偏差値67.5(河合塾調べ)を誇る難関私立大学の慶應義塾大学経済学部。今月14日に行われた2023年4月入学予定者向けの入試で、英語科目の問題形式が例年から大きく変更。日本語の長文を読ませて英語の設問に回答させる形式の問題が出題され、「慶應の意図」をめぐって話題となっているようだ――。
慶應大経済学部の入試は以下の2つの形式に分かれている。
・A方式
数学
英語(外国語)
小論文
・B方式
地歴(世界史B・日本史Bから1科目を選択)
英語(外国語)
小論文
一般的な私立大学の文系学部の入試は英語、国語、地歴の3科目で構成され、国語は現代文・古典から成ることが多く、慶應大経済学部では国語の代わりに小論文が課されている点が特徴的だ。
「地歴の代わりに数学で受験できる私立文系学部も増えつつあるが、慶應大の経済学部は伝統的に以前から数学受験が可能だった。文系志望の学生のなかには数学は得意だけど暗記量が多い世界史や日本史が嫌だという人が一定数おり、そうした学生を引きつけてきた」(予備校関係者)
例年、慶應大経済学部の英語科目は以下の5つの大問で構成されていた。
・大問1~3:長文読解(問題文、設問分ともに英語)
・大問4:和文英訳
・大問5:英作文
長文読解は大問一つ当たり問題文が概ね1000単語前後、設問数は10以上で、この大問が計3つ。特徴的なのは大問5で、英語の設問に対して大問1~3の問題文をもとにして自分の意見を英語で書かせるという形式。「自分の意見と異なる見解に言及し、それに反論すること」「問題文1、2または3で言及されている見解やことがらを最低一つ引用して、自分の意見をまとめること」という条件も課されている。
「この分量を試験時間100分ですべてこなさなければならないというのは、難易度が高い。また、論理的思考力を問う性質の問題が多い印象」(予備校関係者)
そんな慶應大経済学部の英語科目の形式が、今年は大きく変更された。大問4で従来の和文英訳の代わりに、日本語の問題文を読ませて英語の設問に回答させるという問題が出題。さらにその問題文は、大問3で出題された英語の長文の問題文に対する論評となっており、設問を解くには大問4の問題文の内容把握だけでは不十分で、大問3の問題文の内容を理解していないと正しい解答を導き出せないという複雑な構造になっているのだ。
これを受けSNS上では以下のようにさまざまな反応があがっている。
<今年の理工といい、経済といい、慶應はたぶん東大とか京大の国立落ちを拾いにきてるね>(原文ママ/以下同)
<英語ができるだけの帰国子女の篩い落しにもなる>
<英語ができても壊滅的に日本語ができない子(慶應って国語なかったよね?)と表面上理解した風でも根本的に思考力が足らない子を落とす感じかな>
<この慶應経済の英語の意図はよくわからんな。経済学って英語の方が相性いいし、無理に日本語使わなくて良くね?っては思うし>
<私文の英語は英文を速く読める帰国子女が圧倒的有利なのにそこでアドバンテージを得られないのは帰国子女殺しかもしれない>
<まずDeeplで翻訳しながら英文を読むことが多いから、別に大量の英文をそのまま読むことを要求しない。だからそのまま日本語を出して、読解力を問うた。次に英語で書かれた問題文はTOEICなどの模倣ですね。極めて実践的なものに変化したといえます>
今回の出題形式の変更について、武田塾英語課課長でTOEIC満点102回の実績を持つ「もりてつ」氏はいう。