世の中には、さまざまな副業があるが、「高時給で短時間に稼げる」「楽で刺激的」だとして、秘かに人気を集めているのが「サクラ」のアルバイトだ。
サクラのアルバイトの代表的なものとしては、結婚式や葬式、パーティーへの代理出席などがあるが、なかには「詐欺の可能性があるのではないか」という危ないものもある。
コロナ禍でステイホームの時間が増えると共に、「独り身では寂しい」と感じて真剣に婚活を始めた人もいるだろう。そんな婚活をサポートしてくれるのが、結婚相談所だ。
相談所は、結婚願望を持つ男女が入会する。そして、相談員などを介し、自身たちの条件を提示し、それに合うパートナーを見繕ってもらう。その後、お互いが了承すれば、紹介所のもとで「お見合い」が行われる。そのお見合いで双方の同意があれば、「交際届」を提出。交際が順調に運べば、めでたく「結婚届」を相談所に提出し、晴れて結婚という運びになる。
しかし、一部の結婚相談所はサクラを雇っているという。特に男性会員に比べて女性会員が少なく、なかなか男性会員の「お見合い」が成立しない時、会員が退会しないようにサクラ女性を「お見合い」に派遣することがあるという。
モデル・イベントコンパニオンのA子(30代・仮名)は、東京都内にある結婚相談所でサクラのアルバイトをしていた。
「結婚相談所の大義名分は、サクラではなく特別会員です。容姿端麗でお見合いでモテそうな女性が特別会員になれるそうです。男性とお見合いする際、交通費とヘアメイク代として、5000円もらえます。登録するだけで3000円もらえました」
しかし、これは結婚相談所の男性会員を騙す仕事である。
「男性会員には偽のプロフィールが伝えられます。モデル・イベントコンパニオンみたいな派手な仕事を好まない男性もいるので、一般企業のOLという設定です。私は大学を卒業していますが、結婚相談所の相談員から『男性って自分より学歴が高い女性を嫌がる傾向があるんですよね。高卒か短大のほうが、お見合いをOKされやすいです』と言われたので、学歴も偽りました。あと本当は、趣味は海外旅行なんですが『料理とか家庭的なほうがいい』と言われたので、そういう話にしました」
本来ならば、お見合い後に「仮交際」をするか否かは、両人の気持ち次第だが、サクラは結婚相談所から交際を断るように指導される。万が一、好きになって交際して偽りのプロフィールがばれて、結婚相談所がサクラを雇っていることが判明したら、企業として信用が失墜することは言うまでもない。男性会員はお見合いのたびに3~5万円という高額な料金と、「お見合い」にかかる2人分のお茶代も支払うわけだが、悪質な結婚相談所のカモにされているということだ。
詐欺に詳しい弁護士法人ワンピース法律事務所の杉山雅浩弁護士によると、結婚相談所のサクラは、詐欺に該当する可能性があるという。
「サクラ女性とお見合いをさせることで会員を継続させているなら、会費を騙しとることになりますので、その結婚相談所がやっていることは詐欺になります。またサクラのアルバイト女性も、結婚相談所と結託して男性を騙していることになりますので、詐欺の幇助(犯罪行為を実行はしないが手助けをする)として刑事責任が問われる可能性があります」(杉山弁護士)
割の良いアルバイトをしようと、軽い気持ちで結婚相談所のサクラをやっても、逮捕されたり民事訴訟を起こされたら元も子もない。
不景気や物価高、いまだに全容解明していない統一教会問題などで、政治への不信が高まっている今日この頃。そんななか一部の与党政治家は、人気があるように見せ、国民の信用を得るため、選挙演説の際にサクラの聴衆を雇うという。