Perplexityが優秀すぎてGoogle検索の牙城崩す?Bingのほうが優秀?

 ですが、先ほどお伝えしたように引用元の出典を明示してくれなかったり、現時点では2021年までのデータでしか学習していなかったりするため、情報の正確性や鮮度が不十分という欠点があります。そのため、雑談程度の会話のやりとりを楽しみたいのであればChatGPTは素晴らしいですが、調べものなどに使うのであればPerplexityのほうが上でしょう」(同)

 実際に使い勝手は良いといえるのか。

「知りたい情報の概要を一発で回答してくれるという点で便利ですし、PerplexityはGoogle Chromeの拡張機能として組み込めるので、迅速に運用できるのは利点です。ですが、個人的にはMicrosoftの検索サイト『Bing』に組み込まれたChatGPTのほうが使い勝手がいい印象ですね。Bingに組み込まれたChatGPTは、現在のChatGPT本体よりも一歩進んだ次期バージョンともいえるもので、引用元をしっかり明示してそこから文章を作成する仕組みになっています。Perplexityの利点である『引用元の提示』とChatGPTの利点である『会話の自然さ』を両立させています。またChatGPTとは異なり22年以降のデータも学習させているようなので、時事性の高い回答が得られます」(同)

 ではPerplexityはGoogle検索に取って代わる存在となりえるのだろうか。

「PerplexityがGoogle検索を脅かすような存在になるにはまだまだ改良が必要で、現時点では脅威とはいえないでしょうね。それにGoogleもこうした対話型AIの価値や脅威性はすでに認識しているようで、現在『Bard』という独自の対話型AIをテスト運用しており、これを現状のGoogle検索に導入することも検討しているそうです。GoogleはBardの認知を高めるという意味でも、今後Google検索をかけたときの検索結果の一覧にBardが回答した『調べたいキーワードの概要』を載せるといった施策を打つ可能性もあります。ですから将来的に考えても、PerplexityがGoogle検索の地位を奪う可能性は低いのではないでしょうか。

 今はまだ対話型AIの情報を鵜呑みにするのはリスクがありますので、正確性を重視する調べものをする際は、やはり人間自身が検索エンジンを使って情報を精査するほうがいいでしょう。特にChatGPTなどの人間のように流暢に回答してくれる対話型AIに依存しすぎると、間違った情報を信じてしまうという懸念点もあります。

 とはいえ、対話型AIは登場したばかりのテクノロジーで、これからどんどん進化していく技術。対話型AIが今後進化し続けて普及も進めば、これまでのネットで情報を得る際に主流だった『検索エンジンで調べる』という時代が、過去のものになる可能性があります。そのため、Googleは自らの基盤を維持するためにも、ChatGPT対抗の独自AIを必死に広めようとしているんです」(同)

 対話型AIの情報の精度はまだ発展途上のようだが、PerplexityだけでなくChatGPTやBardが進化していけば、我々の生活がより便利になっていくことだろう。

(文=A4studio、協力=三上洋/ITジャーナリスト)