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修羅場
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トントン
トントン
昼前に訪問者が。
「あのお母様お話が…… 」
神妙な面持ちで切り出すヴィーナ。それだけでもかなりのプレッシャー。
一体何の話があるのでしょう。
セピユロスが戻り落ち着きを取り戻していたヴィーナ。
「ちょっとお待ちなさい。貴重な読書の時間なのですから」
戻って以来初めてやって来たヴィーナ。
あれほど来るようにメイドに伝えても一切現れなかったヴィーナ。
今この状況で来るのはおかしい。
まさかセピユロスとの関係が知られた?
でもあり得ない。ヴィーナはそこまで気が回らないしセピユロスをまだ信じている。
そんなヴィーナを彼は裏切った。まあ私も人のことは言えないですが。
「話しておきたいことが」
ヴィーナに元気がない。やはりセピユロスの件か?
これ以上は限界。
もはや本を見てるだけ。理解どころか字を追いかけてさえいない。
ただの読んでる振り。
これがどれだけ辛いか分かるでしょうか?
「ほら落ち着いて。ちょっと。あわわ…… 」
カップから紅茶が溢れかける。
危ない危ない。動揺を隠せない。
気付かれたらお終い。私の立場が危うい。
「お母様。セピユロスのことで」
「セピユロス…… さん? 」
いきなりの修羅場。私を追及するつもりなの?
まさか信じられない。でもそうとしか思えない。
この展開ではそう考えるのが自然。
「心配しないで。きっと上手く行く。すべて解決するから。ただ見守るだけでいい。
あなたは何一つ心配する必要がない。ただ信じて待てばいい」
何について述べてるのか自分でも良く分かっていない。
でもきっとヴィーナは私を責め立てる。そんな気がする。
だからどうにかごまかす。話を逸らす。
「ホホホ…… もうヴィーナったら…… 」
「実は…… あのことなの」
ダメ。なぜかヴィーナは真剣そのもの。笑っても無理みたい。
ヴィーナが持ち込んだセピユロスに関する相談事。
私に関すること? まさか有り得ない。
「私は関係ない。どうしてそうなるの」
つい否定するが果たして正しい判断だったのだろうか?
「関係はある。出来ればお願いしたいセピユロスのこと」
ヴィーナからのとんでもない頼みごと。
ヴィーナの代わりにセピユロスの相手をしろと。
それはもちろん構わないけど。なぜ知っている?
そしてなぜヴィーナが引く必要がある? さっぱり分からない。
「ヴィーナ落ち着いて。私とは何でもないのだから…… 」
ヴィーナの行動が矛盾しているなら私の言動も矛盾している。
セピユロスを押し付け合ってるようにさえ見える。
真意はどうなのだろう?
傷ついたヴィーナを抱きしめてやりたい。
「お願いします」
頭を下げるヴィーナ。
「このことはボノには? 」
「ううんまだ。先に言っておこうかと思って」
それは懸命な判断だ。ボノが知れば大激怒する。すぐにでも離婚の流れ。
ボノが求めていた展開となる。
それはそれで仕方ないとも思っていたができれば知られたくない。
ボノにはやはり知られたくない。
「お願い。一緒に住まわせてあげて」
ヴィーナの願いごとは複雑だ。
「住まわせてとは? 」
「だから村の人を助けてあげて欲しいの」
「自分自身を犠牲にしてでも? 」
「ううん違う。だから頼んでるの」
自分が嫌な思いをしたくないが為に動いたと。
「それで何の話をしてるの? 」
さっきから集中力が足りてないのだろうか。
どうも理解できずにいる。
あれだけ毎日読書を続けたが集中力も読解力も理解力も上がったとは言えない。
逆に下がったとさえ感じる。
なぜなのかしら? 不思議ですよね。年…… のはずもないし。
「ヴィーナ。あなたが何を言いたいのか分からない。
私にも分かるようにきちんと説明しなさい。
セピユロスさんと村を助けることがどう繋がるの?
私にどうして欲しいの? 」
ようやくヴィーナと腹を割って話せる。
あら少々下品だったかしら?
続く
トントン
昼前に訪問者が。
「あのお母様お話が…… 」
神妙な面持ちで切り出すヴィーナ。それだけでもかなりのプレッシャー。
一体何の話があるのでしょう。
セピユロスが戻り落ち着きを取り戻していたヴィーナ。
「ちょっとお待ちなさい。貴重な読書の時間なのですから」
戻って以来初めてやって来たヴィーナ。
あれほど来るようにメイドに伝えても一切現れなかったヴィーナ。
今この状況で来るのはおかしい。
まさかセピユロスとの関係が知られた?
でもあり得ない。ヴィーナはそこまで気が回らないしセピユロスをまだ信じている。
そんなヴィーナを彼は裏切った。まあ私も人のことは言えないですが。
「話しておきたいことが」
ヴィーナに元気がない。やはりセピユロスの件か?
これ以上は限界。
もはや本を見てるだけ。理解どころか字を追いかけてさえいない。
ただの読んでる振り。
これがどれだけ辛いか分かるでしょうか?
「ほら落ち着いて。ちょっと。あわわ…… 」
カップから紅茶が溢れかける。
危ない危ない。動揺を隠せない。
気付かれたらお終い。私の立場が危うい。
「お母様。セピユロスのことで」
「セピユロス…… さん? 」
いきなりの修羅場。私を追及するつもりなの?
まさか信じられない。でもそうとしか思えない。
この展開ではそう考えるのが自然。
「心配しないで。きっと上手く行く。すべて解決するから。ただ見守るだけでいい。
あなたは何一つ心配する必要がない。ただ信じて待てばいい」
何について述べてるのか自分でも良く分かっていない。
でもきっとヴィーナは私を責め立てる。そんな気がする。
だからどうにかごまかす。話を逸らす。
「ホホホ…… もうヴィーナったら…… 」
「実は…… あのことなの」
ダメ。なぜかヴィーナは真剣そのもの。笑っても無理みたい。
ヴィーナが持ち込んだセピユロスに関する相談事。
私に関すること? まさか有り得ない。
「私は関係ない。どうしてそうなるの」
つい否定するが果たして正しい判断だったのだろうか?
「関係はある。出来ればお願いしたいセピユロスのこと」
ヴィーナからのとんでもない頼みごと。
ヴィーナの代わりにセピユロスの相手をしろと。
それはもちろん構わないけど。なぜ知っている?
そしてなぜヴィーナが引く必要がある? さっぱり分からない。
「ヴィーナ落ち着いて。私とは何でもないのだから…… 」
ヴィーナの行動が矛盾しているなら私の言動も矛盾している。
セピユロスを押し付け合ってるようにさえ見える。
真意はどうなのだろう?
傷ついたヴィーナを抱きしめてやりたい。
「お願いします」
頭を下げるヴィーナ。
「このことはボノには? 」
「ううんまだ。先に言っておこうかと思って」
それは懸命な判断だ。ボノが知れば大激怒する。すぐにでも離婚の流れ。
ボノが求めていた展開となる。
それはそれで仕方ないとも思っていたができれば知られたくない。
ボノにはやはり知られたくない。
「お願い。一緒に住まわせてあげて」
ヴィーナの願いごとは複雑だ。
「住まわせてとは? 」
「だから村の人を助けてあげて欲しいの」
「自分自身を犠牲にしてでも? 」
「ううん違う。だから頼んでるの」
自分が嫌な思いをしたくないが為に動いたと。
「それで何の話をしてるの? 」
さっきから集中力が足りてないのだろうか。
どうも理解できずにいる。
あれだけ毎日読書を続けたが集中力も読解力も理解力も上がったとは言えない。
逆に下がったとさえ感じる。
なぜなのかしら? 不思議ですよね。年…… のはずもないし。
「ヴィーナ。あなたが何を言いたいのか分からない。
私にも分かるようにきちんと説明しなさい。
セピユロスさんと村を助けることがどう繋がるの?
私にどうして欲しいの? 」
ようやくヴィーナと腹を割って話せる。
あら少々下品だったかしら?
続く
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