生保レディの過酷労働、生保会社「使い捨て」に変化か…人材の取捨選択転換へ転換

 2018年7月17日付け当サイト記事『生命保険の営業担当者が手口を暴露!2・4・7・11月の「保険の見直し」提案は要注意』では、生保社員による営業活動の実態について報じていたが、今回、以下に再掲載する。

――以下、再掲載――

 昼休みになると、新入社員を狙った保険の外交員がオフィスにやってくる――。そんな光景も5月下旬ごろには一段落して平穏な日常を取り戻したと思いきや、7月に入りまた保険の勧誘が増えている。この期間は新入社員だけでなく、ベテランもターゲットになる。

 なぜ、この中途半端な時期に保険の営業をかけるのかといえば、7月は保険会社内で年に3~4回行われる「重大月」に該当するからだ。重大月は会社によって異なるが、2月、4月、7月、11月に設定されていることが多いという。重大月には普段の2倍前後のノルマが課せられるため、外交員たちは必死で営業活動に取り組む。

 大手保険会社に勤める外交員のSさん(仮名)は、7月の重大月を前に不安な表情を浮かべていた。役職に応じて目標ノルマが設定され、それをクリアするとパーティや旅行へ招待されるなどの特典が受けられるが、「そんなものはいらないから、通常ノルマにしてほしい」と愚痴をこぼす。

「重大月は営業所内がピリピリしていて、契約を取らずに帰社すると、営業部長から遠まわしに自爆(自分で保険に入ること)を勧められることもあるんです」(Sさん)

 ノルマを達成するために、自爆営業を行う職員も少なくないという。成績をあげられなければ、家族や親せきを保険に入れるのは当たり前。なんとかして契約を取らなくてはならないので、「営業担当者にとって都合の良いプランを提案することが多い」と言う。特に客側が注意すべきは、既契約者に向けた「コンバージョン(契約転換)」だという。

「いわゆる“保険の見直し”というものですね。古い商品は今よりも特約が充実していなかったりするし、ライフスタイルの変化に合わせて保障内容を見直すことは確かに大事です。しかし、実際には契約年齢が上がることで保険料がアップしたり、不要な特約を付けられたりすることがあるので、既存の契約を維持したほうが得な場合も少なくありません」(同)

 既契約者は新規と比べて話を聞いてくれることが多いので、Sさんは重大月になると継続年数が長い人に対して見直しプランを提案しているという。そのときには相手の役に立つことをもちろん考えるが、やはり件数も意識してプランニングする。そのため「重大月にいきなり見直しを提案されたら、注意したほうがいいですね」(同)と指摘する。

違法な勧誘も

 重大月は「キャンペーン月」といわれることもあるが、あくまで保険会社側の行事である。この期間に契約したからといって、保険料が割り引かれるなどの特典はない。ただ、「そろそろ保険に入ろうか」と思っている人にとっては、チャンスでもあるという。

「外交員は複数の顧客を担当しているので、ほかの顧客で契約が取れそうな時などは、定期的に訪問できなかったりします。『入りたいと思ったタイミングに来てくれない』とよく言われますが、重大月なら必ず足を運びます。

 外交員が来たら、希望する保険料や保障内容を伝えたうえで、『それに合ったものがなければ入らない』と突っぱねてください。外交員としては、契約件数が多くなるようなプランに入ってもらいたいのが本音だけれど、そんなことを言える状況ではなくなれば、自分の利益が少なくなってでも、お客さんの希望に沿ったプランを提案するでしょう。切羽詰まっていれば、『保険料を何カ月分か払うから入って!』と頼み込んで契約してもらい、本当に払う外交員もいますよ」(同)