また、個人情報の問題も大きいです。声優は所属事務所や発注元に本名とインボイスの登録番号を記入した書類を提出しますが、いくら『屋号や住所は書かないで』と言われても、誤って記入して出してしまう人もいるでしょうし、照合すれば個人情報がバレてしまうと心配になってしまうのは当然です。現在ではアイドル的な活動を行う声優も少なくなく、もし仮に情報漏えいが起きれば、照合によって本名や住所がバレてしまうリスクもあります。これは声優に限った話ではなく、そのリスクを恐れて課税事業者になることをためらうフリーランスの人も少なくありません」(同)
今、国に求めることは何か。
「『インボイス制度をやめてください』という一言に尽きます。物価上昇で多くの国民が苦しんでいるときに国がやるべきことは、減税なりで国民の負担を減らすことだと思いますが、国はこの制度の開始によって逆に国民を『より苦しめよう』としています。一方、この制度によって、本来は良好な協力関係・信頼関係を築くべき声優と所属事務所、制作会社の間にヒビが入り、無用な仲たがいが生じる懸念も高まっています。そんなことになれば、誰も得しません」(同)
(文=Business Journal編集部、協力=VOICTION)