モームリ、あえてバニラ風アドトラック投入…2万件の依頼の裏に緻密な広告戦略

――広告宣伝によってモームリの利用者数や相談件数などは増えているのでしょうか。

「LINEの登録者数で把握しているのですが、広告を打てば必ず増えます。契約を結ぶ前に仕事の状況などを把握するためにアンケートを取るのですが、そのなかでモームリを知ったきっかけについても伺っています。それによって、どの広告が認知につながったかを知ることができます」(同)

――今までにモームリの知名度を上げるのに一番役立ったのは、どの広告・メディアだったのでしょうか。

「ダントツでYouTubeです。そのなかで、実際の電話現場の様子を映した動画が350万回、150万回という再生回数で、それの視聴者層は25~40代が多いのですが、視聴者からのコメントで、いろいろな意見が飛び交っているのがいいのかなと思います」(同)

モームリの利用者層は?

――モームリの利用者は、どの年齢層が多いのでしょうか。

「20~30代が8割です。今までに2万2000件の退職代行の依頼がありましたが、2割(4400件)も中高年世代の利用があったこともポイントだと思います」(同)

――40代以上になると、退職代行を利用することに二の足を踏みそうですが、実際のところはいかがでしょうか。

「躊躇するかどうか、年齢は関係ないと思います。どの方も、本当に使っていいのか、本当は自分で退職を言いたい、と考えているのではないでしょうか」(同)

――退職代行を利用するか迷っている方には、どのようにアプローチするのでしょうか。

「お金もかかるし、自分で退職の意向を伝えることができれば、それに越したことはないので、ゆっくり考えてください、とお話しします。営業することはありません」(同)

――退職代行を利用してトラブルになることはあるのでしょうか。

「退職届を出して2週間が経過すれば退職が確定する、という形式的・法的な対応をするので、退職できなくなるといったトラブルになることはありません。しかし、感情論になる方もいるので、それがトラブルといえなくはありません。退職金や未払い給与といった金銭に関する交渉が必要な場合は、弁護士を紹介しています」(同)

――今後の広告戦略や事業展開などをお聞かせいただけますか。

「広告についてはやりつくした感があり、世間の認知も広がってきた手ごたえもあるので、今後はサービスの質を高めることに注力していこうと考えています。ありがたいことにテレビなどのメディアでも取り上げていただくことが増えており、メディアは無料の広告と捉えて積極的に応対させていただいています」(同)

 退職代行という、これまでの概念を覆すような新しいサービスだが、多彩な広告やメディア出演によって認知度は急速に高まっている。今後、退職以外の場でも、極めて個人的な交渉事に関する代行サービスは増えていくのかもしれない。

(文=Business Journal編集部)