400円の低評価のワインがコンクール金賞受賞…「高いワインは高品質」幻想か

 今回の検証企画は「わざとまずい安ワインをコンクールに送る」というものだったが、世間では「高級なワインは品質が高い」というイメージは当然として、安いワインの中にも「値段以上においしいものがある」という説がある。実際、信国氏のようなプロの目から見たらどうなのだろうか。

「私がふだん扱っているワインは1本2万円からで高いものだと数百万円になりますが、私の経験からすると品質は8割くらいが値段に比例します。やはり値段は裏切らないので、高いほうが味がよい傾向はありますね。ただ、比較的低価格のワインでも2割くらいはサプライズで『こんなにおいしいのか』とビックリするものがあります。これは手ごろな価格のワインでも同じで、雑誌の企画で2000~3000円程度の家飲み用ワインを集めて目隠しでテイスティングしたことがあったのですが、その中の2割くらいは値段を超える品質で、倍以上の価格でもおかしくないようなレベルでした。ただ、逆に値段に見合わない低品質のものも何割かはあります」(同)

 われわれ一般庶民だと、ふだんの家飲み用ワインは1本1000円以下にしているという人も多いのではないだろうか。実際、コンビニのお酒売り場をのぞくと1000円以下のワインがたくさん並んでいる。この価格帯でも「値段以上においしいワイン」を見つけることはできるのだろうか。

「コンビニに並んでいる1000円以下のワインの中から、極上のものを見つけるのは難しくはありますが、値段に比べて品質が高いものは2~3割くらいあると思います。ただ、値段が安くなればなるほど当たりの確率は低くなるので、予算内で最も高い1000円ギリギリのワインを複数試してみて、自分に合ったものを探すことをおすすめします」(同)

(文=佐藤勇馬、協力=ソムリエ/信国武洋)