ではなぜ、違和感を覚えるのか。もちろん予算や技術の都合などで、服の自然な柔らかさが表現できない、肩周りの動きが自然に見えないなどのネックは当然あるのですが、もっと突き詰めていくと、それはシンプルに『見慣れていないから』ということが大きいと思います、例えば、ある長髪の少女が髪をたなびかせているシーンがあるとします。手描きアニメの場合、髪の毛の一部を動かすだけでも『髪の毛全体がたなびいている』と多くの観客は感じるのですが、これを3DCGアニメでやると止まっている髪の毛に目がいき、『髪の毛が不自然に止まっている』と感じがちなのです。これは手描きのほうは一部止め絵になっていても、『髪全体が動いている記号的表現』と長年の慣れで無意識に認識しているからであり、まだ見慣れていない3DCGアニメで同じことをされると違和感が強調されてしまうのではないでしょうか。3DCGの作り手たちも、このあたりの『記号的な表現』と『3DCG特有のリアルさ』をどう融合させるか、作品ごとに様々な試行錯誤をしています」(同)
3DCGが今後ますます増えていけば見慣れるようになり、違和感も消えていくのかもしれない。実際、3DCGを使ったアニメは今後増えていくのか。
「当然増えていくでしょう。指摘されている違和感も作り手側からの改善が進んでいくだろうし、観客も時間とともに表現に慣れていけば、違和感の声も減っていくと思います」(同)
まだ歴史の浅い3DCGアニメを観て違和感を覚えることもあるかもしれないが、願わくば手描き派のアニメファンも3DCG作品を根気よく見守り、業界の発展を応援していってもらいたいものだ。
(文=A4studio)