北陸新幹線、なぜ遅延で深夜3時に富山駅で乗客は「現地解散」?列車ホテルなし

 一方、富山駅は近くに車庫がなく、深夜に到着した車両を朝まで列車ホテルとして使うと、もしその車両を金沢駅や敦賀駅に移動させて翌朝の便で使用する予定であった場合、運休などの影響が生じて他の多くの利用者に迷惑がかかってしまう可能性があります。よって、そのような事情で列車ホテルを用意できなかったのかもしれません。また、もともと夜の遅い時間帯に富山駅に到着予定の便であったのなら、自家用車を駐車場に停めていた地元の人や、富山市内に宿を予約している人なども一定数いたでしょうから、駅で足止めを余儀なくされた乗客がどれだけの数いたのか、ということにもよるでしょう」

 夜の時間帯に不測の事態が起きたことが原因で乗客が「現地解散」の憂き目をみるというケースはしばしばある。たとえば、今年8月9日夜8時前に神奈川県西部を震源とする地震が起き、運転を見合わせた小田急線の小田原線の渋沢駅~新松田駅間では、乗務員の指示で乗客が降ろされ、誘導に従い線路・鉄橋上を歩行して深夜に山中の踏切に着くと、そこからは自力で帰宅するように言われて「現地解散」となった。乗客が乗務員に交渉した結果、電車内での待機を許されたとのことだが、指示に従って徒歩で自力で帰宅する乗客もいたという。この対応について小田急電鉄は次のように説明していた。

<(地震計で地表加速度)100ガル以上の場合は、線路・電路設備等の損傷から、最悪の事態では脱線・転覆までが想定されるため地震計ごとに設定する範囲で徒歩点検(150ガル以上の場合は、さらに試運転列車による確認も行います)を完了するまで、列車の運転を行いません

 これにより、駅間に列車が停車した場合の対応については、運転再開までに30分以上を要する見込み、もしくは再開時刻の目途がたたない状況であれば、すべてのお客さまを対象に降車のご案内をすることを原則としています(この降車案内については、関東運輸局からの通達によるものです)また、駅間での降車後については、線路敷地内の足元の悪さから、お客さまに転倒等のリスクが伴うため、列車から最寄りの駅もしくは踏切から、線路敷地外へご案内させていただくことを原則としています>(8月20日付当サイト記事より)

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)