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女装と復讐 -街華編-
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詩織は脇に置いた自分のバッグを開け、そして中を覗き込んで右手を差し込む…。
鈴ちゃんからはテーブルが妨げとなって、その様子は直接は隠れて見えない。けど詩織が下を向き、バッグの中に手を入れているのは、鈴ちゃんだって雰囲気からなんとなく察してる。
…そっと取り出した僕の学生証。詩織はそれに左でも添え、自分の胸に優しく押し当てた。
目を閉じ、下を向いたままの詩織。なんだか何かを祈ってるかのようにも見える。
『…これを今から鈴ちゃんに見せることで…鈴ちゃんは私たちのことを、嫌いになってしまうかもしれない…けど…』
詩織は顔を上げ、鈴ちゃんを不安そうな目で見ながら、僕の学生証をテーブルに…鈴ちゃんの目の前にスッと置いた。
それを手に取った鈴ちゃん。じっと学生証を見る…。
『信じられないと思うけど…その学生証は…』
『?』
鈴ちゃんは、また詩織を見た。
『…金魚の学生証。実は金魚は…男の子なの…』
『えっ!?』
目を円くし、学生証の写真と僕の女装メイク顔を、何度も何度も見比べている鈴ちゃん。
そりゃあ驚くよね。驚くのも無理ない…。
『ほんとに男の子なの?…金魚ちゃん。本当の名前…岩塚信吾くん…っていうの?』
『……はい』
『そうなんだ…』
ん?…あれ?
もっと、こう…『えぇーっ!!?』とか『うそぉぉっ!!?』みたいな反応を想像してたんだけど…鈴ちゃん?
思ってたより驚いてない…っていうか、なんか意外と落ち着いてる…。
『凄いね!だって見た目、誰が見たって疑いようのないほど、本当に本物の可愛い女の子だもんね!』
『鈴ちゃん!もっと驚かないの!?』
僕も思ったその疑問を、詩織が単刀直入に投げかけた。それに対して鈴ちゃんは笑顔で答える。
『だって芸能界ってね、色んなタレントさんがいるもの。女装や性転換を売りにしている男性タレントさんとかもね。スタジオ収録とかで、そういう方とお仕事ご一緒したことも、何度かあるし』
へぇ…そうなんだ。
鈴ちゃんのその答えに、僕も詩織もなんとなく納得。
『でも解ってほしいの。私だってほんとはね、今…内心では凄く驚いてる…って』
…だよね。やっぱり。
『今まで見てきた、女装タレントさんや性転換した芸能人の方って、私のお父さんくらいか、それ以上の年齢の方ばっかりだったし、若くてこんなに本格的に可愛く、本物の女の子のように綺麗に女装してた人って…私、見たことなかったから』
…ん?
『安心して詩織ちゃん。むしろ金魚ちゃ…あ、ごめんなさい。岩塚信吾くんこそ、間違いなく絶対に芸能界向きだよ。だって…』
…。
僕は詩織と見合った。
鈴ちゃんは、予想の遥か斜め上をいく反応だった…。
『…って私は思うの。でしょ?…ね。ほんとに凄い新人タレントの逸材を発見!って感じ』
『あの…待って。ねぇ鈴ちゃん』
『これって…私が詩織ちゃんと信吾くんを、嫌いになる理由になるの?』
『えっ!?…だって…』
それに詩織が答える間もなく、鈴ちゃんが話し続ける。
『金魚ちゃんが実は男の子なんだっていう事実を私に打ち明けることで、私が《騙されてた!!》なんて、2人を嫌いになっちゃうと思ったから?』
詩織は複雑な表情で、黙って重々しく頷いた。
鈴ちゃんからはテーブルが妨げとなって、その様子は直接は隠れて見えない。けど詩織が下を向き、バッグの中に手を入れているのは、鈴ちゃんだって雰囲気からなんとなく察してる。
…そっと取り出した僕の学生証。詩織はそれに左でも添え、自分の胸に優しく押し当てた。
目を閉じ、下を向いたままの詩織。なんだか何かを祈ってるかのようにも見える。
『…これを今から鈴ちゃんに見せることで…鈴ちゃんは私たちのことを、嫌いになってしまうかもしれない…けど…』
詩織は顔を上げ、鈴ちゃんを不安そうな目で見ながら、僕の学生証をテーブルに…鈴ちゃんの目の前にスッと置いた。
それを手に取った鈴ちゃん。じっと学生証を見る…。
『信じられないと思うけど…その学生証は…』
『?』
鈴ちゃんは、また詩織を見た。
『…金魚の学生証。実は金魚は…男の子なの…』
『えっ!?』
目を円くし、学生証の写真と僕の女装メイク顔を、何度も何度も見比べている鈴ちゃん。
そりゃあ驚くよね。驚くのも無理ない…。
『ほんとに男の子なの?…金魚ちゃん。本当の名前…岩塚信吾くん…っていうの?』
『……はい』
『そうなんだ…』
ん?…あれ?
もっと、こう…『えぇーっ!!?』とか『うそぉぉっ!!?』みたいな反応を想像してたんだけど…鈴ちゃん?
思ってたより驚いてない…っていうか、なんか意外と落ち着いてる…。
『凄いね!だって見た目、誰が見たって疑いようのないほど、本当に本物の可愛い女の子だもんね!』
『鈴ちゃん!もっと驚かないの!?』
僕も思ったその疑問を、詩織が単刀直入に投げかけた。それに対して鈴ちゃんは笑顔で答える。
『だって芸能界ってね、色んなタレントさんがいるもの。女装や性転換を売りにしている男性タレントさんとかもね。スタジオ収録とかで、そういう方とお仕事ご一緒したことも、何度かあるし』
へぇ…そうなんだ。
鈴ちゃんのその答えに、僕も詩織もなんとなく納得。
『でも解ってほしいの。私だってほんとはね、今…内心では凄く驚いてる…って』
…だよね。やっぱり。
『今まで見てきた、女装タレントさんや性転換した芸能人の方って、私のお父さんくらいか、それ以上の年齢の方ばっかりだったし、若くてこんなに本格的に可愛く、本物の女の子のように綺麗に女装してた人って…私、見たことなかったから』
…ん?
『安心して詩織ちゃん。むしろ金魚ちゃ…あ、ごめんなさい。岩塚信吾くんこそ、間違いなく絶対に芸能界向きだよ。だって…』
…。
僕は詩織と見合った。
鈴ちゃんは、予想の遥か斜め上をいく反応だった…。
『…って私は思うの。でしょ?…ね。ほんとに凄い新人タレントの逸材を発見!って感じ』
『あの…待って。ねぇ鈴ちゃん』
『これって…私が詩織ちゃんと信吾くんを、嫌いになる理由になるの?』
『えっ!?…だって…』
それに詩織が答える間もなく、鈴ちゃんが話し続ける。
『金魚ちゃんが実は男の子なんだっていう事実を私に打ち明けることで、私が《騙されてた!!》なんて、2人を嫌いになっちゃうと思ったから?』
詩織は複雑な表情で、黙って重々しく頷いた。
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