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前戯には互いを
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ヒトは結構、弟思いの兄なのかもしれない。フタに暴力を振るっていた件はやっぱり許せないけれど、奔放な弟二人に振り回される姿や世話に疲れた顔、今回のような一面を見ると、彼の兄としての顔に希望を抱いてしまう。
「弟のことを思うって素敵なことだと思います。ねぇ……ヒトさん、全然恥ずかしいことじゃないんです、誇っていいんですよ。目開けてください」
ヒトはぎゅっと目を閉じたまま何も言わなくなってしまった。
「……んっ、ゔ……んんんっ……水月っ、水月ぃっ、むり、イっちゃう、これっ、出ちゃうぅっ!」
ぐいぐいと手を引っ張られてそう言われては、ヒトへの尋問は中断せざるを得ない。俺はヒトから手と目線を離し、ベッドに押し付けられたサンの頭を抱き締めた。
「んっ……くっ…………ぅううっ! ふっ……はぁ…………はぁ、水月ぃ……へへへ」
絶頂と同時にリモコンを操作してローターのスイッチを切った。サンは優しい余韻に浸り、にへ~っとした笑顔を俺に見せてくれた。
「ねぇ水月ぃ、玩具止めたってことはさ……! 抱いてくれるんだよね? 今ここで!」
「身体的には出来そうだけど……いいの?」
「……? いいのって何さ」
シュカは逆レイプだったが、リュウは野外SMという理想の初体験を叶えてやったし、ハルも海の見える別荘でという夢のような初体験をさせてやった。
「初めてならもっとこう……なんか、欲しくないの? 雰囲気っていうか、なんか……大丈夫?」
「なんか……?」
「だってさ、今日ここに来たのはサンの予定じゃないでしょ? ヒトさんとのデートに割り込む形で……ヒトさんの前で初体験なんて、あんまりいい思い出にならなさそうだけど……いいの?」
「あぁ、そういうの気にしてるの? 女々しいなぁ水月は、可愛い可愛い。いいよ全然、ヤれたらOK」
ニコニコと愛らしい笑みを浮かべているサンからは嘘は感じ取れない。
「女の子じゃないんだから破瓜なんてそれっぽいものもないし、セックス自体は初めてじゃない。部屋の内装や窓からの風景なんてボクには関係ない。どこでもいいよ」
「……後悔しない? 初体験なんて、一度きりだし絵の題材としても貴重なものだろ? いい感じのデートの後じゃなくていい?」
「くどいよ水月。古来より迫ってきた女を無下にして女に恥をかかせるのはダメな男の特徴とされてきたんだ、知らない?」
「ぅ……サ、サンは女の子じゃないし……」
「性行為に必要なのは雄と雌じゃない、生きた穴と生きた棒だ。ボクは穴側、つまり恥をかかせちゃダメな方、水月はボクに誘われたら受けなきゃいけない。据え膳食わぬは男の恥ってね、あぁいや、棒の恥? ふふ」
サンはベッドの上で膝立ちになるとローターを引き抜いて「んっ」と艶やかな声を漏らし、次にタートルネックシャツを脱ぎ捨てて見事な刺青の入った身体を見せつけた。
「場所はここ、時は今、ボクを抱けよ水月」
三つ編みの可愛さも、倶利伽羅龍の刺青の恐ろしさも、関係ない。この圧倒されるような雰囲気はサン自身が放っているものだ。
「……う、うん。サンがいいなら俺はいいんだっ、全然……その、サン本当にいいのかなーって気になっただけで俺は最初っからもうすっごい乗り気!」
「あっはははは……なっさけなくって可愛いねぇ水月は」
無邪気な笑い声が胸に突き刺さる。
「な、情けない……かな」
「一言一句が情けないね。すごく可愛いよ」
「ぅー……カッコイイ彼氏でありたかった。セックスではリードするよ。追加のローションとゴム取ってくるね……」
先程絶頂した際に放った精液が溜まったゴムをサンから受け取り、ベッドを降りる。持参したビニール袋に使用済みゴムを入れ、新しいゴムとローションボトルを持ってベッドに戻った。
「ヒトさん、しばらくお相手出来ませんから……ローターで遊んでいてくれますか? 乳首も弄ってくださいね、俺が触ってあげたらイけるくらい敏感になって欲しいです」
ヒトに彼の後孔に入っているローターのリモコンを握らせながら、耳元でそう囁く。
「これっ、その……ちんっ……ぅぅ…………せ、性器、を……無理矢理裏から勃たされて、そのまま出させようとされてるみたいで……」
「気持ちいいでしょう?」
「き、きもち、いぃ……です、けど」
「気持ちいいですねぇ。気持ちいい気持ちいい……ほら乳首も弄って。きゅーって……はい、気持ちいいですね。ヒトさん我慢がお得意でしたね、カタルシスが欲しいとか……今からあなたの目の前で弟さんを抱きますよ。悔しかったりムラムラしたりすると思います。ちゃんと後で戻ると約束しますので、たっぷり焦れててくださいね」
「…………我慢、して……大好きなあなたと、サンの行為を見て……自分を慰めたら、褒めてくれますか? 私を……褒めて、くれますか?」
「もちろん」
「ぁ……我慢、しますっ……胸も、敏感にしておきますから……」
ヒトの準備は終わった。俺は道具を持ってサンの方へと戻る。サンは不機嫌そうな顔で俺を待っていた。
「……ボクとのセックス兄貴との前戯扱いしないで欲しいんだけど~」
「あれ……そう思っちゃった? ごめんねサン。でもほら、聞いて。ヒトさん……ちょっと喘いでる。これからセックス始めたら、ヒトさんのオカズがハッキリ俺達になるんだよ」
「…………だからぁ、兄貴に消費されるとかめっちゃ嫌、って言ってるんだけど」
「ヒトさんの目の前でするって言ったのはサンじゃないか。ねぇ、サン? サンは俺とシてるのに、ヒトさんは一人で俺達見ながらシてるの、優越感ない? 見せつけてやろうよ、気持ちよさそうじゃない? ねぇ……サンはヒトさんの前戯なんじゃなくて、ヒトさんがサンの前戯なんだよ、どう?」
「……いいねぇ、それ」
ノってくれたようだ。今更ヘソを曲げてセックスが中止になったら行き場、いや、イキ場を失った俺の陰茎がどうなることか。互いが互いの前戯であるというのは、この兄弟達には上手い落とし所であるらしい。
「弟のことを思うって素敵なことだと思います。ねぇ……ヒトさん、全然恥ずかしいことじゃないんです、誇っていいんですよ。目開けてください」
ヒトはぎゅっと目を閉じたまま何も言わなくなってしまった。
「……んっ、ゔ……んんんっ……水月っ、水月ぃっ、むり、イっちゃう、これっ、出ちゃうぅっ!」
ぐいぐいと手を引っ張られてそう言われては、ヒトへの尋問は中断せざるを得ない。俺はヒトから手と目線を離し、ベッドに押し付けられたサンの頭を抱き締めた。
「んっ……くっ…………ぅううっ! ふっ……はぁ…………はぁ、水月ぃ……へへへ」
絶頂と同時にリモコンを操作してローターのスイッチを切った。サンは優しい余韻に浸り、にへ~っとした笑顔を俺に見せてくれた。
「ねぇ水月ぃ、玩具止めたってことはさ……! 抱いてくれるんだよね? 今ここで!」
「身体的には出来そうだけど……いいの?」
「……? いいのって何さ」
シュカは逆レイプだったが、リュウは野外SMという理想の初体験を叶えてやったし、ハルも海の見える別荘でという夢のような初体験をさせてやった。
「初めてならもっとこう……なんか、欲しくないの? 雰囲気っていうか、なんか……大丈夫?」
「なんか……?」
「だってさ、今日ここに来たのはサンの予定じゃないでしょ? ヒトさんとのデートに割り込む形で……ヒトさんの前で初体験なんて、あんまりいい思い出にならなさそうだけど……いいの?」
「あぁ、そういうの気にしてるの? 女々しいなぁ水月は、可愛い可愛い。いいよ全然、ヤれたらOK」
ニコニコと愛らしい笑みを浮かべているサンからは嘘は感じ取れない。
「女の子じゃないんだから破瓜なんてそれっぽいものもないし、セックス自体は初めてじゃない。部屋の内装や窓からの風景なんてボクには関係ない。どこでもいいよ」
「……後悔しない? 初体験なんて、一度きりだし絵の題材としても貴重なものだろ? いい感じのデートの後じゃなくていい?」
「くどいよ水月。古来より迫ってきた女を無下にして女に恥をかかせるのはダメな男の特徴とされてきたんだ、知らない?」
「ぅ……サ、サンは女の子じゃないし……」
「性行為に必要なのは雄と雌じゃない、生きた穴と生きた棒だ。ボクは穴側、つまり恥をかかせちゃダメな方、水月はボクに誘われたら受けなきゃいけない。据え膳食わぬは男の恥ってね、あぁいや、棒の恥? ふふ」
サンはベッドの上で膝立ちになるとローターを引き抜いて「んっ」と艶やかな声を漏らし、次にタートルネックシャツを脱ぎ捨てて見事な刺青の入った身体を見せつけた。
「場所はここ、時は今、ボクを抱けよ水月」
三つ編みの可愛さも、倶利伽羅龍の刺青の恐ろしさも、関係ない。この圧倒されるような雰囲気はサン自身が放っているものだ。
「……う、うん。サンがいいなら俺はいいんだっ、全然……その、サン本当にいいのかなーって気になっただけで俺は最初っからもうすっごい乗り気!」
「あっはははは……なっさけなくって可愛いねぇ水月は」
無邪気な笑い声が胸に突き刺さる。
「な、情けない……かな」
「一言一句が情けないね。すごく可愛いよ」
「ぅー……カッコイイ彼氏でありたかった。セックスではリードするよ。追加のローションとゴム取ってくるね……」
先程絶頂した際に放った精液が溜まったゴムをサンから受け取り、ベッドを降りる。持参したビニール袋に使用済みゴムを入れ、新しいゴムとローションボトルを持ってベッドに戻った。
「ヒトさん、しばらくお相手出来ませんから……ローターで遊んでいてくれますか? 乳首も弄ってくださいね、俺が触ってあげたらイけるくらい敏感になって欲しいです」
ヒトに彼の後孔に入っているローターのリモコンを握らせながら、耳元でそう囁く。
「これっ、その……ちんっ……ぅぅ…………せ、性器、を……無理矢理裏から勃たされて、そのまま出させようとされてるみたいで……」
「気持ちいいでしょう?」
「き、きもち、いぃ……です、けど」
「気持ちいいですねぇ。気持ちいい気持ちいい……ほら乳首も弄って。きゅーって……はい、気持ちいいですね。ヒトさん我慢がお得意でしたね、カタルシスが欲しいとか……今からあなたの目の前で弟さんを抱きますよ。悔しかったりムラムラしたりすると思います。ちゃんと後で戻ると約束しますので、たっぷり焦れててくださいね」
「…………我慢、して……大好きなあなたと、サンの行為を見て……自分を慰めたら、褒めてくれますか? 私を……褒めて、くれますか?」
「もちろん」
「ぁ……我慢、しますっ……胸も、敏感にしておきますから……」
ヒトの準備は終わった。俺は道具を持ってサンの方へと戻る。サンは不機嫌そうな顔で俺を待っていた。
「……ボクとのセックス兄貴との前戯扱いしないで欲しいんだけど~」
「あれ……そう思っちゃった? ごめんねサン。でもほら、聞いて。ヒトさん……ちょっと喘いでる。これからセックス始めたら、ヒトさんのオカズがハッキリ俺達になるんだよ」
「…………だからぁ、兄貴に消費されるとかめっちゃ嫌、って言ってるんだけど」
「ヒトさんの目の前でするって言ったのはサンじゃないか。ねぇ、サン? サンは俺とシてるのに、ヒトさんは一人で俺達見ながらシてるの、優越感ない? 見せつけてやろうよ、気持ちよさそうじゃない? ねぇ……サンはヒトさんの前戯なんじゃなくて、ヒトさんがサンの前戯なんだよ、どう?」
「……いいねぇ、それ」
ノってくれたようだ。今更ヘソを曲げてセックスが中止になったら行き場、いや、イキ場を失った俺の陰茎がどうなることか。互いが互いの前戯であるというのは、この兄弟達には上手い落とし所であるらしい。
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