今回の問題をめぐって大きな影響を受けているのが損害保険業界だ。金融庁は9月、損害保険ジャパンとビッグモーターに立ち入り検査を実施。金融庁は、昨年6月頃に損害保険会社各社がビッグモーターとの取引を停止するなかで取引を再開し保険契約シェアを拡大させた損保ジャパンが、昨年7月の金融庁に対する報告で隠蔽を行ったとみており、また昨年7月に大手損保3社での協議の際に、ビッグモーターによる顧客への修理費過大請求について損保ジャパンが『顧客への説明を行わない』旨を発言していたとも伝えられており(産経新聞報道より)、金融庁は厳しい処分を下すとみられている。
大手損保会社4社は現在、計20万件超を調査対象として過去のビッグモーターからの保険金請求を調査しており、9月末時点で約1万7000件に不正の疑いがあるとされる。同時点の調査件数は5万3000件であり、約3割で不正が行われた可能性があることになり、今後調査が進めば不正件数は増加する(9月30日付朝日新聞記事より)。一方、ビッグモーター独自の調査による不正件数は1275件(調査対象は昨年11月以降)で、全保険金申請の約15%となっており、損保会社側の調査による不正事案の割合との間には2倍の開きがある。
(文=Business Journal編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)