第2巻では3Dの原理やプレイ中に『クルマ酔い』が起こる原因に関する説明も間違っていますし、第3巻のアイテム課金の歴史についても、ガラケーのiモードがその始まりであるかのように書かれていますが、正しくは韓国発です。ほかにも、日本にインディーゲームの文化がなかったかのように書かれていたり、ファミコン発売前後に登場したPCエンジンやカセットビジョン、メガドライブにほとんど触れられておらず、当時の家庭用ゲームにはファミコンしかなかったかのような書かれ方になっています。同様の問題が随所にみられ、これではゲーム産業の歴史全体を俯瞰しているとはいえません」
本書の全体を通じて感じた違和感について岩崎氏はいう。
「筆者の脳内にあるストーリーありきで、都合よく勝手にロジックを組み立てた結果、事実と異なる内容が多数含まれる結果になっているように思えます。そのため、元ゲーム雑誌編集長の方にも聞きましたが、任天堂の山内溥さんや宮本茂さん、ポケモンの田尻智さんなどがそのタイミングで言ったとは思えないようなセリフが、まるで当人が話したかのように『 』付きで記述されてしまうということが起きているのだと思います。
ゲーム業界の人や将来ゲーム業界で働くことを目指す人などが本書の内容を読んで間違った歴史や情報を信じてしまうことは、業界全体にとって悪影響といえるでしょう」
(文=Business Journal編集部、協力=岩崎啓眞/ゲーム開発プログラマー)