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女装と復讐 -街華編-
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詩織は、自分の座っていたオフィスチェアの上に、抱いていたテディラビットを一旦座らせ、立ち上がって歩美さんと抱き合って喜んだ。
歩美さんはそのあと、持参したスケッチブックを開いてデザイン画を一つ一つ秋良さんに見せ、秋良さんも同じく歩美さんにデザイン画のファイルを見せて、お互いにデザインの意見交流をしていた。
『…啓介くんはいいの?鮎美ちゃんと話さなくても?…ふふっ♪』
詩織は目を細め…挑発的で妖し気な笑みを啓介さんに見せつけた。
『いや…俺は機会があったらでいいよ。話すのは…あっ!ちょっ…』
詩織がグイグイと啓介さんの腕を引っ張る。
『そんなのダメ!新しい仕事仲間なんだから。ちゃんと挨拶しないと!』
『鮎美ちゃん♪』
『?』
詩織に呼ばれて、歩美さんは振り向いた。
詩織は自分の右腕を、啓介さんの左腕に《逃げられないように》しっかりと絡ませている。
『こちらは一緒に働く先輩の大久保啓介くん。26歳。ちなみに今、彼女はいませーん♪…ふふふっ♪』
啓介さんの表情が、ほんの少し固くなる。
僕と秋良さんは揃って《なんか、嫌な予感しかしない…》と思いつつ、その様子を見ていた…。
『ど…どうも。はじめまして』
歩美さんは、今度はちゃんと体ごと捻って啓介さんの方へと向かせ、一歩前へと近づいた。
『筒井歩美です…あの、宜しくお願いします』
『…はい』
『んもぉ!…啓介くん!《はい》じゃなくて!!』
『えっ?』
詩織は絡めてた右腕を放し、啓介さんの右手と歩美さんの右手を両手で持って、重ねてしっかりと握手させた。
『…2人とも…《いっぱいお金が儲かるように、お互い頑張ろうね♪》くらい言ったら?』
『ま、まぁそうだね。一緒に頑張ろう…』
『はい。啓介さん。私も一生懸命頑張ります』
詩織はこの機会を逃すまいと、すかさず啓介さんの左側に移動して、啓介の耳元で囁いた…。
「うふふっ♪…鮎美ちゃん、そっくりでしょ?金魚に…いゃん♪仲良くしてあげて…ねッ♪」
『えっ?』
「でも大丈夫よ…安心して♪…《彼女》は金魚にそっくりでも、紛れもない《ホンモノノオンナノコ♪》だから…Kissだってなんだって♪…うふふっ♪」
『えっ?…きゃあっ!!』
…啓介さんは床にすっ倒れた。握手した右手に引っ張られ、歩美さんも啓介さんの上に重なるように倒れ込んだ。
『ちょ…お前大丈夫か!おい啓介!』
『痛たたた…だ、大丈夫ですか!?』
歩美さんはすぐに立ち上がったけど、啓介さんが気絶しているのに気付いて、また啓介さんの左側に座り込んで、心配そうに顔を覗き込んだ。
そして秋良さんは啓介さんの右側に屈み込み、振り返って詩織に指示を出す。
『おい詩織!…給湯室から、湯呑みに水汲んで持ってきてくれ!啓介気絶してっから!』
『あ、はい!今持ってきまーす!』
…顔面に水をバシャッと掛けられた啓介さん。ようやく意識を取り戻した…。
『お、おい詩織…こ…こんのばっか野郎!やり過ぎだァ!!』
詩織に向かって大きな声で叫ぶ秋良さん。
『??…?』
今、自身に何が起こったのか…よく解ってない啓介さん。
『ねぇ詩織、あのさぁ…』
『ごめんって。金魚…』
ほんの少し反省してるっぽいのが、表情に出ている詩織。
『きゃはは…ちょっと刺激、強すぎちゃったのかな?…ちょっとやり過ぎちゃった。きゃははは…』
…こ、この小悪魔詩織ときたら…。
歩美さんはそのあと、持参したスケッチブックを開いてデザイン画を一つ一つ秋良さんに見せ、秋良さんも同じく歩美さんにデザイン画のファイルを見せて、お互いにデザインの意見交流をしていた。
『…啓介くんはいいの?鮎美ちゃんと話さなくても?…ふふっ♪』
詩織は目を細め…挑発的で妖し気な笑みを啓介さんに見せつけた。
『いや…俺は機会があったらでいいよ。話すのは…あっ!ちょっ…』
詩織がグイグイと啓介さんの腕を引っ張る。
『そんなのダメ!新しい仕事仲間なんだから。ちゃんと挨拶しないと!』
『鮎美ちゃん♪』
『?』
詩織に呼ばれて、歩美さんは振り向いた。
詩織は自分の右腕を、啓介さんの左腕に《逃げられないように》しっかりと絡ませている。
『こちらは一緒に働く先輩の大久保啓介くん。26歳。ちなみに今、彼女はいませーん♪…ふふふっ♪』
啓介さんの表情が、ほんの少し固くなる。
僕と秋良さんは揃って《なんか、嫌な予感しかしない…》と思いつつ、その様子を見ていた…。
『ど…どうも。はじめまして』
歩美さんは、今度はちゃんと体ごと捻って啓介さんの方へと向かせ、一歩前へと近づいた。
『筒井歩美です…あの、宜しくお願いします』
『…はい』
『んもぉ!…啓介くん!《はい》じゃなくて!!』
『えっ?』
詩織は絡めてた右腕を放し、啓介さんの右手と歩美さんの右手を両手で持って、重ねてしっかりと握手させた。
『…2人とも…《いっぱいお金が儲かるように、お互い頑張ろうね♪》くらい言ったら?』
『ま、まぁそうだね。一緒に頑張ろう…』
『はい。啓介さん。私も一生懸命頑張ります』
詩織はこの機会を逃すまいと、すかさず啓介さんの左側に移動して、啓介の耳元で囁いた…。
「うふふっ♪…鮎美ちゃん、そっくりでしょ?金魚に…いゃん♪仲良くしてあげて…ねッ♪」
『えっ?』
「でも大丈夫よ…安心して♪…《彼女》は金魚にそっくりでも、紛れもない《ホンモノノオンナノコ♪》だから…Kissだってなんだって♪…うふふっ♪」
『えっ?…きゃあっ!!』
…啓介さんは床にすっ倒れた。握手した右手に引っ張られ、歩美さんも啓介さんの上に重なるように倒れ込んだ。
『ちょ…お前大丈夫か!おい啓介!』
『痛たたた…だ、大丈夫ですか!?』
歩美さんはすぐに立ち上がったけど、啓介さんが気絶しているのに気付いて、また啓介さんの左側に座り込んで、心配そうに顔を覗き込んだ。
そして秋良さんは啓介さんの右側に屈み込み、振り返って詩織に指示を出す。
『おい詩織!…給湯室から、湯呑みに水汲んで持ってきてくれ!啓介気絶してっから!』
『あ、はい!今持ってきまーす!』
…顔面に水をバシャッと掛けられた啓介さん。ようやく意識を取り戻した…。
『お、おい詩織…こ…こんのばっか野郎!やり過ぎだァ!!』
詩織に向かって大きな声で叫ぶ秋良さん。
『??…?』
今、自身に何が起こったのか…よく解ってない啓介さん。
『ねぇ詩織、あのさぁ…』
『ごめんって。金魚…』
ほんの少し反省してるっぽいのが、表情に出ている詩織。
『きゃはは…ちょっと刺激、強すぎちゃったのかな?…ちょっとやり過ぎちゃった。きゃははは…』
…こ、この小悪魔詩織ときたら…。
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