女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

page.325

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な、なんてキュート過ぎる可愛い唇なんだ…しかも、こんなに僕の間近に…ドキドキ。

世の男性諸君にとってこの唇は、あまりにも危険極まりない…罪深い《公然視覚的不意打ち魅惑テロ》だとしか言いようがない…。

ドキドキドキドキ…。

歩美さんの寝顔…見れば見るほど、歩美さんこそ《本物の金魚》なんじゃないかと思…。



えっ?本物…!!



ふと視線越しに…詩織がにんまりとした薄目の笑顔で、僕をじーっと見ているのが視界に入った…怖っ!!


「ねぇ…金魚。今…鮎美ちゃんの寝顔…唇?見てたでしょ。ふふっ…」


鈴ちゃんと岡ちゃんに聞こえないように?小声でそう僕に言う詩織…。


「えぇっ!?…み、見てな…ません…」

「嘘おっしゃい♪」


…ひぃぃ…。


「ねーっ♪金魚が生唾ゴクリ…って、ほっぺが紅くなっちゃうのも無理ないよね♪金魚に似てるってだけあって…鮎美ちゃん、ほんとすっごく可愛いもんねー。きひひひっ♪」


ニヤニヤ笑顔の詩織…ひぃぃいぃっ…。

また《小悪魔詩織》が降臨したぁぁぁー!!

うわぁぁーっ!!!怖ぁぁっ!!!


「いや、あの…あっ!ほら…歩美さんのメイク、どんなかなーって…気になっ…」

「はい嘘ー。嘘はダメったら♪私の《使》は誤魔化せませーん♪」

『…。』

「きゃははっ♪」

『……。』






…《おばタク》は5分ほどで、ナオさんの化粧品店の前に到着。そして路肩に停車。

いつものように、車を降りた岡ちゃんがドアを開けてくれる。


『鮎美ちゃーん、着いたよー。降りてー』


詩織が歩美さんの肩を、軽くトントンと叩く。


『………ぇ?…は、はぃ…』


まだ少し寝ぼけてる歩美さん。


『ほら…金魚はそっちの肩持ってあげて。私はこっち持つから』

『うん。よいしょ』


僕ら3人が降りると、助手席のドアガラスが下ろされ、静かに開いた。


『詩織ちゃん、金魚ちゃん』

『はい』


鈴ちゃんは開いた助手席の窓にちょこんと両手を掛け、顔をほんの少し乗り出させた。


『ロサンゼルスのお土産、ちゃんと買ってくるから…あっ!鮎美ちゃんの分もね。だから待っててね』

『うんっ。ありがとぉ♪』
『ありがとう』

『…あと』

『?』
『?』


優しい笑顔だった鈴ちゃんの表情が、急に険しくなった。


『…鮎美ちゃんの写真が《カラフル》に、勝手に貼られて《本物宣言》したって件のこと…彩に《問いただして》みておくから…』


…僕らは、少し重々しく頷いた。


『それじゃあ…詩織ちゃん、金魚ちゃん。ありがとうね』

『ううん。こちらこそ。ありがとう』


鈴ちゃんと詩織…お互い小さく手を振り合う。

岡ちゃんが運転席にさっと戻ると、《おばタク》はそのまま走り去った…。

























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