エルヴィン・アルスランは、冷たい牢の中で大切だった家族を思い、打ちひしがれていた。
妹はさんざんつらい思いをした上に出産後亡くなり、弟は反逆罪で斬首刑となった。母親は悲しみのあまり亡くなり、父親は自害した。
エルヴィンも身に覚えのない反逆罪で牢に入れられていた。
せめてかわいい甥だけはどうにか救われて欲しいと願っていた。
そして結局牢の中で毒薬を飲まされ、死んだはず、だった。
だが気づけば生きている。
9歳だった頃の姿となって。
懐かしい弟妹が目の前にいる。
懐かしい両親が楽しそうに笑ってる。
記憶では、彼らは悲しい末路を辿っていたはずだ。
でも彼らも生きている。
これは神の奇跡なのだろうか?
今度は家族を救え、とチャンスを授けてくれたのだろうか?
やり直せるのだろうか。
──そう、エルヴィン・アルスランの時間は18年前に遡っていた。
(R指定の話には話数の後に※印)
文字数 428,260
最終更新日 2022.05.09
登録日 2021.10.30
大きくそびえ建つ王宮の脇にある木陰から空を見上げる。
晴れ渡った空から反射する光が木漏れ日となり二人に注ぐ。
あれから何年経っただろうか。もう、九年になるのだろうか。
──九年前のクリスマス、俺たちは当たり前のように生きていた「日本」から、全く異なるこの世界へ召喚された。
その頃、俺たちはまだ、9歳の子供だった。
剣や魔法が当たり前のようにあるこの世界。
漫画やゲームでしかあり得なかった魔獣が出る世界。そんなファンタジーな世界に自分たちがいるということにワクワクもした。
だが、この世界はそんなゲームのような夢物語ではなく、平和な世界で生きてきた無知な子供には、とても残酷な世界だった……
文字数 271,632
最終更新日 2021.12.05
登録日 2021.08.01
* この物語は近親愛表現がメインとなります。
苦手な方はご注意ください。
相賀 総司(あいか そうじ)の容姿は決して悪くない。
……が、派手な見た目とろくでもない成績が原因なのか、モテた記憶もない。
総司には二卵性双生児の弟、針谷 幾斗(はりや いくと)がいる。
名字が違うのは二人の両親が既に離婚しているからで二人も別々に住んでいる。
幾斗は総司と比べものにならないほど頭も良く、明らかに女子にモテる。
そんな幾斗に対して総司は基本喧嘩腰で、幾斗も総司に呆れてはいるようだったが……
(R指定の話には話数の後に※印)
文字数 65,464
最終更新日 2021.10.10
登録日 2021.09.21