女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

page.351

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『私ね…ほんとはもっと前から、早く鈴ちゃんに言わなきゃ…って思ってたの。なのに…』

『あははは。もうやだぁ。詩織ちゃんったら。そんなこと心配してたなんてー』


鈴ちゃんは『私たちはこれからも、ずーっと友達』『ううん、友達以上だから』と言って、詩織のそんな不安を笑い飛ばしてくれた。

詩織も不安から解放され、まだ少し堅苦しいけれど笑顔を見せる。


『ねぇ、信吾くんって《趣味》でこんなに可愛い女装やってるの?…そりゃあそうだよね。こんなにも《本物の女の子以上》に《本物で凄く可愛い女の子》に変身できるんだったら…ねー。楽しいとも思…』

『鈴ちゃん、僕は趣味とかで女装を始めたんじゃないんです…!』


詩織は黙り込み、今なんて言ったらいいのか…そんなふうに、言葉に詰まってる様子だったから、僕が詩織の代わりに鈴ちゃんにそう言った。


『だ、だって…えっ?じゃあ…なんで女装を…?』





「…復讐のために」



『…えっ?詩織ちゃん…今何って!?』


ボソッとそう呟いた詩織を、鈴ちゃんはじっと見た。

僕は気にせず説明を続ける。


『…僕は去年、大学に入学した頃から女装を始める秋頃まで…《瀬ヶ池のメダカ》と呼ばれていました…』




僕、岩塚信吾は田園風景の広がる田舎町《押木町》にて生まれ育ち…子供の頃から藤浦市…特に新井区の早瀬ヶ池の華やかさに憧れていて…。

そして宮端学院大学入学の頃から、可愛い女の子の友達が欲しかったために、始めた早瀬ヶ池での《声掛け》のことまで…今までの経緯の全てを、淡々と鈴ちゃんに説明した…。




『…僕はもの凄く悔しかったんです…。瀬ヶ池の女の子たちに《ほんと馬鹿だよねー》って…《一生そうやって"モテない君"やってればいいよ。あはははは…》って嘲笑されたのが…』


そして、ひょんなことからアンナさんと知り合い、それを切っ掛けに《お前ら、メイクした僕の女の子顔を見て、それでも僕を笑ってられるのか?》《逆にぼくがお前らを、声高らかに笑ってやるよ!!畜生!!》…ってそう思って…アンナさん達や詩織の協力を得て復讐計画を…。




『…あのぉ…彩乃ちゃんの実姉である鈴ちゃんに、こんなこと…本当に言いにくいことなんだけどね…』

『?』


鈴ちゃんの目から視線を外し、少し俯いて…僕に代わって今度は詩織が語りだした。


『…信吾が《瀬ヶ池のメダカ》ってあだ名を付けられ、それが広がっていったのは…彩乃ちゃんが鈴ちゃんから譲り受けたサイト…《★Colorful-Girlsカラフル・ガールズ★》が、どうやら原因らしいの…』

『えぇっ!?』

『…被害者は信吾だけじゃないの。私も…あのサイトで《卑怯者》って。そして《金魚の偽物》と言われた、鈴ちゃんも知ってるあの鮎美ちゃんも…』

『えぇ…』























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