東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

苦しい状況から抜け出せなかった前半戦
不振の山田、村上を、髙津監督はどう見ているか

「120パーセント、いや、それ以上の力で食らいついていく」

――先ほど話に出たように、二度の離脱後、たまの休養を挟みながら、山田選手は試合に出続けています。前半戦終盤には「七番」でのスタメン起用も続きました。当然、コンディション面を考慮した上での起用となっていると思います。

髙津 試合に出られる状態であれば、多少、成績は低くてもスタメンで起用し続けます。先ほどの話に戻るけど、現状のメンバーを考えたときに「誰をセカンドで起用すれば勝つ確率が高くなるか?」を考えたら、間違いなく哲人ですから。試合に出し続けるために休ませることはあったとしても、基本的には哲人は使い続けたい。その思いは変わりません。

――2年前の2022年シーズン、どんなことがあっても、辛抱強く長岡秀樹選手をショートで起用し続けたケースとは事情が異なるというわけですね。

髙津 あのときも、もちろん「将来のために」と我慢して使うこともあったけど、長岡をショートで使うことが、その時点で「もっとも勝利の確率が高くなるから」という思いがありました。今年で言えば、タケ(武岡龍世)も頑張っているけれど、まだまだ哲人との差は大きいと思います。全盛期の哲人と比べれば、若干の衰えもあるかもしれないけど、まだまだ哲人には追いついていない。これからタケが試合に出続けるためには、もっともっと努力と経験と結果が必要になると思います。

――前半戦終了時点では最下位に沈んでいます。首位とは9・5ゲーム差です。この成績についてはどう見ていますか?

髙津 これだけ厳しい戦いの中で、よく食らいついているなというのが率直な思いです。選手たちは毎日、粘り強く戦っていると思います。常に120パーセントの力を出して戦っている。そんな思いもあります。

――「常に120パーセント」だと、いつか息切れしたり、ガス欠になったりする危険性とも隣合わせだと思います。故障者の復帰や新戦力の加入など、現状からの上積みがないと、さらに過酷な戦いが続く8月は万全のケア態勢が必要となりますね。

髙津 もちろん、その不安はあります。現在はすべての引き出しを開けて、あらゆる手を使っています。けれども、僕たちは出し惜しみをしている立場ではないですから、持てる力をすべて出し切っていきます。現状は120パーセントでも、さらに150パーセント、200パーセントの力を出さなければ上位チームに食らいつくことができない。その覚悟で戦っていきます。ぜひ、ファンのみなさんの力も貸してください。引き続き、「応燕」をよろしくお願いします。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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