女装と復讐は街の華

女装と復讐 -発起編-

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そして、宮端学院大学に入学してからの話の続き…。




…僕はキャンパス内の女学生らと友達になろうと努力した…けど、この見た目から次第に馬鹿にされはじめ…早瀬ヶ池でお洒落な女の子に声を掛けるようになった…。

…でも、どんなに頑張っても瀬ヶ池でも見下され、遂に笑われるようになって…そして、いつしか僕は《瀬ヶ池のメダカ》と呼ばれ有名になってしまった…。

この美容院クローシュ・ドレに来るまでのさっきだって…。




『信吾くん…なんだかちょっと、雰囲気が暗くなっちゃったわね…』

『あ…ごめんなさい』


アンナさんの表情を曇らせてしまった…え？でもすぐに明るい笑顔を取り戻し…？


『そっか。信吾くん、色々と苦労してきたのね。じゃ…気分転換も兼ねて、女の子メイクでもしちゃおうかしら…ね！』

『……。』


僕はポカンと口を開け、つい呆気にとられてしまった…。アンナさん、僕の話、本当にちゃんと聞いてくれてたんだろうか…ちょっと不安。

すっかり嬉しそうなニコニコ笑顔のアンナさん。ささっとワゴンを引っ張ってきて、僕の黒ぶち眼鏡を許可なく外し、さっさとメイクアップを始めてしまった…。



この美人お姉さんときたら…ただ僕をメイクしたかっただけじゃ？……あぁ。




『わぁ。ほら、今日も凄く可愛い！』

『……。』


あっという間にメイクは終了。手を叩き、喜ぶアンナさん。いくら可愛くても、今は苦笑いするしかなかった…。


『あの…話の続き、と言うか…本題に入ってもいいですか…？』

『あーメイク楽しかったぁ。もう最こ…え？あー…じゃあ、次はちゃんと真面目に聞きます』

『……。』


…ガクッ。けど気分を取り戻して、改めて話を続けないと。


『アンナさん…僕のメイク顔、瀬ヶ池に集まる何千人という女の子たちの中でも、上位の10人に入る可愛さだ…って、言ってくれましたよね？』

『うん。言ったわ。そのメイクした女の子顔の《可愛い》という方向性ではね。今改めて見たってそう思えるわ』

『じゃ、例えば…この女の子メイクを利用して、僕を見下してた女の子たちの自慢の鼻を…へし折ってやるなんてことは、可能ですか？』


さっきまでニコニコ笑顔だったアンナさんの表情が、だんだんと素顔に戻ってゆく…。


『…僕を嘲笑い、後ろ指を差し、馬鹿にした…あの女の子たちに仕返しをしたいんです。自分たちが一番お洒落で、綺麗で、可愛いんだって、鼻高々になってる女の子たちに…復讐』

『…待って！！』

『えっ？』