「枯れたシステム」メインフレームが今も大量に稼働している理由…根強い需要

 なぜ銀行系システムでは、いまだに広く利用されているのか。

「製品寿命による定期的な入れ替えや運用、開発費用を含めたトータルコストは長期的にみればメインフレームよりオープンシステムのほうが低くなりますが、メインフレーム上で動くプログラムをサーバ系システムに置き換えるというのは、まったく別のプログラムにつくり直すのと同レベルの大規模な作業を要しますし、安定稼働という面で『本当にオープン系システムに置き換えて大丈夫なのか』というリスク分析をクリアする必要があるため、非常にハードルが高いです。

 特に銀行の基幹系システムは障害が起きることが許されないという高い安定性が求められるため、現在でも数多く残っています。その一方で、特に地銀など体力的に余裕がないところはメインフレームを抱えるのはコスト的に見合わず、サーバの価格は低下傾向にあるため、オープン化に踏み出さざるを得ないという事情があります」(田中氏)

 では、今後もメインフレームはなくならないと考えられるのか。

「現在でも多くのメインフレームが稼働しており、メーカーもサポートを続けなければならないため当面は残りますが、長期的にみればなくなっていく方向だと考えられます。今回の日本IBMの新サービスも、メインフレームのリソースを複数の地銀で共有するというクラウド的なサービスなので、メインフレームを拡販していくという方向の動きではないでしょう」(田中氏)

(文=Business Journal編集部、協力=田中健太/データアナリスト、鶴見教育工学研究所)