侯爵家の当主になります～王族に仕返しするよ～

笑う当主と踊る幽霊

9 恋する男side

　ガヤガヤ、ガチャガチャ、ワイワイ。そんな、とある日の城内の食堂は活気に溢れいるのだ。

　そんな活気の中、ポワンとした青年が座っている。

ジェラール・フォン・シェイク。法務部の室長だ。

現在、城内で一番ブラックな職場だ。


「何か悩みでもあるのか」怪しいおっさんが近づいてくる。

最近、食堂に出没している謎人物だ。

「何か、くらくらするんです」
「どんな時に？」

普段のジェラールなら、怪しい人物など相手にはしない。

「えっ、ある特定の人物の、仕草何かを繰り返し思い出してしまいます」
20代後半の男が、頬を染めながら答える。
「どんな仕草を思い出すんだ」

「ペタペタと裸足で歩く姿。足の裏の柔らかさを想像してしまいます」

《グヘッ・・・・》

隣で食事をしながら、聞き耳を立てていたモブが噎せるのはお愛嬌だ。

「それほど大切なのだな」
「はっ、はい、彼女を守りたい。大切にしたいのです」

隣で食事中のモブが、疎外感を感じてしまうのは仕方ない。


　ジェラールと、食堂に出没しているオッサンは暫く話ていた。
しかし、オッサンは迎いに来た役人達に、拐われる様に連行されてしまったのだ。


「大臣、探しましたよ」
「休み時間に、食事をしていただけだ」
「はいはい、執務室に帰りましょうね」

ジェラールがこの会話を知る事は無いだろ。


ジェラールが、オッサンのアドバイスを実行する事にしたのはこの後。

好きな女性に、宝物を献上するように。

相手の事、家、仕事、好み。全てを調べ網羅するように。