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一人の幼い少女が暗闇の中をひたすら走っている。
ハァハァと吐く息が白くなる冬の寒い時期だった。
何時から走っているのか、足は縺れる縺れる。
フラフラしながら動く足は止めない。いや、止めてはいけない。止めたら最後。
少女はずっと追いかけてくる親だったモノをちらりと見ながら走る。
「あっ、、、」
雪に隠れていた木の根に引っかかっり、盛大に転けてしまった。幸い雪が積もっていたので大した怪我はしなかった。
怖さと寒さで我慢しきれなくなった少女は大きな声で泣いた。
助けて、怖いよ、寒いよ。
幼い子供の拙い語彙力で全部を説明するのは出来なかったが、吐き出したように叫んだ言葉は全て本心であった。
バケモンが近付き、少女を殺そうとした時、黒色の軍服を着た青年二人組がバケモンを倒していた。
倒し終えると震えている少女を一人が抱き上げ、名前を聞いた。
「君の名前は何かな?」
「、、、ルナ、、、」
「ルナちゃんか、いい名前だね」
優しく微笑む男性。
「ほら、オウバイも抱き上げてみなよ!」
ルナを抱き上げた青年は刀を持ったオウバイと呼ばれたに話しかける。
オウバイは言った。「ショウゾウ、その子はどうするんだ?」
ショウゾウはルナを抱き上げながら言った。
「本部で保護しよう」
「却下」
「え〜、、、」
却下という返答に納得いかないのか怪訝そうにオウバイに目を向ける。
「東京支部で良いだろ」
オウバイの出した案に渋々納得し、ルナは東京支部に保護されることになった。
それから十一年の月日が流れた。
文字数 9,944
最終更新日 2024.12.25
登録日 2024.12.01
関東一帯に戦力を広げる殺し屋『サクリファイス』
メンバーはたったの三人。
警察でさえも手に負えず、目を瞑っている。
裏社会ではこんな噂がある。
『一般人に手を出したらサクリファイスの死神がやってくる』
一般人に優しく、それを傷付ける者には容赦なく牙を剥く。それがサクリファイスの暗黙のルールだった。
ひねくれ者は言う。
「世界の表と裏。全てを知れば、何か変わるのかもしれない」
嘘つきは言う。
「一つの嘘で誰かが幸せになんねんやったら俺はいくらでも嘘を吐く」
寂しがり屋は言う。
「もう誰も失いたくない」
全ての秘密が明かされる時、待ち受けるのはハッピーエンドかバットエンドか、果たしてどちらだろうか。
文字数 5,223
最終更新日 2024.12.04
登録日 2024.08.02
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