「日本は借金が莫大で財政は危機的」というまやかし…岸田政権が増税連発する裏側

 では、いったいなぜ、ザイム真理教がそこまで力を持つようになったのか。いくつかのポイントを挙げて、森永氏に詳しく解説してもらった。

みんな知っているけれど、誰も怖くて言えないこと

――どうして、このテーマを書こうと思われたのですか。

森永氏 ちょうど、65歳になって、子供も巣立ったし、無理に仕事をする必要はなくなったんですよ。あと畑で農業も始めて、お金がなくても生きていける手立てが整ったので、最後に本当に書きたいことを書いて、人生を終えようと思ったんです。

 ずっと、みんな知っているんだけれども誰も怖くて言えないテーマが、私の中では2つありました。ひとつは財務省がカルトだっていう話と、もうひとつは日本航空123便の墜落事件の真相です。そのうち、とりあえず、ひとつをやったという感じなんです。

――大手の出版社からも出版を断られたそうですね。

森永氏 そうなんです。まず、書く前に企画を持ち込んだんですが、みんな断られました。そこでとりあえず原稿を書いてしまって大手出版社に持ち込んだんですが、これもすべて門前払い。

 どこがいけないというのでなく、そもそもこのテーマは書いてはいけないんだという雰囲気でした。編集者レベルで通ったところでも編集会議にもあげてもらったけれど、もう箸も棒にもかからない感じでした。私は、これまで100冊以上本を出していますが、こんなことは初めてです。

――それはタブーに触れるからでしょうか。

森永氏 (言葉にはしないけれど)そんな感じですね。でも、その気持ちはわからないでもないんです。彼らもサラリーマンで、生活を守らないといけませんので。私は、出版にはまだ言論の自由は残っていると思っていたけれど、もうそれもないなということは、はっきりわかりました。諦めかけていたときに「うちで出しますよ」と、社長ひとりで経営している三五館シンシャという出版社が引き受けてくれたんです。

――それだけ断られ続けた企画が、いざ発売したら、たちまちベストセラーになりました。

森永氏 この3週間、経済書では、ずっと1位をとっています。だから8000万人は騙されているんだけれども、4000万人はまだ騙されていない(※1)。その人たちには響いたのかなと。

※1 2021年10月に朝日新聞が行った世論調査によれば「消費税を下げたほうがいい」と答えた人は、全体の35%(約4000万人/1億2000万人)にすぎなかった。残り65%(約8000万人)の人は「消費税を下げなくてもいい」、あるいは「増税してもいい」と回答している。

――メディアで、本書のことは取り上げられていますか。

森永氏 大手新聞社とテレビ局は完全無視です。書評もまったくありません。大手でない出版社と週刊誌でいうと、「アサヒ芸能」とか「週刊実話」はわりと大きく扱ってくれています。あとはタブロイド紙やネットメディアもメチャクチャ扱ってくれています。大手メディアとテレビは一切ないです。

――20年前の『年収300万円時代を生き抜く経済学』と比べたらどうでしょうか。

森永氏 『年収300万円~』は、最初のバージョンが37万部ですが、続編が十何万部か売れて、関連本もすべて入れると約100万部売れました。それと比べると、今回の本も同じくらい勢いはありますが、取り上げられ方は、大手新聞とテレビ局が無視しているというのが徹底的に違いますね。

莫大な資産があることは隠されたまま

――ザイム真理教は、いつ頃から流布されるようになったのでしょうか。

森永氏 私は、1980年に社会に出て日本専売公社(現JT/日本たばこ産業)の主計課という、大蔵省から予算もらってくる部署に配属されたんですけど、その頃からおかしくなってきたんです。きっかけは、1973年に石油ショックが起きて、景気対策として国債を発行したこと。意外と多めに。それが10年たつと返済しなければいけないから、財政を締めないとダメだと言い始めました。“財政再建元年”と当時の大蔵省の役人が言い出して、それでおかしくなったんです。だって10年で返す必要なんてまったくないんですから。