リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――いよいよ前半戦終了が間近に迫っています。ここまでの戦いでは奥川恭伸投手、山野太一投手の復活勝利もあった一方、二軍監督の頃からずっと期待をかけている高橋奎二投手が、なかなか波に乗り切れないピッチングが続いています。
髙津 奎二とは、先日2人きりで話をしました。西武戦と、ソフトバンク戦と、両極端なピッチングだったことがありましたよね。
――交流戦期間の6月6日、神宮球場で行われた埼玉西武ライオンズ戦では7回2安打1失点の好投を見せて2勝目をマークしたものの、翌週の13日、福岡PayPayドームでの福岡ソフトバンクホークス戦では3回1/3を投げて5失点、与四死球は7という内容でした。
髙津 そうです、まさにその2試合について監督室に呼んで、「何で前回はよくて、今回はこんな内容だったのか自分で理解しているか?」と尋ねました。それがきちんとわかっていないと、毎回、「今日はよかった」「今日はダメだった」の繰り返しとになってしまいそうなので。これは昔からずっと言っているんですけど、自分で自分を理解していないと次のステップには行けないですから。
――何かよかったのか、何がダメだったのかを理解していないと、再現性が高まってはいかないですからね。
髙津 そうです。その日の気分であったり、コンディションであったり、あるいはその日の天候だったり、相手打線との相性だったり、さまざまな要素がある中で、あれだけ両極端なピッチングとなってしまうということは、彼はまだまだ自分自身をきちんと理解していない。そういう部分が見受けられたから、監督室に呼んで直接話をしました。
――改めて、監督が伝えたかったこととは、どんなことでしょうか?
髙津 彼の場合は、本当に一生懸命に努力しています。野球センスもあります。誰にも負けないボールの勢いもある。だからこそ、「もっと視野を広げること」「しっかりと自分を見つめること」、この辺りはこれまでも何度も伝えてきてはいるけど、このときもまた改めて話しました。
――このとき、高橋投手はどんなリアクションだったのですか?
髙津 言葉は悪いですけど、まるで死にそうな顔をしていました。シーズン中に監督からお説教を食らうわけだから、当然のことでしょうけどね(苦笑)。