東京女子医大、入試で寄付金額を点数化、堂々と入試不正…学費は計4千万円

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東京女子医科大学(「Wikipedia」より/Kentin

 23日付「読売新聞」記事は、東京女子医科大学が推薦入試において、受験生の親族から寄付を受領し、その金額を貢献度として点数化していると報じた。21年には約100人の医師が一斉に退職する騒動が起き、3月には一般社団法人法違反(特別背任)容疑で大学本部が警視庁による家宅捜索を受けるなど不祥事が続く同大。近年はたびたび不祥事を起こすたびに国の私学助成金の減額・支給停止をされてきたが、経営破綻も取り沙汰される状況となっている。大学医学部の入試では、受験生サイドからの寄付金が合否を左右するケースは多いのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 大学入試の形態は多様化しており、入学者のうち一般入試とそれ以外の入試を経て入学する学生の数が同程度という大学も少なくない。推薦入試には、大きく指定校制推薦と公募制一般推薦の2つがある。前者は高校からの推薦状によって受験資格が生じるもので、大学が指定した高校に限られ、高校ごとに出願人数も定められている。いわゆる「推薦」という言葉を聞いて多くの人がイメージするものだ。後者は、どの高校の学生も受けられるもの。両方とも高校生活での取り組みをまとめた書類、小論文、面接などで審査され、大学入試共通テスト(旧センター試験)を受験することが条件となっているケースもある。

 このほか、AO(アドミッションズ・オフィス)入試は、高校時代の各種活動、面接、小論文に基づき審査するもの。たとえば東京大学のAO入試では数学オリンピック入賞歴や高い専門性がある論文の執筆歴、TOEFLやSAT(米国の大学受験向け統一試験)で一定の点数を得ていることなどが必要で、さらに大学入試共通テストで一定の点数以上を取る必要があるとされ、難関大学のAO入試は一般入試よりハードルが高いとされる。

 読売新聞記事によれば、東京女子医大の推薦入試は同大の同窓会組織「至誠会」が推薦依頼を受け付け、至誠会が審査して同大に推薦する学生を選別するという形態(23年度まで)。学生が至誠会に提出する推薦審査依頼書には寄付の実績を記載する欄があったという。

「公募制の推薦だと思われるが、一同窓会組織が推薦入試の受験生の選別を行うという形態自体、かなり不自然で問題がある。一般的に大学の同窓会組織は寄付金集めにおいて重要な役割を担っており、その同窓会組織が合格基準があいまいになりがちな推薦入試に絡めば、自ずと受験生の合否審査と寄付金の実績が結びついてしまい、明らかに不健全。すでに文部科学省が調査に着手しているとのことだが、もしクロと判定されれば来年度の私学助成金の減額もしくは不支給は免れず、経営悪化がより深刻になる」(大手予備校関係者)

 2018年に発覚した東京医科大学の不正入学事件では、受験生サイドからの寄付金が入試の合否を左右していた実態が明るみになったが、医学部入試において同様の事例は珍しくないのか。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はいう。

「最大のものは02年に発覚した帝京大学医学部の裏口入学事件です。7年間で150億円もの寄付金を集め、そのうちの65億円がグループの財団法人などで所得隠しされていたとされています。ただ、これはあくまでも判明した分であり、1970年代から寄付があったともいわれています。この事件をきっかけに、02年10月に文部科学省の事務次官通知で入試の際の寄付金収受が禁止されました。

 私立大学医学部では2000年代以前は水面下ではあったといわれています。1979年には裏金(寄付金)を支払ったのに医学部に裏口入学できなかった保護者が、斡旋した予備校を訴えるという東京ゼミナール事件が起きています。