメイク詐欺っ子だよ!】



…そんなふうに色々と、金魚のことが書き込まれていたのを詩織が発見。そして詩織の怒りに火が着いた…というわけ。

最近では金魚のことになると、僕よりも詩織のほうが誰よりも早く、機敏に反応して感情に表している。

そしてアンナさんも、この《金魚のすっぴん顔ご披露&メイク実演》の計画を詩織から相談されて大賛同。

《金魚のメイク技術向上修行》が本来の目的だという、ナオさんの化粧品店での《メイクサービスアルバイト》…その始業日の前日のデモンストレーションにしましょう!…って提案してくれたのも、実はアンナさんだった。



僕はメイクを直感に程近い潜在的感覚に任せ、意識は完全に物思いにふけっている。

周りの女の子たちの存在も、全く意識から消えていた…。






『あなたのメイクは凄く繊細で丁寧。だから仕上がりだってとても綺麗。だけど、それだけではまだまだよ…』と、僕にそう教えてくれたアンナさん。

技術的に、僕にまだ足りないもの…それは《経験》と《スピード》らしい…。

明日から5時間のアルバイト。ノルマは1日に10人…つまり、1時間内にお客さまである女の子、2人にメイクをしてあげなければならない…ってことになる。

僕は自分の顔と詩織にしかメイクをしたことがない。けれど女の子たちは一人一人、目や唇や鼻の形…そして顔の輪郭や骨格も違う。肌の体質や肌理きめだって違う…。

それによって、メイクだってやり方が多少なり変わる…。

そういう経験をたくさんしなさい…僕にそう指導してくれたアンナさん…。

でも本当に1時間に、女の子2人にメイクなんて、疲れないかな?ずっと続けられるかな?

本当にできるかな…僕。

けど、アンナさんは僕に期待してくれている…信吾ならできると信じてくれているはずだ…。

うん。そうだ。頑張らないと…。
僕がまず、僕自身を信じなくてどうする…!






…あれ?そういえばメイク…どこまで出来てたんだっけ?

また我に返った僕…右手にリップライナーを持ち、鏡を覗き込んでいた。

あ…リップメイクの途中だったらしい。すっかり無意識的な慣性に任せっきりで、メイクを続けてた…。

金魚!意識を持ってしっかりしないと…!






















しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

美しい弟

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:15

Two seam

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:12

少年女体化監禁事件

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:21

入社した会社でぼくがあたしになる話

青春 / 連載中 24h.ポイント:1,732pt お気に入り:67

転職してOLになった僕。

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:1,050pt お気に入り:38

あざといが過ぎる!

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:26

セクシャルメイド!~女装は彼女攻略の第一歩!?~

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:20

処理中です...