女装と復讐は街の華

女装と復讐 -街華編-

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ふと我に返ったら、周りは女の子だらけ…囲まれてるー！


「金魚ちゃーん♪」
「金魚ちゃん」


うわわわ！
僕は慌ててエスカレーターに飛び乗り、女の子たちをまいて２階まで下りて、とある女の子の洋服の店に飛び込んだ。


『いらっしゃいませー』


お洒落な店員のお姉さんが寄ってきて、僕に声を掛ける。


『えっ？ちょっと待って！？…本物の金魚ちゃん！？』

『あ…はい』


急にわあっとはしゃぐ店員のお姉さん。


『凄ーい！本物の金魚ちゃんだぁ！しかもほんとに凄く可愛いー！』

『あはは…ありがとうございます…』


ちょっとお洒落な店内を眺める…さっきの女の子たちは居ない…ってか、店内に陳列されている服…いいかも。


『今日はなにかお探し？』

『えぇと…服を…』

『ちょうどね、昨日から夏物の洋服が入荷したの。今このお店で一番推してるのは…』


《服》って以外なにも言ってないのに、店員のお姉さんは濃い黒色でスリムなノースリーブのＴシャツと、ピンク系のふわふわフリルたっぷりのミニスカートを持ってきた…完全にギャル系ファッション。

この生地の厚いノースリーブの黒いＴシャツには、ラメが散りばめられ織り込まれていて、少し動かすたびにキラキラと、Ｔシャツの表面が光ってる。
フリルたっぷりのミニスカートは、たくさん重なったピンクのフリルの中に、一枚だけ黒いレースのフリルも含まれていて、それがワンポイント的な可愛らしい印象を与えている。



『どう？この組み合わせ…可愛いでしょ？』


ふと通路の向こうに、さっきの女の子軍団が…！！

あわわわわ…！！


『ほ、ほんとだぁ…凄く可愛いですね！』


その女の子軍団が、このお店の前でキョロキョロと周りを見回してる…！！


『しっ試着してみても、い…いいですか！』

『うん。じゃあ試着室までご案内しますねー』


…ちょ、早く案内して！！


『じゃあ、ここで靴を脱いでから入ってね』

『はい！』


僕はお姉さん店員から、黒のノースリーブＴシャツとピンクのフリルのミニスカートを受け取って、ヒールサンダルを脱いた。
そして少し狭い試着室に飛び込んで、急いでシャッ！とカーテンを閉めた。


『金魚ちゃん、ごゆっくりどうぞ』

『あ、はい…』


…はーぁ。びっくりした。あんな女子軍団に追われるなんて…。
ひと呼吸置いて、一旦落ち着かせて僕はまた考える…。

この黒Ｔシャツとフリルミニスカート…ほんとに試着するの？僕が？
てゆうか、僕が試着しても仕方ないでしょ。

確かにこの組み合わせ、可愛いとも思えるけど…詩織って、こういう格好もするのかな…？
あんまり見たことないけど。詩織のこういう…！！？

…えっ、えっ！？
背後から、突然誰かに抱き締められた…！？


『誰！？』

『…。』


…そう言っても、何も答えない…。
急に得体の知れない恐怖心が込み上げてくる…。

さっきの店員さん！？…それとも、女の子軍団の一人！？

はっ！！
まさか…丹羽彩乃とか？まさか偽物金魚とか…！？


『誰なの！？答えて！！』

『…。』


試着室のカーテンを背にしていた僕。
僕は正面の鏡壁を見た…確かに僕の背後に誰か居る！！

見た感じ…僕より少しだけ背が低い？



…後ろから抱き締められてから数十秒のあと。


『…金魚姫さま』

『！！』