【BL 百合 リョナ】栗垣家兄弟の災難

２章 壊れた日常。

６話 無理矢理

次の日の朝。


｢………駄目か…………｣


熱が出た。


（今日は無理か………行けると思ったんだけどな）


風深乃がノックをしてから部屋に入ってきて、



｢兄さん、大丈夫ですか？今日は………｣
｢ごめん……熱がある｣



風深乃は朝俺の体調チェックに来てくれる。




｢わかりました。では後で朝ご飯持ってきますね。｣
｢うん……お願い｣





ーーー


しばらくして風深乃がプレートに乗せられた朝ご飯を持ってきてくれて、｢お大事にしてください｣と言われ部屋を出ていった。




（……部屋で１人で食べるご飯、もう数え切れないな）




一体ここで何回１人でご飯を食べたんだろう。





｢………｣




寂しい。







ーーー

（柚鳥side） 


｢チヅ｣


ノック無しでチヅの部屋に入った。



｢……あ、柚鳥｣



部屋ではもうご飯を食べ終わったチヅが本を読んでいて、僕を見ると緩やかに口角を上げた。



｢ご飯片付けに来た。………具合は？｣
｢ちょっと熱っぽいかな………｣
｢そっか………、……あ、そろそろテストだよね｣




もうすぐ定期考査が迫ってる。




｢範囲聞いてくるよ。……お盆ちょうだい。｣





柚鳥はやっぱり優しい。






｢ありがと………柚鳥！｣







ーーー


（風深乃side）


今日も普段と変わらない平和な学校生活を送っていた。



｢………！｣
｢あ、藍花。｣



移動教室中に藍花に会った。
相変わらず１人で隅を歩いている。




｢藍花、次はなんの授業ですか？｣
｢………あ…、…えと、…その｣





藍花は人見知りだから喋るのが苦手。
だけど……何か今のはいつもよりひどいような、




｢ーーーッ！！｣




途端、藍花がびくんと跳ねた。




｢あ……藍花？！｣
｢っ……か…化学｣




あ………




｢そう……ですか、頑張ってください｣




藍花はこくんと頷いて、俯きながら駆け足でその場を去った。





｢………｣





学校で見る藍花は、少し様子がおかしい。






ーーー

（藍花side）


トイレの個室に入って鍵を閉めた。



｢っふー…､ふー…ｯ｣


 
息が苦しい。




また振動した。




｢う"………ッ！！｣





愛宮が｢ローターで遊ぼうよ｣って言って中にいれて………スイッチは愛宮が持っていてたまに振動するから困る。




（もう無理………）





｢っふ…、んぁ、あ………ｯ｣




我慢出来なくなって自分でした。



簡単に絶頂して、息を整えている間、





（なんで………こんな変態になっちゃったんだろう）





ずっと考えてた。






ーーー


｢藍花ちゃん、おしっこ｣



昔の記憶ははっきり覚えている。



｢わ……わん｣



幼稚園に通っていたくらいの年に、男に誘拐された。




それから待っていたのは首輪を付けて犯される日々。
中学生に上がるまでそれは続いた。




｢や"……、ッあ｣



小さかった体を暴力でねじ伏せられて、無理矢理犯されて、いつからかそれが、




（……快感になってた。）





壊れたわけじゃない。狂ったわけじゃない。



ただ、悪く無くなっていた。




（まさか……愛宮にバレるなんて思わなかったけど）




どういう訳か愛宮にバレてこうなって、けどそれが私にとっては生き甲斐で、






壊したくないと思っていた。







ーーー


（柚鳥side）



３年生との合同授業。



うちは総合学科なので時間割は自分で決めて………たまに３年生と同じ教室で受けることがある。




｢今回のテストはここからここ、メモしとけよー｣




だから３年生と被る授業は選択して、出来るだけチヅと同じ授業を取っている。




（あとは………３年生の先生にテスト範囲を、）




そう思って、６時間目終了後教室を出た時、





｢ねえねえ、君｣






声をかけられた。





自分だと思わなくて一度はスルーしたけど、後ろから肩を掴まれてびっくりして振り向く。




｢……？｣




誰だろう…………



背の高い、………ネクタイの色からして３年生。




｢ちょっとついてきてくれない？｣






………良いも悪いも言ってないのに、





｢ッ……！｣
｢ほら早く！｣




無理矢理連れて行かれた。





｢……や、チヅ、チヅたすけて｣
｢え、何？いいから、友達も待ってるし｣




怖い