リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――オールスターゲームも終わり、今日からはペナントレースが再開、勝負の後半戦が始まります。改めて、前半戦を振り返っていただけますか?
髙津 やっぱり、主軸となる選手を中心に怪我人を出してしまったということ、これが非常に大きかったです。もちろん、「もしも彼が離脱したら、この選手を起用しよう」というイメージは常に持って戦っています。でも、やはり本来のベストメンバーが欠けるということは、どうしても戦力ダウンとなってしまうことは避けられない。「戦力ダウン」という表現は適切ではないですね。「主力選手の離脱はチームに与える影響力が大きい」というのが正しい表現かもしれないです。
――監督が開幕前に抱いていたベストオーダーで臨めた試合は、前半戦ではどの程度ありましたか?
髙津 開幕戦のみかもしれません。哲人がすぐ怪我をしてしまったので。彼も今年こそはという思いで挑んだ開幕戦だったと思います。そこから3週間で1軍に帰ってきて、入れ替わる様に塩見の怪我。あんまり言うと、彼に負担をかけることになってかわいそうだけど、塩見の離脱も非常に痛かったです。彼に代わる存在はチームにはいない。走攻守、すべてにおいて彼が抜けた穴は非常に大きい。他の選手に「塩見の穴を埋めてほしい」と期待するのはちょっと酷ですから。
――今季からチームに加わった西川遥輝選手の存在感も光ります。彼がいなかったら、さらにダメージは大きかったと思います。
髙津 塩見の離脱は痛手ではあったけど、その中で、西川は本当によく頑張ってくれています。経験もあるし、野球もよく理解している。こちらから注文をつけなくても、走ることも、打つことも、守ることも、「今、自分は何をすべきか?」を理解して、率先してチームのために動いてくれていますね。
――前半戦では、山田哲人選手が二度の離脱を経験し、前半戦の終盤ではサンタナ選手も故障による欠場が続きました。監督は常々、「レギュラー陣と控え選手との差が大きすぎることが課題だ」と話しています。その点も、浮き彫りとなったのではないですか?
髙津 まさに、それは事実ですね。一軍と二軍、レギュラーと控え、それぞれの差が大きすぎる。今年は特にそれを感じています。チーム編成も含めて、現場だけでなく、チーム一丸となって取り組むべき問題で、時間をかけて取り組まなければいけない。それでも、目の前の試合は続いていく。そうしたジレンマが続いていたのが、この前半戦でした。