人事という仕事のいちばんのやりがいは、社員の成長を見守り、その成長を実感できる喜びかもしれません。今回は、そんな人事の喜びについてお伝えしたいと思います。
人事担当者は、ただ見守っているだけではなく、社員のことを多く知ろうとしているので、どういう評価をもらっているのかがすごく気になります。評価が低い社員がいたら「どうしちゃったんだろう」と心配になりますし、評価が高い社員は「良かったね」と思います。自分が採用した人が高い評価を得ると、やっぱり嬉しいものです。
新卒はもちろん、中途採用した社員は、くすぶってしまうケースが少なくありません。焦って成果を出そうとして上手くいかないことが多いので、時間をもらって会って「いやいや焦りすぎですから」と伝えたりします。すると「いやぁ前の会社では…」という話になったりするので、次のような話をします。
「前の会社って言い過ぎると煙たがられるから、しばらくは言わないほうがいいと思いますよ。まだ大丈夫ですから、もうちょっとじっくり周りを見て、この会社の文化や風習もよく見て、それから前の会社の経験を活かしてもらえばいいですから」
その人が、半年、1年くらい経って成果を出せたときは、本当に良かったなと思います。頑張って働く人を応援・支援するのが人事の役割。その環境を整え、社員が成果を出せたときが、人事の喜びの1つですね。
自分が企画した研修で若手の顔つきが変わったときも、人事の喜びを感じられることの1つです。私が中途採用で入った会社は、それまでほとんど研修というものをやったことがありませんでした。人事制度も整っていなかったので、私はある研修を企画しました。
それは、階層別に1泊2日で社員に集まってもらい、新しい人事制度をつくるための研修です。1日目は、会社の「行動指針」をみんなで考えるセッション。2日目は、評価制度をつくるために部長層・課長層・主任層など、階層ごとに「自分たちは何を求められているのか」を話し合ってもらうセッションでした。
その会社は200人規模だったので、20数名ずつ8回にわたってこの研修を行い、社長にも来てもらって一緒に夕飯を食べたりして、みんな楽しそうにしていました。
そうしてできた「行動指針」は、私が退社して10年以上経った今でも使ってくれています。また、何より大きかったのは、社員の意見を反映した評価制度ができたことでした。
新しい制度を導入すると、多かれ少なかれ、社員からの反発があるものです。しかし、研修を通じて自ら「自分たちは何を求められているのか」を考えてもらい、それらを評価基準にしたので、誰も文句を言いませんでしたし、すんなり受け入れてくれました。
中途で入って1年目に実施したので「西尾ってどんなやつなのか」もわかってもらえましたし、研修中はずっと社員と一緒にいたので、「みんなこういうことを思っているんだ」ということが見えて、それも良かったです。
評価制度を導入してキャリアステップを示すと、若手は特にモチベーションが上がります。社員みんなで人事制度を考える研修は、おすすめです。