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女装と復讐 -街華編-
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ちょうど運良く《おばタク》への送迎業務依頼のない時間帯だった。今からすぐ来てくれるという。
『じゃあ、ちょっと待っててね。お勘定済ませてくるから』
『あっ!鈴ちゃん待って!!』
歩美さんの隣に座っていた鈴ちゃんはスッと席を立ち、詩織の制止に応えずレジカウンターへ。
隣の鈴ちゃんが居なくなると、歩美さんの体がゆっくりと倒れだした。
詩織はバッグを僕に預け、歩美さんの隣へ慌てて移動。眠気によってフラフラと首の据わらない歩美さんの肩を、詩織は自分の肩へと持たせ掛けて支えてやった。
支払いを済ませ、戻ってきた鈴ちゃん。今度は空いている僕の隣に座った。今は岡ちゃんからの到着の電話連絡待ち。
『金魚、私のバッグの中からピンクの財布取って』
『あ…うん』
けど今度は逆に、それを鈴ちゃんに制止されてしまった。これで何度目?…また鈴ちゃんに代金を支払わせ…えっ!?
『…鮎美ちゃんのラーメン代だけだったの』
『ど、どういうこと!?』
『他のお客さん達には内緒で、今回だけ特別に…私たちのスープの代金はいいよって』
『えーっ!?』
『…はーい。はーい…待っててね』
ガチャッ。ツーツーツー。
岡ちゃんから鈴ちゃんへと、お店の前に到着したとの電話連絡。僕らは席を立った。
眠そう…てゆうか、もう殆ど眠り掛けている歩美さん。僕と詩織の2人で立ち上がらせ、支えてあげながらお店の出入り口へと向かう。
『す、すみません。ご馳走さまでしたぁ』
『あの…いいんですか?本当に…』
『あぁいいよ。今度はしっかり腹ぁ空かせて、また食べに来てくれよな』
『…だって。お父さんが言ってくれてるんだから、気にしないで』
笑顔でそう言ってくれた旦那さんとお姉さん…ほんとにいい人たちだ…。
『はいっ!絶対にまた食べに来まーす!』
鈴ちゃんは助手席に。僕と詩織と、そして歩美さんは後部座席に。《おばタク》は一旦、ナオさんのお店へと向かい走行中。
さっき、『えぇぇ…??』って、歩美さんを目の当たりにして驚いてた岡ちゃん。
『…それで、金魚ちゃんのお姉ちゃんは、今おいくつなの?』
『鮎美ちゃんは、金魚と2つ違いの22歳なの』
僕に代わってそう答えてくれた詩織。
そのちょっと前に岡ちゃんに、面倒な弁解と無駄な混乱を避けるために《金魚の実姉》なんだと説明してくれたのは…鈴ちゃん。
『お姉ちゃん、鮎美ちゃんっていうのね』
いつもの僕は黙って、車の窓から外を眺めてるんだけど…今だけは違う。
僕と詩織に挟まれるようにして、僕らの真ん中に座らせた歩美さん…その頭は僕の肩に。瞼は完全に閉じている。
じーっ…。
僕の視線は、歩美さんの…厚くはない、むしろやや薄めの桃色の唇に…目を奪われて…釘付けに。
『じゃあ、ちょっと待っててね。お勘定済ませてくるから』
『あっ!鈴ちゃん待って!!』
歩美さんの隣に座っていた鈴ちゃんはスッと席を立ち、詩織の制止に応えずレジカウンターへ。
隣の鈴ちゃんが居なくなると、歩美さんの体がゆっくりと倒れだした。
詩織はバッグを僕に預け、歩美さんの隣へ慌てて移動。眠気によってフラフラと首の据わらない歩美さんの肩を、詩織は自分の肩へと持たせ掛けて支えてやった。
支払いを済ませ、戻ってきた鈴ちゃん。今度は空いている僕の隣に座った。今は岡ちゃんからの到着の電話連絡待ち。
『金魚、私のバッグの中からピンクの財布取って』
『あ…うん』
けど今度は逆に、それを鈴ちゃんに制止されてしまった。これで何度目?…また鈴ちゃんに代金を支払わせ…えっ!?
『…鮎美ちゃんのラーメン代だけだったの』
『ど、どういうこと!?』
『他のお客さん達には内緒で、今回だけ特別に…私たちのスープの代金はいいよって』
『えーっ!?』
『…はーい。はーい…待っててね』
ガチャッ。ツーツーツー。
岡ちゃんから鈴ちゃんへと、お店の前に到着したとの電話連絡。僕らは席を立った。
眠そう…てゆうか、もう殆ど眠り掛けている歩美さん。僕と詩織の2人で立ち上がらせ、支えてあげながらお店の出入り口へと向かう。
『す、すみません。ご馳走さまでしたぁ』
『あの…いいんですか?本当に…』
『あぁいいよ。今度はしっかり腹ぁ空かせて、また食べに来てくれよな』
『…だって。お父さんが言ってくれてるんだから、気にしないで』
笑顔でそう言ってくれた旦那さんとお姉さん…ほんとにいい人たちだ…。
『はいっ!絶対にまた食べに来まーす!』
鈴ちゃんは助手席に。僕と詩織と、そして歩美さんは後部座席に。《おばタク》は一旦、ナオさんのお店へと向かい走行中。
さっき、『えぇぇ…??』って、歩美さんを目の当たりにして驚いてた岡ちゃん。
『…それで、金魚ちゃんのお姉ちゃんは、今おいくつなの?』
『鮎美ちゃんは、金魚と2つ違いの22歳なの』
僕に代わってそう答えてくれた詩織。
そのちょっと前に岡ちゃんに、面倒な弁解と無駄な混乱を避けるために《金魚の実姉》なんだと説明してくれたのは…鈴ちゃん。
『お姉ちゃん、鮎美ちゃんっていうのね』
いつもの僕は黙って、車の窓から外を眺めてるんだけど…今だけは違う。
僕と詩織に挟まれるようにして、僕らの真ん中に座らせた歩美さん…その頭は僕の肩に。瞼は完全に閉じている。
じーっ…。
僕の視線は、歩美さんの…厚くはない、むしろやや薄めの桃色の唇に…目を奪われて…釘付けに。
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