マクドナルドを運営する日本マクドナルドホールディングスの2023年1~6月期の連結決算は、営業利益が180億円と同期としては過去最高益を記録。その要因として、利用客が各年代層に幅広く分布し、かつ男女比も半々に近づきつつある点が指摘されている。複数の店舗を観察した外食チェーン関係者はいう。
「数年学生や30~40代のビジネスパーソン、高齢者のグループ客、子連れのファミリー客など、客層が10代から高齢者まで幅広く、男女比は男性:女性=6:4くらいといったところで、若い女性の一人客の姿も珍しくない。男女とも、どのような属性の消費者にとっても『マックに入る』ということに抵抗感が薄い様子がうかがえ、10~30代の男性がメインの客層だった一昔前からは激変した。
また、USBポートがある席でPCを開いて仕事をしている人や、4~6人でおしゃべりしているグループ客など、さまざまな使用シーンが混在しており、『店側が客を選ばない』『客がどんな使い方もできる』という点も高い集客力につながっている」
そこで今回は、マクドナルドの好調な業績と客構成の関係について、同社や識者のコメントも交えて考察してみたい。
ここ数年、原材料価格やエネルギーコスト、人件費の上昇を受けて外食チェーン各社が値上げに動くなか、マクドナルドも段階的に値上げを行ってきた。今年1月の一律値上げでは、「ハンバーガー」は150円(消費税込み/一部店舗では異なる/以下同)から170円に、「チーズバーガー」は180円から200円に、「マックフライポテト(Sサイズ)」は160円から190円に、「チキンマックナゲット(5ピース)は200円から240円に価格改定。そして7月には東京・名古屋・大阪エリアを中心とした都心部184店舗とデリバリーにおいて値上げを実施。「ビッグマック」は通常450円のところ、都心店では最大50円の値上げで500円、準都心店では最大20円値上げて470円に。「サムライマック」は最大60円、「ダブルチーズバーガー」「てりやきマックバーガー」「フィレオフィッシュ」などは最大40円(準都心店は10~20円)の値上げとなった。
一連の値上げの影響もあり、1~6月期の客数は前年同期比で1.7%減ったものの、既存店売上高、客単価はともに上昇。6月以降は客数も増加傾向にあるとみられる。
「値上げが客数に響いたのは事実だが、限定的といえる範囲。他の外食チェーンと比較した際に、価格やボリュームを総合的に勘案すると、やはりマクドナルドの『割安感』は際立ち、それが客に選ばれている理由になっている」(前出・外食チェーン関係者)
そんなマクドナルドについて指摘されているのが、客層の幅広さだ。より広い年代層の客が来店すれば、それだけ全体の売上増加につながるわけだが、マクドナルドの客層の構成はどのようになっているのだろうか。マクドナルドは当サイトの取材に対し次のようにいう。
「大変恐れ入りますが、該当の数値は開示してございません。ご了承いただければ幸いです」
南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏は次のように分析する。
「かつてのマクドナルドは、基本的に若者向けの業態であり、さらには子供を重要なターゲットとするイメージがありました。しかし、少子高齢化の進む現代においてそのビジネスモデルは当然ながら頭打ちです。 そんななかでマクドナルドは近年、『子供っぽい店』『いい大人が行くものではない』といったイメージを、ほぼ払拭することに成功しているように見えます。『マックカフェ』のシリーズは、高品質なカフェ/スイーツメニューで女性層にアピールし、サムライマックを中心とする、高付加価値かつボリュームのある商品は、働き盛りのビジネスマンにとっても『大人が堂々と楽しめるメニュー』として歓迎されている印象です。