しかし、スイッチとなるものが何なのかが重要だ。特に一昔前と比べると、スイッチとなるものが減っているという。
たとえば「マイホーム」「マイカー」といった物質的な豊かさと、「出世」「昇給」という経済的な豊かさの指標をリンクさせることで、スイッチを入れられたときもあった。ところが、現代は価値観の多様化によって、スイッチも人それぞれになった。出世に興味がない人も当たり前になり、同じ会社でずっと働き続けるという価値観も薄くなっている。
そんな時代の中で、どうやってスイッチを入れればいいのだろうか。
著者は、部下一人ひとりにとって、何が「鼻先のニンジン」なのかを探る必要があると述べる。そこで必要なのが対話だ。部下との対話を通して相手の感情や心情に対する理解を深め、相手にとってのモチベーションとなるものを見つけ出す必要がある。
上司として求められていることは、一個人として仕事を推進する能力だけでなく、組織としての成果を上げるために、部下が動きやすい仕組みをつくることだ。その仕組みづくりに、部下との信頼関係は必要不可欠。多少手間がかかったとしても、信頼関係をつくりあげよう。
また、何度説明しても仕事を覚えない理由の一つとして、上司側の説明の仕方に問題があるケースもある。自分でやればできるのだが、それを誰かに教えたり、伝えたりするのが苦手な人も意外にいるのだ。
本書を読むと、上司の立場にある人はまず自分自身を見直すことから始まるだろう。そのうえで、部下との関係について考える。相手が動いてくれないときは、自分の伝え方に原因があることも多い。
全体で結果を出せるチームづくりをしようとしている上司にとって、強い味方となる一冊だ。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。