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68話 プール 1
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「ついに、この日が来た!まさか俺が女の子とプールに来る日が来るとは」
「はぁ……」
「緊張するなぁ……」
三者三様の反応だな。海斗は能天気にはしゃいでるし、陽斗は気まずいだろうし、亮は冬華のことで頭いっぱいだし。
約束まであと五分。それまでにこの三人が落ち着いてくれると良いんだけどな。
「海斗、一旦落ち着け。まだ集合すらしてないんだぞ」
「そうだけど、こんなの青春って感じするだろ」
「そうだな。振り返る時が来たら……良い思い出になるかもしれないな」
クソッ。最近は良くあの事が脳裏にチラつく。あの事を考える時間が増えたせいか?
「お、来たんじゃないか?」
「………俺、やっぱ帰ろうかな」
「緊張でお腹痛い」
「…………はぁ」
………こうなったら後は、なるようになる、と考えとくしかないか。最悪俺がフォローすれば良いしな。
「みんな、お待たせ」
那乃が代表して声をかけてきた。俺らはその場で軽く言葉を交わし、その後海斗の掛け声で海斗を先頭に駅に向かう。その後を陽斗が那乃を避けるようについて行った。
「わたし、来ない方が良かったかな?」
少し悲しそうに笑う那乃。こんな風になったのは俺の責任でもある。何よりも、二人がこのままと言うのは友達として嫌だ。何とかして二人の関係を修復しないと。
「関係修復、俺も手伝うよ。それよりも瑠魅は?」
「もう行っちゃったよ、ほら」
那乃の視線の先には浮かれた瑠魅の姿があった。どうやら、相当楽しみのようだ。
「じゃあ俺らも行くか」
「そうだね」
~~~~
「うおぉ、でっか!」
大型市民プール、『ハワイアイランド』。室内型で季節問わず遊べるのが特徴だな。
流れるプールに長いウォータースライダー、温水プールに擬似的なビーチまで備えてある。
「じゃあ着替えたら更衣室前で待機な!それじゃ野郎ども、行くぞ!」
施設に入った海斗は一層元気になり、更衣室へと駆けて行った。
海斗なりに陽斗を元気にさせようとしてるのは分かるが、あからさま過ぎて見てて恥ずかしい。これが共感性羞恥か。
そんなことを思いながら海斗の後について行き、更衣室で着替える。
着替えている途中、やはり元気の無い陽斗と亮。亮のアレは贅沢として陽斗はやはりどうにかしないとな。
俺は荷物を陽斗の隣のロッカーに入れた。
「陽斗、そんなに気まずいか?」
「当たり前だろ?こんなふうになるんだったら告白なんてしなきゃ良かった」
やっぱり申し訳ないことをしたな。促しただけとは言え、友達がこんな風に思い詰めていると、負い目を感じる。
「那乃と前みたいな関係になりたい?」
「そりゃ……こんな風に避けるよりは、な」
「じゃあ俺が仲立ちして良いか?」
プールを楽しむなんて二の次だ。今回はそれよりも優先しなきゃならない事がある。
「任せも良いのか?俺らの問題なのに?」
「あぁ。少なからず俺にも非があるし、負い目も少々、な」
「じゃあ、頼むわ」
弱々しくもいつものような笑みを向けられて、俺の心も幾分か救われた。さて、打算的に遊ぶは今日までだ。明日からは絶対に普通に楽しむ。
~~~~
「良かった。女子たちより早かったみたいだな」
「まぁ、女子って基本着替えに時間掛かるしな」
陽斗とそんな言葉を交わしながら、女子更衣室のドアが見える位置にみんなで集まる。
陽斗は何となく回復したみたいだけど、亮は来る時から若干緊張している。服を褒めるのもだけど、今度は水着だ。亮にとってはかなりハードルが高いだろう。
「亮、大丈夫か?」
「うん、まぁ」
海斗は何かを考えてるみたいだし、陽斗も自分の事で精一杯だろう。今亮の緊張を和らげられるのは俺だけか。
「付き合って早々にプールデートは荷が重いか?」
「あはは、ちょっとね。でも、こう言うのはシュミレーション済みだよ」
「そっか。じゃあ、ちゃんと褒めてやれよ」
「うん。まぁでも、フォローは頼みたいかな?」
まぁ、今日までは良いか。こういうのはこういうので楽しいし。
「あぁ。任された」
そこで周囲が若干騒がしくなった気がして、俺は反射的に女子更衣室の方へと視線をやった。
「ハハッ……レベル高ぇな」
水着姿の瑠魅たちはやはり公共の場でも自然と視線を集めるみたいだ。
「はぁ……」
「緊張するなぁ……」
三者三様の反応だな。海斗は能天気にはしゃいでるし、陽斗は気まずいだろうし、亮は冬華のことで頭いっぱいだし。
約束まであと五分。それまでにこの三人が落ち着いてくれると良いんだけどな。
「海斗、一旦落ち着け。まだ集合すらしてないんだぞ」
「そうだけど、こんなの青春って感じするだろ」
「そうだな。振り返る時が来たら……良い思い出になるかもしれないな」
クソッ。最近は良くあの事が脳裏にチラつく。あの事を考える時間が増えたせいか?
「お、来たんじゃないか?」
「………俺、やっぱ帰ろうかな」
「緊張でお腹痛い」
「…………はぁ」
………こうなったら後は、なるようになる、と考えとくしかないか。最悪俺がフォローすれば良いしな。
「みんな、お待たせ」
那乃が代表して声をかけてきた。俺らはその場で軽く言葉を交わし、その後海斗の掛け声で海斗を先頭に駅に向かう。その後を陽斗が那乃を避けるようについて行った。
「わたし、来ない方が良かったかな?」
少し悲しそうに笑う那乃。こんな風になったのは俺の責任でもある。何よりも、二人がこのままと言うのは友達として嫌だ。何とかして二人の関係を修復しないと。
「関係修復、俺も手伝うよ。それよりも瑠魅は?」
「もう行っちゃったよ、ほら」
那乃の視線の先には浮かれた瑠魅の姿があった。どうやら、相当楽しみのようだ。
「じゃあ俺らも行くか」
「そうだね」
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「うおぉ、でっか!」
大型市民プール、『ハワイアイランド』。室内型で季節問わず遊べるのが特徴だな。
流れるプールに長いウォータースライダー、温水プールに擬似的なビーチまで備えてある。
「じゃあ着替えたら更衣室前で待機な!それじゃ野郎ども、行くぞ!」
施設に入った海斗は一層元気になり、更衣室へと駆けて行った。
海斗なりに陽斗を元気にさせようとしてるのは分かるが、あからさま過ぎて見てて恥ずかしい。これが共感性羞恥か。
そんなことを思いながら海斗の後について行き、更衣室で着替える。
着替えている途中、やはり元気の無い陽斗と亮。亮のアレは贅沢として陽斗はやはりどうにかしないとな。
俺は荷物を陽斗の隣のロッカーに入れた。
「陽斗、そんなに気まずいか?」
「当たり前だろ?こんなふうになるんだったら告白なんてしなきゃ良かった」
やっぱり申し訳ないことをしたな。促しただけとは言え、友達がこんな風に思い詰めていると、負い目を感じる。
「那乃と前みたいな関係になりたい?」
「そりゃ……こんな風に避けるよりは、な」
「じゃあ俺が仲立ちして良いか?」
プールを楽しむなんて二の次だ。今回はそれよりも優先しなきゃならない事がある。
「任せも良いのか?俺らの問題なのに?」
「あぁ。少なからず俺にも非があるし、負い目も少々、な」
「じゃあ、頼むわ」
弱々しくもいつものような笑みを向けられて、俺の心も幾分か救われた。さて、打算的に遊ぶは今日までだ。明日からは絶対に普通に楽しむ。
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「良かった。女子たちより早かったみたいだな」
「まぁ、女子って基本着替えに時間掛かるしな」
陽斗とそんな言葉を交わしながら、女子更衣室のドアが見える位置にみんなで集まる。
陽斗は何となく回復したみたいだけど、亮は来る時から若干緊張している。服を褒めるのもだけど、今度は水着だ。亮にとってはかなりハードルが高いだろう。
「亮、大丈夫か?」
「うん、まぁ」
海斗は何かを考えてるみたいだし、陽斗も自分の事で精一杯だろう。今亮の緊張を和らげられるのは俺だけか。
「付き合って早々にプールデートは荷が重いか?」
「あはは、ちょっとね。でも、こう言うのはシュミレーション済みだよ」
「そっか。じゃあ、ちゃんと褒めてやれよ」
「うん。まぁでも、フォローは頼みたいかな?」
まぁ、今日までは良いか。こういうのはこういうので楽しいし。
「あぁ。任された」
そこで周囲が若干騒がしくなった気がして、俺は反射的に女子更衣室の方へと視線をやった。
「ハハッ……レベル高ぇな」
水着姿の瑠魅たちはやはり公共の場でも自然と視線を集めるみたいだ。
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