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女装と復讐 -躍動編-
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詩織が秋良さんを見た。秋良さんも演奏メンバー全員を見る。
既にギターを下ろし、シンセサイザーの電子オルガンへと移動していたわっちさん。
『それじゃあ…いきまーす』
そして「サンライズ」のイントロが始まった。
力強いヤマさんのドラム、リズミカルなわっちさん演奏の音色、曲に深みを与える啓介さんのベース音、カッコいい秋良さんのギター演奏…。
♪一度 踏み外した
見えない階段があって
恐くなって
大きく感じていたんだ
Oh...嫌いになって
Oh...投げ出したって
自分からは逃げらんないから
So I bring me some new sox
磨いたクツで
もう一回 出直したって
They can't say like
「アハハハ」no no
I believe myself…♪
僕は歌いながら思い出してた…この歌を僕らに紹介してくれたのは、秋良さん。
この歌を美容院で初めて聴いたとき、アンナさんと詩織が『これ…この歌詞、まるで信吾くんのことを歌ってるみたいじゃない?』『あ!…それっぽい!《一度踏み外した》とか《自分からは逃げらんない》とか…似てるー!きゃははは』って。
I believe myselfって…。
このステージ上で声を出して歌ってたら、なぜか緊張が消えて凄く心が落ち着いて…冷静になって観客を見ると、前のほう…制服姿の女子高生が多いってのに気付いた。
僕らに一生懸命に手を振ってくれてる女の子とかも、ハッキリと見て確認できる。
あ、そうだ!…タンバリンを持った詩織は…?
《僕のソロ歌唱パート》が終わり、少し息を切らし続きを歌いながら、ちらりと詩織を見る…。
脇目も振らず、真っ直ぐに観客たちのほうを見て、凄くいい笑顔で元気いっぱいに歌っている詩織の横顔…いい。綺麗。
不動にも安定した上体。それに相対して大きくリズムを刻む、軟らかくてしなやかな、詩織の《物腰フリフリ》…やや内股。
手首のしなりを効かせてリズムよく、左腰に打ち叩いてタンタンタンタン…左手に握ったタンバリン。
確かに…この軽快なリズムに、タンバリンは合ってる。
けど勿体ないことに、あの大きなスピーカーから出力される大きな響音に、タンバリンの音はかき消されてた。
それにしても…楽しそうに踊るように、腰を左右に揺らしながら歌ってる詩織が…ドキドキするくらい、凄く可愛く見える…ヤバい。
ふと僕の視線に気付き、こっちをちらっと見て、にこりと愛嬌よく笑う詩織。
えっ?今、僕に向かって可愛くウィンクした…?
ちょ、こらー!詩織!
僕にまで《タンバリン・マジック》かけてどーすんのって!!
心臓ドキドキ…ドキドキ…。
…1曲目「サンライズ」終了。
『みんなー、ありがとーぅ♪』
『…ぁり…とぅ…』
僕は完全に息が途切れて、力なく…手さえ振れない僕…金魚。
だって…僕のパートのラップって…結構激しいんだよ…はぁ、はぁ…。
「詩織ちゃん可愛いー♪」
「かーわーゆーいー♪」
「詩織ちゃーん♪」
観客からの声援。詩織の必殺《タンバリン・マジック》恐るべし…。
『やったね金魚!観客のみんな、凄く盛り上がってくれてたね!』
そうだね…全て詩織のおかげだね。
僕は詩織とハイタッチを交わして、ひとり後ろへと下がった。
次に詩織が歌う…秋良さんが作詞した《詩織のためのオリジナル曲》。
詩織はゆっくりと青い空を見たり、ステージの床の汚れを眺めたり…心落ち着かせてる感じだった。
『えぇと…秋良くん、いい…かな?』
「あぁ。俺らはいつでもいいぞ」
詩織は足元にタンバリンをそっと置いた。
『じゃあ…次の曲、いきます。これは今日のために用意した、オリジナル曲です。聴いてください…』
また観客が、一瞬わあっと盛り上がる。
一旦、それが落ち着いて…秋良さんのギターの優しい演奏から始まり、詩織は歌い出した…。
既にギターを下ろし、シンセサイザーの電子オルガンへと移動していたわっちさん。
『それじゃあ…いきまーす』
そして「サンライズ」のイントロが始まった。
力強いヤマさんのドラム、リズミカルなわっちさん演奏の音色、曲に深みを与える啓介さんのベース音、カッコいい秋良さんのギター演奏…。
♪一度 踏み外した
見えない階段があって
恐くなって
大きく感じていたんだ
Oh...嫌いになって
Oh...投げ出したって
自分からは逃げらんないから
So I bring me some new sox
磨いたクツで
もう一回 出直したって
They can't say like
「アハハハ」no no
I believe myself…♪
僕は歌いながら思い出してた…この歌を僕らに紹介してくれたのは、秋良さん。
この歌を美容院で初めて聴いたとき、アンナさんと詩織が『これ…この歌詞、まるで信吾くんのことを歌ってるみたいじゃない?』『あ!…それっぽい!《一度踏み外した》とか《自分からは逃げらんない》とか…似てるー!きゃははは』って。
I believe myselfって…。
このステージ上で声を出して歌ってたら、なぜか緊張が消えて凄く心が落ち着いて…冷静になって観客を見ると、前のほう…制服姿の女子高生が多いってのに気付いた。
僕らに一生懸命に手を振ってくれてる女の子とかも、ハッキリと見て確認できる。
あ、そうだ!…タンバリンを持った詩織は…?
《僕のソロ歌唱パート》が終わり、少し息を切らし続きを歌いながら、ちらりと詩織を見る…。
脇目も振らず、真っ直ぐに観客たちのほうを見て、凄くいい笑顔で元気いっぱいに歌っている詩織の横顔…いい。綺麗。
不動にも安定した上体。それに相対して大きくリズムを刻む、軟らかくてしなやかな、詩織の《物腰フリフリ》…やや内股。
手首のしなりを効かせてリズムよく、左腰に打ち叩いてタンタンタンタン…左手に握ったタンバリン。
確かに…この軽快なリズムに、タンバリンは合ってる。
けど勿体ないことに、あの大きなスピーカーから出力される大きな響音に、タンバリンの音はかき消されてた。
それにしても…楽しそうに踊るように、腰を左右に揺らしながら歌ってる詩織が…ドキドキするくらい、凄く可愛く見える…ヤバい。
ふと僕の視線に気付き、こっちをちらっと見て、にこりと愛嬌よく笑う詩織。
えっ?今、僕に向かって可愛くウィンクした…?
ちょ、こらー!詩織!
僕にまで《タンバリン・マジック》かけてどーすんのって!!
心臓ドキドキ…ドキドキ…。
…1曲目「サンライズ」終了。
『みんなー、ありがとーぅ♪』
『…ぁり…とぅ…』
僕は完全に息が途切れて、力なく…手さえ振れない僕…金魚。
だって…僕のパートのラップって…結構激しいんだよ…はぁ、はぁ…。
「詩織ちゃん可愛いー♪」
「かーわーゆーいー♪」
「詩織ちゃーん♪」
観客からの声援。詩織の必殺《タンバリン・マジック》恐るべし…。
『やったね金魚!観客のみんな、凄く盛り上がってくれてたね!』
そうだね…全て詩織のおかげだね。
僕は詩織とハイタッチを交わして、ひとり後ろへと下がった。
次に詩織が歌う…秋良さんが作詞した《詩織のためのオリジナル曲》。
詩織はゆっくりと青い空を見たり、ステージの床の汚れを眺めたり…心落ち着かせてる感じだった。
『えぇと…秋良くん、いい…かな?』
「あぁ。俺らはいつでもいいぞ」
詩織は足元にタンバリンをそっと置いた。
『じゃあ…次の曲、いきます。これは今日のために用意した、オリジナル曲です。聴いてください…』
また観客が、一瞬わあっと盛り上がる。
一旦、それが落ち着いて…秋良さんのギターの優しい演奏から始まり、詩織は歌い出した…。
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