雌伏30年、リユース「トレファク」が大化けしていた

トレジャーファクトリー
2025年に30周年を迎えるトレジャー・ファクトリー(撮影:風間仁一郎)

中古品や新古品、未使用品を扱うリユース市場が伸びている。業界全体では2023年に約3兆1227億円(前年比7.8%増、リユース経済新聞調べ)となり、衣料品からブランド品、家具・家電までさまざまな商材が実店舗やオンライン店舗で流通する。

この市場にいち早く参入したのが「トレジャーファクトリー」(運営企業:トレジャー・ファクトリー)だ。1995年に当時大学生だった野坂英吾氏が個人起業してから事業規模を拡大し、来年で30周年を迎える。

競合の参入も増えるなかで、なぜ近年急成長を遂げられたのか。野坂社長がその秘訣を明かした。

「売り・買い」同時にする人が増えた

「お客さまと向き合い、商材を変え続けてきました。リユース市場は様変わりし、日本の消費者の方の暮らしに根づいたのを感じます。昔は売る人・買う人がはっきり分かれていましたが、この10年ほどは同じ人が売りも買いもされます。特に引っ越しされる方はご自宅の家財道具や嗜好品を売りに出されて、新居に備える品を買われるケースも多いです」と野坂社長は振り返る(以下、「」内の発言はすべて野坂社長)。

足元の業績は好調だ。コロナ禍の2021年2月期に1億0600万円にまで落ち込んだ営業利益も、直近2024年2月期は33億4800万円にまで急拡大。今2025年2月期は同40億4100万円と過去最高を見込んでおり、国内の既存店売上高は2024年11月度まで39カ月連続で前年実績を上回って推移している。

【画像11枚】「衣料品」「家電」「フィギュア」「4000万円ウイスキー」まで。豊富な品揃えを誇る「トレジャーファクトリー 浦和中尾店」
トレジャーファクトリー
衣料の構成比が半数近くとなっている(撮影:風間仁一郎)

2007年に上場した同社は、現在、総合リユース「トレファク」を中心に「トレファクスタイル」「ユーズレット」「トレファクスポーツアウトドア」「トレファクマーケット」「ゴルフキング」など12業態のリユース事業を展開する。取扱品目が増え、総合型店以外に専門店を同時運営しているのだ。

「販売のカテゴリー別でいえば、『衣料』の構成比が半数近く(45.7%=2025年2月期第2四半期時点)を占め、次いで『服飾雑貨』(同22.9%)、『電化製品』(同11.0%)です。近年伸びているのが『ホビー用品』 (同9.7%)で活発に取引されています」

野坂英吾?トレジャーファクトリー
学生時代に創業した野坂英吾社長(撮影:風間仁一郎)

売れ行きを左右する気候と目利き

今回取材したのは総合リユース「トレジャーファクトリー 浦和中尾店」(埼玉県さいたま市)で、店内は野坂社長の発言を裏づける多様な品揃えとなっていた。

「12月や1月は、衣料ではダウンのようなアウター用品、電化製品は石油ファンヒーター、電気ヒーター、ストーブが人気です。夏ほどではありませんがエアコン需要もあります」

リユースとして取り扱いが難しかったエアコンを同社が強化したのは2019年から。販売数も増え、2024年7月には約2000台を販売した。

トレジャーファクトリー
2019年から買い取りを強化したエアコンの販売も増えた(撮影:風間仁一郎)

筆者は2013年に「トレファク足立西新井店」(東京都足立区)を取材したが、当時から品揃えも大きく変わった。売れる商材に地域差はあるのだろうか。

「国内のトレファク業態で91店、グループ計で292店(2024年12月現在)を展開していますが、それほど地域差は感じません。ただ、寒い地域では暖房器具が早めに動くという季節性や気候はあります。今年は10月まで暑く、秋冬用商材は11月以降に伸びました」