353 / 490
女装と復讐 -街華編-
page.342
しおりを挟む
詩織は、自分の座っていたオフィスチェアの上に、抱いていたテディラビットを一旦座らせ、立ち上がって歩美さんと抱き合って喜んだ。
歩美さんはそのあと、持参したスケッチブックを開いてデザイン画を一つ一つ秋良さんに見せ、秋良さんも同じく歩美さんにデザイン画のファイルを見せて、お互いにデザインの意見交流をしていた。
『…啓介くんはいいの?鮎美ちゃんと話さなくても?…ふふっ♪』
詩織は目を細め…挑発的で妖し気な笑みを啓介さんに見せつけた。
『いや…俺は機会があったらでいいよ。話すのは…あっ!ちょっ…』
詩織がグイグイと啓介さんの腕を引っ張る。
『そんなのダメ!新しい仕事仲間なんだから。ちゃんと挨拶しないと!』
『鮎美ちゃん♪』
『?』
詩織に呼ばれて、歩美さんは振り向いた。
詩織は自分の右腕を、啓介さんの左腕に《逃げられないように》しっかりと絡ませている。
『こちらは一緒に働く先輩の大久保啓介くん。26歳。ちなみに今、彼女はいませーん♪…ふふふっ♪』
啓介さんの表情が、ほんの少し固くなる。
僕と秋良さんは揃って《なんか、嫌な予感しかしない…》と思いつつ、その様子を見ていた…。
『ど…どうも。はじめまして』
歩美さんは、今度はちゃんと体ごと捻って啓介さんの方へと向かせ、一歩前へと近づいた。
『筒井歩美です…あの、宜しくお願いします』
『…はい』
『んもぉ!…啓介くん!《はい》じゃなくて!!』
『えっ?』
詩織は絡めてた右腕を放し、啓介さんの右手と歩美さんの右手を両手で持って、重ねてしっかりと握手させた。
『…2人とも…《いっぱいお金が儲かるように、お互い頑張ろうね♪》くらい言ったら?』
『ま、まぁそうだね。一緒に頑張ろう…』
『はい。啓介さん。私も一生懸命頑張ります』
詩織はこの機会を逃すまいと、すかさず啓介さんの左側に移動して、啓介の耳元で囁いた…。
「うふふっ♪…鮎美ちゃん、そっくりでしょ?金魚に…いゃん♪仲良くしてあげて…ねッ♪」
『えっ?』
「でも大丈夫よ…安心して♪…《彼女》は金魚にそっくりでも、紛れもない《ホンモノノオンナノコ♪》だから…Kissだってなんだって♪…うふふっ♪」
『えっ?…きゃあっ!!』
…啓介さんは床にすっ倒れた。握手した右手に引っ張られ、歩美さんも啓介さんの上に重なるように倒れ込んだ。
『ちょ…お前大丈夫か!おい啓介!』
『痛たたた…だ、大丈夫ですか!?』
歩美さんはすぐに立ち上がったけど、啓介さんが気絶しているのに気付いて、また啓介さんの左側に座り込んで、心配そうに顔を覗き込んだ。
そして秋良さんは啓介さんの右側に屈み込み、振り返って詩織に指示を出す。
『おい詩織!…給湯室から、湯呑みに水汲んで持ってきてくれ!啓介気絶してっから!』
『あ、はい!今持ってきまーす!』
…顔面に水をバシャッと掛けられた啓介さん。ようやく意識を取り戻した…。
『お、おい詩織…こ…こんのばっか野郎!やり過ぎだァ!!』
詩織に向かって大きな声で叫ぶ秋良さん。
『??…?』
今、自身に何が起こったのか…よく解ってない啓介さん。
『ねぇ詩織、あのさぁ…』
『ごめんって。金魚…』
ほんの少し反省してるっぽいのが、表情に出ている詩織。
『きゃはは…ちょっと刺激、強すぎちゃったのかな?…ちょっとやり過ぎちゃった。きゃははは…』
…こ、この小悪魔詩織ときたら…。
歩美さんはそのあと、持参したスケッチブックを開いてデザイン画を一つ一つ秋良さんに見せ、秋良さんも同じく歩美さんにデザイン画のファイルを見せて、お互いにデザインの意見交流をしていた。
『…啓介くんはいいの?鮎美ちゃんと話さなくても?…ふふっ♪』
詩織は目を細め…挑発的で妖し気な笑みを啓介さんに見せつけた。
『いや…俺は機会があったらでいいよ。話すのは…あっ!ちょっ…』
詩織がグイグイと啓介さんの腕を引っ張る。
『そんなのダメ!新しい仕事仲間なんだから。ちゃんと挨拶しないと!』
『鮎美ちゃん♪』
『?』
詩織に呼ばれて、歩美さんは振り向いた。
詩織は自分の右腕を、啓介さんの左腕に《逃げられないように》しっかりと絡ませている。
『こちらは一緒に働く先輩の大久保啓介くん。26歳。ちなみに今、彼女はいませーん♪…ふふふっ♪』
啓介さんの表情が、ほんの少し固くなる。
僕と秋良さんは揃って《なんか、嫌な予感しかしない…》と思いつつ、その様子を見ていた…。
『ど…どうも。はじめまして』
歩美さんは、今度はちゃんと体ごと捻って啓介さんの方へと向かせ、一歩前へと近づいた。
『筒井歩美です…あの、宜しくお願いします』
『…はい』
『んもぉ!…啓介くん!《はい》じゃなくて!!』
『えっ?』
詩織は絡めてた右腕を放し、啓介さんの右手と歩美さんの右手を両手で持って、重ねてしっかりと握手させた。
『…2人とも…《いっぱいお金が儲かるように、お互い頑張ろうね♪》くらい言ったら?』
『ま、まぁそうだね。一緒に頑張ろう…』
『はい。啓介さん。私も一生懸命頑張ります』
詩織はこの機会を逃すまいと、すかさず啓介さんの左側に移動して、啓介の耳元で囁いた…。
「うふふっ♪…鮎美ちゃん、そっくりでしょ?金魚に…いゃん♪仲良くしてあげて…ねッ♪」
『えっ?』
「でも大丈夫よ…安心して♪…《彼女》は金魚にそっくりでも、紛れもない《ホンモノノオンナノコ♪》だから…Kissだってなんだって♪…うふふっ♪」
『えっ?…きゃあっ!!』
…啓介さんは床にすっ倒れた。握手した右手に引っ張られ、歩美さんも啓介さんの上に重なるように倒れ込んだ。
『ちょ…お前大丈夫か!おい啓介!』
『痛たたた…だ、大丈夫ですか!?』
歩美さんはすぐに立ち上がったけど、啓介さんが気絶しているのに気付いて、また啓介さんの左側に座り込んで、心配そうに顔を覗き込んだ。
そして秋良さんは啓介さんの右側に屈み込み、振り返って詩織に指示を出す。
『おい詩織!…給湯室から、湯呑みに水汲んで持ってきてくれ!啓介気絶してっから!』
『あ、はい!今持ってきまーす!』
…顔面に水をバシャッと掛けられた啓介さん。ようやく意識を取り戻した…。
『お、おい詩織…こ…こんのばっか野郎!やり過ぎだァ!!』
詩織に向かって大きな声で叫ぶ秋良さん。
『??…?』
今、自身に何が起こったのか…よく解ってない啓介さん。
『ねぇ詩織、あのさぁ…』
『ごめんって。金魚…』
ほんの少し反省してるっぽいのが、表情に出ている詩織。
『きゃはは…ちょっと刺激、強すぎちゃったのかな?…ちょっとやり過ぎちゃった。きゃははは…』
…こ、この小悪魔詩織ときたら…。
1
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる