テレ朝『モーニングショー』の「確認できないのに謝罪」は二次被害を招く懸念

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テレビ朝日(「Wikipedia」より/Wiiii)

 朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)内での、花見会場で迷子になった女児と父親が再会する場面の放送をめぐり、父親がX(旧Twitter)上で「絶対に顔を映さない」という条件で撮影を許可したのに顔を出すかたちで放送されたと抗議していた問題。19日放送回で番組側は謝罪したが、「男性に取材をお願いした際に顔を映さないと約束したという事実は、当社としては確認できませんでした」と説明した。

 同番組は4月にも、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏の違法賭博をめぐり誤報を伝え謝罪しているが、午前中の情報番組のなかで断トツの視聴率を誇るテレ朝の看板番組で、何が起きているのだろうか。日本テレビなどで長年にわたりドキュメンタリー制作などテレビ報道に携わった経験を持つ、ジャーナリストで上智大学文学部新聞学科教授の水島宏明氏にその背景を解説してもらった。

インタビューしたのは局アナ

 問題の放送があったのは4月8日(月)です。タイトルテロップは「桜満開 大混雑で警察も出動 迷惑トラブルも」というミニ特集でした。「おととい」とテロップ表示されていたので4月6日(土)に取材した映像です。泥酔、路上喫煙、大量のポイ捨てゴミ、大騒ぎなどマナー違反をする人の映像が満載。目黒川沿いに花見客が殺到してDJポリスが出動する様子も伝えており、花見にともなうトラブルに焦点を当てた企画で、「顔ボカシ」の映像が多く放送されていました。

 日中の上野公園の様子を伝えるVTRでは、草雉和輝アナが現地をレポートしていました。

「こちら、東京の上野公園の桜はきれいな見頃。満開を迎えています。桜が並ぶこちらの通りも、行き交う人でいっぱいとなっています」

 花見客で賑わう様子や注文を受けたピザ店が配達先に困っている映像が映し出され、その後に交番の前の映像が放送されました。小さな女の子の手をひいた男性が交番に近づいていき、そこに実況レポートが入ります。

「今、小さなお子さんを連れた男性が交番へと向かっていきました」

 その男性、女の子、警官が話していると、「ごめんなさい! ありがとうございます」と言って父親が息を切らして駆け込んできました。女の子は父親の首に抱きついて「パパどこにいたのー?」と一言。警官が「絶対もう離しちゃダメだよと」と注意します。迷子になった娘は2歳でした。「おやつー! おやつ買ったの」と叫ぶ娘を抱いたまま父親はインタビューを受けました。

「本当に泣きそうになりましたね。片時たりとも離さないようにしなきゃなと思いました」

 インタビューのマイクを握っている手は草雉アナのものでした。テロップでは「桜満開 花見混雑」「2歳娘迷子に」「父親『泣きそう』」という文字が並び、混雑するなかでの微笑ましいエピソードとして扱われました。

 ところが放送翌日の4月9日(火)、この父親がXに投稿します。

「スタッフの方にインタビューをお願いされた時、一度お断りしましたが、『絶対に顔を出さない』という条件でどうしてもということで、お受けしました」

「ですが、実際のオンエアでは私に加え、一緒に取材を受けた2歳の娘の顔もハッキリと映っています。一生懸命頑張っている現場のディレクターさんの姿を見て、善意で出演したのですが、非常に残念です」

 これがXやTikTokなどにも拡散されて、SNS上ではテレビ朝日の対応を批判する投稿が続出しました。

なぜ「確認できない」のに謝罪したのか、その発言は二次被害を招く恐れ

 これに対してテレビ朝日が公式に反応したのは4月19日(金)です。