虹の月 貝殻の雲

たいよう一花

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Ⅱ 幽閉

13. 二度目の交わり(5)

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外に張り出た魔王の<主根>が、レイのたかぶりにぴったりと寄り添い、熱を交換し合う。
柔軟な動きを見せる<主根>の先端が、ちょうどレイの肉茎の中程に当たり、裏筋をぐりぐりと刺激すると共に、溢れ出す先走りで濡らしてゆく。その感触にレイは陶酔し、仰け反ってすすり泣いた。

魔王はレイの唇を名残惜しげに解放すると、両手でレイの昂ぶりと<主根>を束ねるように包み、ゆっくりとしごき始めた。

「ん…あぁっ! はっ、あああっ! うあぁっ……!」

体内に魔王の熱い肉塊を受け入れたまま、もう片方の分身と触れ合い、自身の昂ぶりを摩擦される――この異様とも言える状態に目眩を感じながら、レイは怒涛のように押し寄せる快感に、呑み込まれていった。

「ああっ、あ……うんんっ、ん、くぅっ……!」

快楽に溺れるあまり、零れ落ちた涙が幾筋も頬を伝い、レイの唇は口付けの名残で、しっとりと濡れている。
扇情的なその様子を見つめながら、魔王は一心に、熱い二本の肉塊をこすり続け、その一方で、レイの中におさめた<従根>は、少しも動かさなかった。

この不自然とも取れる行為には、理由がある。
すべては、<神聖な誓い>の真の成就を求めるが故。ひいては、レイと心身共に結ばれるためだった。

<神聖な誓い>の真の成就を得るには、いくつかの条件がある。

まず、魔界の夜に君臨する3つの月のうち、第一の月<イリアナ>が満ち欠けする期間、毎晩体を繋げる必要がある。その期間については諸説あり、イリアナの周期――28日間が基本とされるが、互いの相性や絆の強さによっては、それに満たなくても成就が可能になると言われている。その条件を満たした上で、互いの血を交換し、誓いの言葉を贈り合えば、成就のための条件は全て揃うことになる。

サライヤに懇願し、得た猶予期間は30日間。
その間に、何としてでも、<神聖な誓い>を成就させなくてはならない。
他にも憂慮があり、レイの体を慣らすための準備期間を設ける余裕は、魔王にはなかった。だからこそ魔王はレイを強引に攫い、行為に及んだのである。

準備が足りないのを承知の上、レイを傷付けずに抱くには、こうする他なかった。それというのも魔王の二振りの男根は共鳴関係にあり、片方がけば、もう片方も達するからである。この方法でなら、レイの負担を最小限に抑えたまま、毎晩体を繋げ、更にはレイの体を徐々に、魔王の大きさに慣らすことができる。

しかし魔王としては、このような抱き方は不本意であった。
これでは自慰と、たいして違いはない。
できることならレイの体を奥深くまで貫き、その温かい粘膜を擦り上げたかった。そして互いに昂まりながら、一体感と共にほとばしる欲望を解放へと導きたかった。

(仕方あるまい……レイの体が慣れるまでの辛抱だ……)

魔王はそう思いながら、次第に限界へと近づきつつある欲望を、強く絞って摩擦を早める。
それに伴い、レイの呼吸が逼迫し、喘ぎ声も高まってゆく。

「んああっ、はぁ、はっ、あああっ…っ……ぅくぅっ……!」

やがてビクン、と大きく仰け反り、レイが絶頂に達する。
その瞬間、レイの後ろが収縮し、呑み込んだままの<従根>を締め付けた。その刺激が決定的な一打となり、魔王もまた、頂点へと登り詰めた。

「うぅっ! ……くっ……!」

魔王の二振りの巨根から、同時に欲望のたぎりが放出される。
<従根>からほとばしる液体はレイの体内へと注ぎ込まれ、外に張り出た<主根>から勢いよく飛び散ったそれは、汗ばんで上気したレイの肌の上を、反らされた喉を、空気を求めて開かれた口元を、次々と濡らしていった。

一度ですべて出し切ろうとしたかのような、凄まじい量だった。
欲望の放出がやっと終わった頃には、レイの体は内側も外側も、白濁した液体にまみれ、しとどに濡れていた。
レイは半ば呆れながら、口元にまで届いた魔王の精液を拭うと、それを指に絡ませて、ぼんやりと見つめた。

(有り得ない量……だろ……。それとも魔族は、これが普通……なのか?)

体内に注がれると同時に、大量に浴びせられたその液体を、レイは汚いとも、気持ち悪いとも思わなかった。
そしてそんな自分が、信じられなかった。

(どう……なってるんだ……俺……)

まだ魔王を受け入れている箇所が、ずくずくと疼く。
もっと欲しくて、たまらなかった。

しかしその思いとは裏腹に、魔王はレイの中におさめていた逸物を、ゆっくりと引き抜いた。途端、痺れるような快感に浸され、レイが切なげに喘ぐ。

「んあぁっ! はっ、んくっ……ぅああっ!」

体内に注がれた液体がとろりと溢れ出し、レイの引き締まった双丘へと流れ出してゆく。
魔王はレイの臀部を持ち上げ、出血していないことを確認すると、安堵の息を吐き出した。
そうして濡れた体を抱きしめ、さすりながら、何度も愛の言葉を繰り返した。

「愛してる……レイ……愛してる…愛してる…愛してる……」

レイはそれを聞くともなしに聞きながら、心地よい陶酔感にどっぷり浸かりこんだ。

どれくらい、そうしていただろうか。

魔王はレイの体を名残惜しげに離すと、寝台の傍らの小卓へ手を伸ばし、そこに置かれた小さなベルを振り上げた。
特殊な造りのベルは、何も音を発しなかったが、ややあって、寝室の扉をノックする音が響き、「ご用でしょうか」と人形の声が問うた。
魔王は「扉を開けろ」と人形に命じると、目を閉じて眠りかけているレイを横抱きに抱え上げた。
室内に足を踏み入れ、深く一礼した人形の横を、レイを抱え上げた魔王が通り過ぎる。すれ違いざまに「寝具の交換を頼む」とだけ命じると、魔王は浴室へと向かった。
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