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男爵令嬢アネット・ロッツェンは、人狼だと噂されている。
彼女は生まれつき、月酔病という病に侵されていた。満月の夜になると苦しみ悶えるという病気で、原因も治療法も不明だ。
満月の夜に城の塔に引きこもってうめき声をあげる事から、人々は彼女を人狼だと噂する。
人狼令嬢に、結婚の話などあろうはずもない。そう諦めていたおりに、結婚の話が舞い込む。
相手は、国内で最も広い領地を持ち、最強の武力を誇るシュトガル辺境伯のルーカス・フローシュ。
しかし彼は吸血鬼との噂がある。
彼だけでなく、城に住む使用人もみんな吸血鬼で、シュトガル城は吸血鬼城だとも噂されている。
しかし、自身が人狼と噂されて困っていたアネット。ルーカスもきっと、誤解をされているのだと思い嫁ぐことにする。
しかし嫁いですぐに、アネットが人狼ではなく人間の女であることを知ったルーカスに、仮面夫婦を申し入れられる。
吸血鬼の愛情は、吸血行動と支配欲求に繋がっている。愛する相手を吸血して殺し、吸血鬼にしてしまうのが本能なのだ。
ルーカスは、愛する相手を吸血鬼などにしたくない、と思い三百年の間独身でいた。しかし大吸血鬼から、疑われないように結婚をしろと迫られ、探したのが人狼と噂されるアネットだった。
初めて会ったときからアネットに惹かれていたが、人間のアネットから吸血するわけには行かないと、愛することを拒否する。
しかし、次の満月の夜、一人部屋で錯乱するアネットをつい抱きしめてしまい――?
文字数 18,060
最終更新日 2024.03.01
登録日 2024.03.01
私、奔馬鹿ノ子は年季の入った少女小説読み。
最高の少女小説を作る、という夢を抱き、少女雑誌『リリン』編集部に入った。
しかし、配属されたその日、私はおかしな応募原稿に出会う。
封筒にある名前は田原小鳩。筆名は巌流島喜鶴(きかく)とある。少女小説の筆名としてはゴツすぎる。
「それ捨てていいよ、セクハラだから」と先輩は言うけれど、応募原稿を読みもせずに捨てるなんて出来ない。
応募原稿を読んでみたところ……内容はなんと、少女小説とは程遠い、官能小説だった!
えっちなものが苦手な私は、思わず悲鳴をあげてしまった。
先輩にたずねると、田原小鳩(巌流島喜鶴)は五年間几帳面に官能小説を送りつけてくる変態なのだという。
でも五年間もいたずら目的で送り続けられるものなのだろうか?
そんな疑問を抱いて、えっちな内容に負けずに、なんとか原稿を読み終えて確信した。
いたずらで書いたものではない。真面目に書かれたものだ。なにかの間違いで、リリンに送り続けているのだろう。
そして、少女小説読みの勘が、キュンの気配を読み取った。
いてもたってもいられず、田原小鳩に連絡をとることにした。
田原小鳩は何をしたくてリリンに官能小説を送り続けているのか、知りたかったからだ。
読まれずに捨てられていい作品じゃない、と思ったのもある。
紆余曲折を経て、なぜか私と田原小鳩(37歳・男性)は、二人で最高の少女小説を作ることになったのだった――!
文字数 119,929
最終更新日 2023.05.31
登録日 2023.04.29
SNS、地下アイドル、愚痴アカウント、ドーマン・セーマン、黄泉返り人、異能バトル……陰気で過激なガール・ミーツ・ガール!
加々見もえは、自分の見た目にも性格にもコンプレックスだらけの高校二年生。
七つの大罪をコンセプトにする地下アイドルグループSin-sの【傲慢】担当アッキに夢中になっているうちに、ある事件をきっかけにアッキとの距離が近くなっていく。
そのうちに、アッキが黄泉返り人であることを打ち明けられ、アッキを狙う組織からアッキを守るために奔走することになる。毒蛾の式神を得たもえは、機転と式神の力をもって、組織との闘いに身を投じていく。
アッキと一緒に生きる場所を作るための闘いのなかで、もえはいじけた自分を変えていく――
文字数 148,008
最終更新日 2023.03.28
登録日 2023.03.26
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