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ギルティー!

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 もう色々と諦めました。
 サラに泣きつかれた母さんは、「あらあら困ったわねえ~」とは言いながらも、きっちりサラのお願いはスルーしてくれた。
 これはサラを愛人として受け入れるのを拒否したという訳でも無く、当分は嫁が5人もいればいいだろうという考えかららしい。
 そう…当分は…だ。母さんは、まだまだ増やすつもりがあるらしい。
 どんだけ俺を種馬にしたいんだよ!
「それじゃコルネの婿を増やす?」
 そう言われると…俺が犠牲になればいいのか? わかったよとだけ返事はした。

『馬鹿ですね~大河さん。一夫多妻は認められてますが、一妻多夫は認められてませんよ?』
 う゛ぇ!? マジ?
『本当にお馬鹿ですね~。多くの血族を残すための一夫多妻制ですよ? 夫は1人でも種は沢山用意出来ますが、畑である妻が1人では、子供が出来る数は限られるでしょう? だから一妻多夫は認められていないんですよ』
 あ…言われてみれば…
『それに、命が軽いこの世界ですから、男性の早死にが多いんです。物理的にこの世界では男女比が1対2.5ぐらいで、女性の方が多く余ってるんです』
 確かに街の外に出れば危険がいっぱい…外に出るのは男だけだし…
『ふっ…お母様にまんまと言質をとられましたね。これで私も愛人候補です!』
 むむむむむ…しかーし! 俺にも拒否する権利はあーる! サラならば、断固拒否だ! この俺の牙城、容易く突破できると思うなよ! 
『まあ~そう言ってられるのも今の内です。外堀をじわじわ埋め尽くして、最強の軍を率いてその城壁を突破してみせますから、楽しみにまっていてください! 抗えるものなら抗ってみればよい! その全てを打ち砕こうぞ! ぐへへへへへへへ…』
 ぐっ…俺は負けない! 母親という最強にして最恐の権力にも、断固として立ち向かい戦うのだ! 退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ! この俺に逃走は無いのだーー!
『ほ~! ではお母様にその様に伝えてきます。トールヴァルド様は、お母さまの言葉に従う気なんてこれっぽっちも無いって』
 や、やめろー! それとこれとは別だー! サラに関する事だけだー!
『そうお母様が思ってくだされば良いですね~! では!』
 おーまーえー! まてーーーー!!

 母さんに掴まり、厳しい事情聴取を受けました…それはそれは厳しい事情聴取を…

 さて、スロスト商会の会頭であるマチルダさんのお父さんには、マチルダさん直通の特製の通信の法具をお渡しした。
 特製といっても市販品には無いカラーなだけなんだが。
 この世界で接着剤に使われている漆っぽい樹液(ウルシオールが含まれてないのでアレルギー反応が無い優れもの)を見つけたので、海で拾ってきた虹色光沢の真珠層を持つ貝殻を使って、螺鈿細工を施した一品。
 これは前世での俺の趣味の1つ、ガンプラ改造テクニックがフルバーストしたぜ!
 こういったチマチマした作業は結構好きなんだよ。
 いわゆる懐かしのデコ電だな、和風の。もしかして流行るか?
 意外…でもないんだが、ユズキも興味を示したんで教えたらすぐにマスターして、ユズカとの専用機を作ってた。
 これで何かあっても、どんな時でも話せるからって…ラブラブでいいね君達…

 取りあえず、今回の旅の目的の1つは達成できたので、次に向かいまーす!
 次の目的地は、ミレーラの故郷である、真アーテリオス神聖国にあるミレーラの実家。ここにもミレーラとの直通の通信の法具をおいてあげたい。
 んで、出来れば真アーテリオス神聖国にも販売代理店を置けたらいいなあと思うのだが、伝手が無いんで今回はその相談も兼ねての訪問だ。
 
 ホワイト・オルター号での空の旅は順調で、4日目にはあの国境の河の畔に到着。
 前回同様、人気の無い場所に着陸して、一泊してから入国をしようと思っていると、すぐに聖騎士さんの一団がやって来た。
 まあ、空飛ぶ目立つ船だから、城壁から見えたんだろうね。
 前回の訪問からまだ日も浅いと言うのに、再度の訪問とは一体何があったのかと、慌てて駆けつけたっていう事らしい。
「いやいや、今回は個人的な用件での訪問なのですが…構いませんか?」
 素直に本当の事を話したが、聖騎士さん達は、
「それならば是非ともべダム首長と会合をするお時間を作ってください!」
 ってお願いされちゃったよ。まあ、俺は挨拶にはいくつもりだったのでOKしといたけど、良いのかなあ…俺は国の代表でも何でも無いんだけど。
 会合の間、みんなはミレーラのご両親と真アーテリオス神聖国の街中に散策でも行ってればいいか。
 終わったら通信の法具で連絡を取り合えばいいし。うん、やっぱこの法具便利。
 現代地球って、こうして考えたらめっちゃ恵まれてたよなあ。
 聖騎士さん達には、明日の朝にお伺いするので、出来れば迎えに来て欲しいという事と、馬車を5~6台ほど用意して欲しいとお願いしたのだが、あっさりと諒承してくれた。
 ついでに伝言として、ミレーラのご両親にも、明日の朝に城門前に来てもらえる様に頼んでおいた。
 確かお父さんは、聖騎士団の事務方だったはずなんで、そんなに手間じゃないはず。
 ま、ちゃんと心付けも渡したんで、喜んでやってくれるだろう。
 ふっ…世の中、最後にものを言うのは銭ですよ銭。

 とまあ、先触れの必要も無くなったんで、この場所でのんびり1泊しましょう。
 そう言えば、最近コルネちゃんとゆっくりとお話しする機会も減った事だし、今夜は一緒にお話ししながら寝ようかな~。
「お兄ちゃんなんてキライ!」って言われない様に、色々と日頃からお話しとかしないとね。うん、兄妹のスキンシップはと~っても大事!  
 そうだ! お風呂も一緒に入ろうかな。その後、ベットでゆっくりと最近のコルネちゃんのお話を聞かせてもらおう!
『またシスコン爆発ですか? でも大河さん…それは犯罪ですよ…事案です!』
 う、うるさいぞ、サラ! 兄妹ならば問題ないのだ!
『マスター…私はコルネリア様を護らねばならないのですが…』
 大丈夫だぞ~ナディア。俺はコルネちゃんに何の危害も加えない、安心安全なお兄ちゃんだからな~!
『『嘘くさい!』』
 2人してなんだよ! お風呂で洗いっこしたり、ベットでぎゅーって抱きしめながらお話ししたりするだけだぞ!
『『完全にアウトです!』』
 ちくそー! お兄ちゃんは…お兄ちゃんは、愛する妹の成長具合を色々と確かめたいだけなんだ!
『『ギルティー!』』
 …………… 
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