キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
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今回は、効率的な勉強法について解説します。
勉強の目的は「知識をアウトプットできるようにすること」です。従って、効率を重視し、なるべく時間をかけずに目的を果たせるようにすべきです。
まず、やらないほうがいいことについて考えてみましょう。
これまでの経験の中で、努力して勉強しているにもかかわらず、結果が出にくい人がいると思っています。それは、「きれいにノートを作るタイプの人」です。
小中学校の授業風景を思い出してください。
まったく授業を聞いていない人、集中してきれいにノートを取る人、ボーッとして何を考えているかわからない人など、いろいろな種類の人がいたはずです。
このうち、もっとも成績がいい人は、「ノートをきれいにまとめるタイプ」ではない人だったのではないでしょうか。
ちなみに私はボーッとしている人で、授業をほぼ聞かず、ファミコンのことを考えたり、教科書の授業とは関係ない部分を読んだりして、よく怒られていました。
誤解を恐れずに言えば、勉強のレベルにかかわらず、きれいなノートを作るのは時間のムダです。
資格試験に限らず、教材は大きく分けて、テキスト、問題集、参考資料になります。テキストはその科目で学ぶべき内容を網羅的かつ体系的にまとめたものです。問題集は、実際に出題される問題や、予想問題をまとめたものです。参考資料は、テキストに記載するには分量が多い法律の条文や、絵画や古文書などの画像をまとめたものです。六法全書や日本史の資料集などが該当し、必要に応じて参照します。
これまで書いたとおり、普通の人は1回触れただけの論点を理解することは絶対に不可能です。何度も何度も繰り返すことで、意味を少しずつ理解できるようになり、知識が自分のものになります。
そのため、授業や講義など、特定の論点にはじめて触れる段階でノートを作っても、本当に必要な知識をピックアップすることはできません。
たいていは、不必要な内容を取りこみ、必要な情報を取り漏らしてしまうでしょう。
そもそも、覚えるべき内容はすべてテキストにまとめられています。
ですから、改めてまとめの資料を作る意味はまったくありません。
繰り返してテキストを読んでいると、最初は重要だと思わなかった部分の重要性に気づくこともありますし、逆に重要そうに見える部分があまり出題されないということに気づくこともあります。
最初にきれいなノートを作って、それをもとに勉強していると、結局は情報の過不足が生じることになり、非効率です。
効率を追求するなら、ノートは作成せず、インプットはテキストに一元化することが望ましいのです。
このように、きれいなノートを作っても、知識を網羅的に得るためには、結局テキストを読むことになります。
ノートを作る過程の意味は乏しいので、勉強方法としてはおすすめできません。
勉強の目的は知識を得ることであり、きれいなノートを作成することではないからです。
意味が乏しいことに時間をかけていると、非効率になり、結果が出なくなります。