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伯爵令嬢リネット・メイディスは希代の悪女である。
貴族でありながら魔力量が低く、それでいて自尊心だけは高い。
気に入らない相手を陥れるのは朝飯前で、粗相を働いた使用人を鞭で打つことすらあった。
そんな希代の悪女と婚約することになったのは、侯爵家の次期当主エイベル・アンローズ。誰もがとんだ災難だと同情を彼に寄せる。だがエイベルにとっては災難ばかりではなかった。
異母妹に虐げられるアメリアと出会えたからだ。慎ましく儚げな彼女との間に愛を見出した彼は、悪女に立ち向かい、みごと真実の愛を手にした。
愛をもって悪を打倒した美談に、誰もが涙し、ふたりを祝福した。
――そうして役立たずと罵られ、すべての悪事を押し付けられていた少女は、あっけなく婚約者に捨てられた。
文字数 59,199
最終更新日 2023.03.10
登録日 2023.02.07
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
文字数 66,150
最終更新日 2023.03.10
登録日 2023.01.20
記憶を失った私に与えられたのは、クラリス・エティエンヌという名前と彼女の人生。
どうやら私は人生を悲観し、死のうとしたらしい。そう語ったのは、私の両親だと名乗る人たちだった。
なんとしても婚約を継続させたい彼らは、私に記憶を失う前と同じふるまいをしろと命じた。
だが、婚約者は私を嫌い、憎んでいた。記憶がないとか関係なく、婚約を解消してきそうな勢いで。
彼曰く、私は悪女らしい。並べられる数々の悪行に心当たりはなく、いじめられたという義妹は私を見下している。
元の私がどういう人間だったのか知ろうとして見つけたのは――
クラリスの悲哀と苦悩が綴られた日記だった。
文字数 19,767
最終更新日 2023.02.01
登録日 2023.01.11
「じゃあ、右で」
その一言で、オリヴィアは第一王子アルベルトの婚約者に決まった。
おざなりな決め方とは裏腹に、アルベルトはよき婚約者として振舞っていた。
彼女の双子の妹とベッドを共にしているのを目撃されるまでは。
文字数 49,636
最終更新日 2023.01.16
登録日 2022.12.19
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