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女装と復讐 -街華編-
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10分くらい経ったかな…?
詩織が空になったスープの器の中に、れんげをそっと置く…カランと心地好い音がした。
『はぁ…。ごちそうさまぁ…どう?もしかして、私が一番速かったんじゃな…』
ううん。僕だって詩織に負けないくらい速かったし。
けど驚いたのは、僕のすぐあとに歩美さんが『ごちそうさまでした』したこと。
僕も詩織もスープだけだったけど、歩美さんは麺とスープ…食べるの速っ!
しかもスープ…一滴足りとも残ってない!超完食!
よっぽどお腹が空いてたんだと思う…。
鈴ちゃんは…というと、まだスープを頑張って飲んでる途中。
最後にスープを飲み干した鈴ちゃんが僕らに言った。
『私今ね、スープを飲みながら、ふと思ったの。鮎美ちゃん本人のフリをして《カラフル》に書き込みしたの、彩かもしれない…って』
彩乃が歩美さんに声を掛け撮影…その写真が《本物金魚宣言》をして《カラフル》に貼られた。それもすぐ《偽物騒動》となることを予測し判っていながら…。
どんだけ《金魚嫌い!》なんだよ!彩乃!!
ただ金魚にそっくりってだけで、歩美さんまでこの騒動に巻き込んで!!
詩織も僕も《そうだよ!彩乃の仕業に違いない!》とはっきり言いたかったけど…鈴ちゃんの手前、そんなこと言えなかった。
『でも、ほんとに彩乃ちゃんなのか…なんて、判らないし…ね』
鈴ちゃんに気を遣い、そう優しく言った詩織に、鈴ちゃんはキッパリと言い返す。
『ううん。今の彩乃ならやりかねない…って私には分かるの。前にもそんなことがあって…だからもう何度も何度も、あの子には注意して言い聞かせてきたのに…』
鈴ちゃんは自分の左手首に着けてる、キラキラ輝く腕時計をちらりと見た。
『ごめん…私、そろそろ帰らなきゃ』
『あ!ごめんね、鈴ちゃん。お家でお父さんとお母さんが待ってるのに、スタバと…ラーメン屋さんにまで付き合わせちゃって…』
僕も詩織の言葉のあとに、添えるように『ごめんね』と言った。
『金魚、私たちもそろそろお店を出よう』
『うん』
そう詩織に返事をして、ふと歩美さんを見…?
『歩美さん…眠いの?』
半分閉じかけた歩美さんの瞼が、何度もゆっくりとまばたきしている。
『ご…めんなさい…ちょっ…と…眠く…なっ…』
空腹を満たされ、あの3時間も心身ともに耐えてたスタバから脱出できた、精神的な疲れと今ある安心感…歩美さんが眠くなるのも仕方ない。
僕は頼るように詩織を見た。
『…じゃあさ、とりあえずナオさんのお店に行って、ちょっとだけ鮎美ちゃんを休めさせてもらおうよ』
『うん。だね』
鈴ちゃんがバッグからiPhoneを出した。
『ちょうど今、私岡ちゃんに電話するところだったし、それもお願いしてみるね』
『うん。本当に色々とごめんね…鈴ちゃん』
詩織が空になったスープの器の中に、れんげをそっと置く…カランと心地好い音がした。
『はぁ…。ごちそうさまぁ…どう?もしかして、私が一番速かったんじゃな…』
ううん。僕だって詩織に負けないくらい速かったし。
けど驚いたのは、僕のすぐあとに歩美さんが『ごちそうさまでした』したこと。
僕も詩織もスープだけだったけど、歩美さんは麺とスープ…食べるの速っ!
しかもスープ…一滴足りとも残ってない!超完食!
よっぽどお腹が空いてたんだと思う…。
鈴ちゃんは…というと、まだスープを頑張って飲んでる途中。
最後にスープを飲み干した鈴ちゃんが僕らに言った。
『私今ね、スープを飲みながら、ふと思ったの。鮎美ちゃん本人のフリをして《カラフル》に書き込みしたの、彩かもしれない…って』
彩乃が歩美さんに声を掛け撮影…その写真が《本物金魚宣言》をして《カラフル》に貼られた。それもすぐ《偽物騒動》となることを予測し判っていながら…。
どんだけ《金魚嫌い!》なんだよ!彩乃!!
ただ金魚にそっくりってだけで、歩美さんまでこの騒動に巻き込んで!!
詩織も僕も《そうだよ!彩乃の仕業に違いない!》とはっきり言いたかったけど…鈴ちゃんの手前、そんなこと言えなかった。
『でも、ほんとに彩乃ちゃんなのか…なんて、判らないし…ね』
鈴ちゃんに気を遣い、そう優しく言った詩織に、鈴ちゃんはキッパリと言い返す。
『ううん。今の彩乃ならやりかねない…って私には分かるの。前にもそんなことがあって…だからもう何度も何度も、あの子には注意して言い聞かせてきたのに…』
鈴ちゃんは自分の左手首に着けてる、キラキラ輝く腕時計をちらりと見た。
『ごめん…私、そろそろ帰らなきゃ』
『あ!ごめんね、鈴ちゃん。お家でお父さんとお母さんが待ってるのに、スタバと…ラーメン屋さんにまで付き合わせちゃって…』
僕も詩織の言葉のあとに、添えるように『ごめんね』と言った。
『金魚、私たちもそろそろお店を出よう』
『うん』
そう詩織に返事をして、ふと歩美さんを見…?
『歩美さん…眠いの?』
半分閉じかけた歩美さんの瞼が、何度もゆっくりとまばたきしている。
『ご…めんなさい…ちょっ…と…眠く…なっ…』
空腹を満たされ、あの3時間も心身ともに耐えてたスタバから脱出できた、精神的な疲れと今ある安心感…歩美さんが眠くなるのも仕方ない。
僕は頼るように詩織を見た。
『…じゃあさ、とりあえずナオさんのお店に行って、ちょっとだけ鮎美ちゃんを休めさせてもらおうよ』
『うん。だね』
鈴ちゃんがバッグからiPhoneを出した。
『ちょうど今、私岡ちゃんに電話するところだったし、それもお願いしてみるね』
『うん。本当に色々とごめんね…鈴ちゃん』
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