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第11話 原作アランの記憶?
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プリシラの何気ない一言によって、俺には友達がいないという衝撃的な事実が判明してしまう。
なんということだ。
「あ! おくすりの時間だ! バイバイお兄さま! 明日、応援してるから頑張ってねー!」
放心状態の俺にそう言って、バタバタと部屋を出ていくプリシラ。
「俺……友達……いないんだ……!」
俺は心に深い傷を負い、そのまま流れるようにふて寝した。
すると、目を閉じてすぐに見覚えのない光景が浮かび上がる。どうやら、俺は夢を見ているようだ。
場所は森の中で、俺に背を向けて逃げていく魔物の姿が見える。
――そして、足元には血まみれのニナが倒れていた。現在よりも成長していて原作で見た通りの姿になっている。
「おい! しっかりしろニナッ!」
俺は名前を呼びかけながら倒れているニナを抱き起こした。
だが、自発的に動こうとしたわけではない。俺ではない誰かが体を操っているのを視界を通して見ているような感覚だ。
原作にこんなシーンがあった覚えはないが……予知夢でも見ているのだろうか?
「う……ぅ……」
「何故僕を庇ったッ!」
アランは死にかけのニナを問い詰める。
「まもの……は……」
「僕が倒した。だから安心しろ!」
「……は……い」
ニナは腹部から大量に出血していた。一応は治癒魔法をかけているが、もう助かりそうにない。
「クソッ! ……絶対に死ぬなっ!」
「アラン……さま……」
その時、ニナが血まみれになっているアランの手を弱々しく握ってきた。
「私は……きっと……もう、助かりません……」
そう言って悲しそうに微笑んでから、さらに続ける。
「けれど……アラン様が、治癒魔法を、かけて下さると……少し、楽になります……。このまま、続けて……くださいますか……?」
ニナの身体は震えていた。まるで救いを求めているかのようである。
「ああ。……気を確かに持て。側に居てやるから、あまり弱気になるな」
「ありがとう、ございます……」
「大丈夫だ。このくらいの傷ならきっと助かる」
アランは嘘をつき、ニナの目元の涙を血のついていない指で拭った。
「ごめん、なさい」
「謝るな。僕の言うことだけ信じていればいい」
「…………はい」
そんな返事のあと、次第に呼吸が小さくなっていくニナ。
「……私は……アラン様に、お仕えできて……幸せでした……」
「小さい頃は随分と迷惑をかけた」
「今となっては……それも、良い思い出……です」
「………………」
「ですから……どうか……アラン様も、幸せに、なってください……」
夢とはいえ、こんなものを見せられるなんて良い気分ではないな。
「……ああ。分かったよ、ニナ」
アランがそう答えるとニナは小さく微笑み、静かに目を閉じて動かなくなった。
「……うぅっ……うわああああああああああああッ!」
激しく慟哭し、ニナの亡骸を抱きしめるアラン。
「何故だッ! どうして皆僕の前からいなくなるっ!? ……お母さまもッ! プリシラもそうだったッ! どうして全部僕から奪っていくんだッ! 僕のものだったのにッ!」
――驚いた。まさかアランがそんなことを思っていたなんてな。
少なくとも俺が前世の記憶に目覚めた八歳時点では死んだ母に対して何の感情も抱いていなかったはずだ。もしかすると、今後プリシラの病死をきっかけにそういったコンプレックスに目覚めていくのだろうか?
「クソおおおおおおおッ!」
ちなみに、現在もアランは涙を流し続けている。いい加減、この胸糞悪い夢から覚めて欲しいのだが。
「奪われたのなら……奪い返せ……」
するとその時、何処からともなく声が響いてきた。聞いただけで寒気立つような恐ろしい声である。
「だ、誰だっ?!」
「魔石だ。魔石を集めてその身に取り込め。さすれば、貴様はありとあらゆる望みを叶える力を手にできる。その女を生き返らせることも容易いだろう」
「………………っ!」
「さあどうする。アラン・ディンロード」
そう言われたアランは、ニナを地面に寝かせてゆっくりと立ち上がる。
そして――――ドンッ! という音とともに俺の全身に激痛が走った。
「ぐええええぇっ!」
突然ベッドから勢いよく転がり落ちてしまったらしく、その衝撃で目を覚ます俺。
「いってぇッ!」
今良いところだったのに! 核心に迫ってたのに!
「うっ……ぐぅぅっ!」
それにしても部屋の中が暗い。どうやら夜中になっているようだ。
「くっそぉ……!」
――それにしてもおかしな夢だったな。
人生二周目だから大抵のことじゃ驚かないが、仮に今の夢を信じるのであれば原作のストーリー上で不可解だった点の筋が通る。
ニナが途中から登場しなくなった理由がはっきりするし、アランの裏切りに関してもだいぶ理解しやすくなった。
「骨っ……折れたかもぉ……っ!」
……なるほどな。アランが仲間を裏切って魔石の力を取り込んだ真の目的は、死んだ人間を生き返らせることだったのか。
原作では世界の法則がどうのこうのと言っていたが、要するにアランは死んだ母やプリシラやニナを生き返らせたかったと考えれば分かりやすい。
「泣きそう……っ!」
……だがその場合、アランは良心の欠如したサイコパスであることに加え、失った母性を歳上に求めるタイプのマザコンで、ついでに幼くして死んだ妹が大好きなシスコンかつロリコン野郎だったということになるが……大丈夫か? 流石にキャラとしてキモすぎないか? ヒカル・ゲンジとタメ張れるぞ。
俺、そんなの嫌だよ。アランやめたいよ。
いくら顔が良くて魔術と剣術の両方に秀でた天才で将来有望な貴族だったとしても、ギリギリ許されないくらいの変態度合いだぞ。人倫に悖る。
「はぁ……はぁ……っ!」
――よし、床をのたうち回っていたらだいぶ痛みが引いてきた。
とにかく、ニナを死なせないくらい強くなればいいのだ。それで俺の闇落ちは回避可能。世界の平和は守られる。実に簡単な話だ。
さっきの夢を見たところで、やることに変わりはない。
「ふぅ……」
俺は呼吸を整えて立ち上がり、俺の安眠を妨害した忌まわしきベッドへ近づく。
「すやすや……」
するとそこには、心地良さそうな顔で眠るプリシラがいた。
さっき出ていったのに、いつの間にか戻って来て俺のベッドに潜り込んだらしい。
「こ、こいつ……!」
なるほどなぁ。
どうやら、俺が落ちたのはプリシラにスペースを奪われたのせいだったみたいだな。一応お嬢様なのに寝相が悪すぎるぞ。許すまじ。
「むにゃむにゃ……今の……優しいお兄さま……だいすき……」
「………………」
やっぱり許す! もうシスコンでいいや!
ついでにプリシラの病気も俺がなんとか頑張って治してやる! 覚悟しろ世界! この俺を舐めるな!
なんということだ。
「あ! おくすりの時間だ! バイバイお兄さま! 明日、応援してるから頑張ってねー!」
放心状態の俺にそう言って、バタバタと部屋を出ていくプリシラ。
「俺……友達……いないんだ……!」
俺は心に深い傷を負い、そのまま流れるようにふて寝した。
すると、目を閉じてすぐに見覚えのない光景が浮かび上がる。どうやら、俺は夢を見ているようだ。
場所は森の中で、俺に背を向けて逃げていく魔物の姿が見える。
――そして、足元には血まみれのニナが倒れていた。現在よりも成長していて原作で見た通りの姿になっている。
「おい! しっかりしろニナッ!」
俺は名前を呼びかけながら倒れているニナを抱き起こした。
だが、自発的に動こうとしたわけではない。俺ではない誰かが体を操っているのを視界を通して見ているような感覚だ。
原作にこんなシーンがあった覚えはないが……予知夢でも見ているのだろうか?
「う……ぅ……」
「何故僕を庇ったッ!」
アランは死にかけのニナを問い詰める。
「まもの……は……」
「僕が倒した。だから安心しろ!」
「……は……い」
ニナは腹部から大量に出血していた。一応は治癒魔法をかけているが、もう助かりそうにない。
「クソッ! ……絶対に死ぬなっ!」
「アラン……さま……」
その時、ニナが血まみれになっているアランの手を弱々しく握ってきた。
「私は……きっと……もう、助かりません……」
そう言って悲しそうに微笑んでから、さらに続ける。
「けれど……アラン様が、治癒魔法を、かけて下さると……少し、楽になります……。このまま、続けて……くださいますか……?」
ニナの身体は震えていた。まるで救いを求めているかのようである。
「ああ。……気を確かに持て。側に居てやるから、あまり弱気になるな」
「ありがとう、ございます……」
「大丈夫だ。このくらいの傷ならきっと助かる」
アランは嘘をつき、ニナの目元の涙を血のついていない指で拭った。
「ごめん、なさい」
「謝るな。僕の言うことだけ信じていればいい」
「…………はい」
そんな返事のあと、次第に呼吸が小さくなっていくニナ。
「……私は……アラン様に、お仕えできて……幸せでした……」
「小さい頃は随分と迷惑をかけた」
「今となっては……それも、良い思い出……です」
「………………」
「ですから……どうか……アラン様も、幸せに、なってください……」
夢とはいえ、こんなものを見せられるなんて良い気分ではないな。
「……ああ。分かったよ、ニナ」
アランがそう答えるとニナは小さく微笑み、静かに目を閉じて動かなくなった。
「……うぅっ……うわああああああああああああッ!」
激しく慟哭し、ニナの亡骸を抱きしめるアラン。
「何故だッ! どうして皆僕の前からいなくなるっ!? ……お母さまもッ! プリシラもそうだったッ! どうして全部僕から奪っていくんだッ! 僕のものだったのにッ!」
――驚いた。まさかアランがそんなことを思っていたなんてな。
少なくとも俺が前世の記憶に目覚めた八歳時点では死んだ母に対して何の感情も抱いていなかったはずだ。もしかすると、今後プリシラの病死をきっかけにそういったコンプレックスに目覚めていくのだろうか?
「クソおおおおおおおッ!」
ちなみに、現在もアランは涙を流し続けている。いい加減、この胸糞悪い夢から覚めて欲しいのだが。
「奪われたのなら……奪い返せ……」
するとその時、何処からともなく声が響いてきた。聞いただけで寒気立つような恐ろしい声である。
「だ、誰だっ?!」
「魔石だ。魔石を集めてその身に取り込め。さすれば、貴様はありとあらゆる望みを叶える力を手にできる。その女を生き返らせることも容易いだろう」
「………………っ!」
「さあどうする。アラン・ディンロード」
そう言われたアランは、ニナを地面に寝かせてゆっくりと立ち上がる。
そして――――ドンッ! という音とともに俺の全身に激痛が走った。
「ぐええええぇっ!」
突然ベッドから勢いよく転がり落ちてしまったらしく、その衝撃で目を覚ます俺。
「いってぇッ!」
今良いところだったのに! 核心に迫ってたのに!
「うっ……ぐぅぅっ!」
それにしても部屋の中が暗い。どうやら夜中になっているようだ。
「くっそぉ……!」
――それにしてもおかしな夢だったな。
人生二周目だから大抵のことじゃ驚かないが、仮に今の夢を信じるのであれば原作のストーリー上で不可解だった点の筋が通る。
ニナが途中から登場しなくなった理由がはっきりするし、アランの裏切りに関してもだいぶ理解しやすくなった。
「骨っ……折れたかもぉ……っ!」
……なるほどな。アランが仲間を裏切って魔石の力を取り込んだ真の目的は、死んだ人間を生き返らせることだったのか。
原作では世界の法則がどうのこうのと言っていたが、要するにアランは死んだ母やプリシラやニナを生き返らせたかったと考えれば分かりやすい。
「泣きそう……っ!」
……だがその場合、アランは良心の欠如したサイコパスであることに加え、失った母性を歳上に求めるタイプのマザコンで、ついでに幼くして死んだ妹が大好きなシスコンかつロリコン野郎だったということになるが……大丈夫か? 流石にキャラとしてキモすぎないか? ヒカル・ゲンジとタメ張れるぞ。
俺、そんなの嫌だよ。アランやめたいよ。
いくら顔が良くて魔術と剣術の両方に秀でた天才で将来有望な貴族だったとしても、ギリギリ許されないくらいの変態度合いだぞ。人倫に悖る。
「はぁ……はぁ……っ!」
――よし、床をのたうち回っていたらだいぶ痛みが引いてきた。
とにかく、ニナを死なせないくらい強くなればいいのだ。それで俺の闇落ちは回避可能。世界の平和は守られる。実に簡単な話だ。
さっきの夢を見たところで、やることに変わりはない。
「ふぅ……」
俺は呼吸を整えて立ち上がり、俺の安眠を妨害した忌まわしきベッドへ近づく。
「すやすや……」
するとそこには、心地良さそうな顔で眠るプリシラがいた。
さっき出ていったのに、いつの間にか戻って来て俺のベッドに潜り込んだらしい。
「こ、こいつ……!」
なるほどなぁ。
どうやら、俺が落ちたのはプリシラにスペースを奪われたのせいだったみたいだな。一応お嬢様なのに寝相が悪すぎるぞ。許すまじ。
「むにゃむにゃ……今の……優しいお兄さま……だいすき……」
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