気になるのは「バーリアルグラン」の発泡酒としてのクオリティだが、日々RTDやビール系飲料などの研究に勤しむストロングおじさんはいう。
「発泡酒といえば従来はキリンビールの『淡麗極上<生>』が代表的銘柄でしたが、バーリアルグランはその『淡麗』と比べても遜色のないクオリティです。青色パッケージの『リッチテイスト』は麦感と重みが増してよりビールに近くなり、『淡麗』よりもコクと飲みごたえがあると感じます。オレンジ色パッケージの『バーリアルグラン』は『淡麗』に近いスッキリめの味わいですが、『淡麗』よりも気持ちマイルドさを感じます。一方、緑色パッケージの『糖質50%オフ』についてはイマイチというのが正直な感想。淡麗の糖質70%オフ版の『淡麗グリーンラベル<生>』は、スッキリしたなかにも麦の風味も感じ、糖質カット商品にありがちな苦行っぽさが少ない。糖質カットが商品にとってほとんどデメリットになっていない見事な商品である一方、バーリアルの糖質オフは味がただ薄いだけで、つくり込みが不十分という印象です」
今回、イオンが「バーリアルグラン」を投入した背景について、ストロングおじさんは次のようにいう。
「10月には第3のビールの酒税が発泡酒と同じ税率に引き上げられます。3年後の2026年には第3のビール、発泡酒、ビールの酒税税率が統一され、さらに第3のビールの価格優位性は薄まります。当然ながら各メーカーはそれを認識しており、酒税変更前に手を打たなければならないものの、なかなか既存ブランドを大きく変えるという判断は現実問題として難しい。そのようななかでイオンが先手を打つかたちで、安定的なセールスをみせていた第3のビールの『バーリアル』を発泡酒に刷新したという決断は見事といえます」
10月の酒税改正を経て、2026年にはビール系飲料の酒税率が一本化される予定。市場はどのように動き、消費者のニーズはどう変わっていくのか、今後も注目したい。
(文=佐藤勇馬/ライター、協力=西川立一/流通ジャーナリスト、ストロングおじさん)